懐かしいけれど新しい!! 電動スクーター・FELO「M壱(M1)」でお出かけが楽しくなる!
バイクのニュース / 2024年6月7日 7時10分
上海のホンダ上席スタッフとして勤務した後、独立したジャン・ジンギー(Zhang Jingyi)氏が立ち上げたFELOの最新モデル「M壱(M1)」のインプレッションをお送りします。
■電動スクーターは身近なものに!
クルマの世界では急速に電動化が進んでいますが、バイクはまだまだ……なんて思っている人は多いのではないでしょうか。国内メーカーではスクーターが数車種あり、カワサキから電動モーターサイクル「Ninja e-1」と「Z e-1」が発売されたのはつい先日のことです。
FELO「M壱」(43万7800円/税込)
しかし、世界に目を向けると、着実にバイクの電動化は進んでいるようです。今回紹介するブランド「FELO」もそのひとつ。中国に拠点を置く新興メーカーで、ラインナップはすべて電動スクーターです。クラスは原付一種から原付二種、さらに軽二輪と揃っていて、デザイン性の高さによって、国内でも注目を集めています。
スポーティーなモデルが多いなか、異色のルックスを持つのが「M壱」です。
■折りたたみ式だから、近場も遠出も楽しめる
FELO「M壱」に乗る筆者(佐賀山敏行)
「M壱」と書いて、「エムワン」と読みます。小ぶりなスタイリングから想像できる通り、クラスは原付一種。排ガス規制によって今後50ccエンジンがなくなり、存在が危ぶまれる原付一種クラスですが、電動バイクとして個性的なモデルが出てきてくれるのは嬉しい限りといえるでしょう。
直線を基調としたルックスが特徴で、ホンダのスクーター「モトコンポ」を思い起こさせるのが正直なところ。しかし、デザインこそ似ているものの、骨格はまったく異なります。外装に見えるシルバーの部分はアルミ製で、実はフレームとなっているのです。そのため、コンパクトなボディに関わらず剛性は十分。それでいてアルミ製なので49.5kgという軽量な車体を実現しています。
折りたたみ機構を備えたFELO「M壱」。液体、油脂類がほぼゼロのため横に倒して積載することもできます
そしてM壱最大の特徴が、折りたたみ式であるということ。ハンドルやシート、ステップを折りたたみ、ボディ内に収納できるのです。これもやっぱりモトコンポみたいですが、電動スクーターならではの大きなアドバンテージがあります。
そう、M壱にはガソリンもエンジンオイルもないため、たとえばクルマに積む際にそれらの液体が漏れる心配をしなくてよいのです。フロントディスクブレーキが油圧式ではなく機械式なのも注目ポイントです。油脂類がほぼゼロなので、横倒しでも積み込めます。
クルマに積み込み、「旅先でちょっとした散歩を楽しむ」なんて使い方が気軽に楽しめるでしょう。しかも、専用コネクタを使用すればポータブルバッテリーとしても使用できるとのこと。キャンプなどのアウトドアで大活躍してくれそうです。
■ちょこまかと走り回る楽しさ
電源をONにして、通常ではセルスイッチとなる右側グリップにあるボタンを押します。これでスロットルを開ければ走り出します。電源を入れただけでは走らない安全設計に安心です。
FELO「M壱」に乗る筆者(佐賀山敏行)
ライディングポジションは懐かしいレジャーバイクのソレ。モンキー50やモトコンポのような古いホンダを思わせるもので、思わず笑みがこぼれます。
ただしネガティブなポイントも同じで、後輪の上に乗っているような感覚で、フロントの接地感はほとんどありません。いきなりアクセルをフルオープンにすると、フロントが浮き上がりそう……。怖くて筆者は試しませんでしたが、ええ、きっと浮いたでしょうね(苦笑)。
フロントブレーキには機械式ディスクを採用するFELO「M壱」
とはいえ、初期の電動バイクにあったような不自然なパワー特性はありません。ガソリンバイクと同じようなパワーの出方で、アクセルを開けると、その分じわ~っとパワーが出てきます。そのため、恐怖は最初のうちだけ。1.63PS(1.2kW)の最大出力はM壱を安全に動かすには十分なパワーで、慣れれば法定速度+α程度であれば操安性の不安を感じることなく走ることができました。
ブレーキもフロントは機械式とはいえディスクブレーキなので、軽量な車体を止めるには十分でした。しかし、サスペンションは減衰力が弱く、ちょっとした段差を越えたあとに揺れが続くのが気になりました。もともとフロントの接地感があまりないので、スピードを出したまま段差に突っ込む際は注意が必要かもしれません。
FELO「M壱」と筆者(佐賀山敏行)
しかし、誤解を恐れずに言えば、ネガティブ部分も含めて楽しめるのがM壱の魅力でしょう。車体はコンパクトで軽いため、近所をちょこまかと走るには最適です。アウトドアシーンではキャンプギアの一つとして、所有欲を満足させてくれそうです。
「普通のスクーターじゃ面白くないよね」なんて考えている人が選べば、きっと面白いバイクライフを送れるのではないでしょうか。
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