ハーレー新型「ロードグライド」に感じる 高い完成度と『お得感』
バイクのニュース / 2024年6月10日 7時10分
デザインを一新したハーレーダビッドソン最新モデル「ロードグライド」のインプレッションをお送りします。
■全面刷新された最新のロードグライド
新デザインのLEDヘッドライトを備えた外装や12.3インチのTFTタッチパネル・スクリーンによるメーターが採用され、ハーレーダビッドソンに新たな時代が到来したことを印象づけたCVOモデル(Custom Vechicle Operation/ファクトリーカスタム車両)「ストリートグライド」と「ロードグライド」。
従来モデルから排気量を55cc拡大し1923ccとされたエンジンを搭載する新型ロードグライド。フラッグシップらしい力強い走りを生み出します
2023年6月に販売された同CVOモデルですが、今年はレギュラーといえるツーリングモデルでもそのデザインが踏襲されました。
ここでは2024年の注目モデルである“ロードグライド”を試乗してみたのですが、最新モデルはルックスのみならず走行性能においてもハーレーというマシンの進化を、多くの人にまざまざと感じさせるものかもしれません。
現在のハーレー、そのフラッグシップモデルに「ロードグライド」が位置することに異論を挟む人は少ないでしょうが、前述したとおり、2024モデルはタッチパネル仕様となったディスプレイや外装によってイメージが一新され、より高級感溢れる雰囲気に。メーター類が起因となっているのでしょうが、あたかも欧州車の高級セダンを思わせる佇まいです。
全長2410mmというストリートグライドと同等のサイズながら、さらに車体が大きく感じる新型ロードグライド。ハーレーのフラッグシップに相応しい威風堂々とした迫力を醸します。車両重量は380kgとなっており先代の2023モデルから7kg軽量化が果たされています
新型ロードグライドに跨ってみると多くの人が感じるのは、その大きさではないでしょう。スペック上の全長こそ同じツアラーモデルのストリートグライドと変わらず2,410mmとなっているのですが、フレームマウントされたシャークノーズフェアリングのサイズ感やグリップ位置が高めとなるエイプハンガー(ハンドルバー)によるポジションなどが影響して、かなり大柄で、ともすれば威圧的な印象すら受けます。
ハーレーの魅力を威風堂々とした重厚な姿とするならコレはコレでアリでしょうが、正直な意見を言ってしまえば同じツアラーモデルでも街中ではストリートグライドの方が気楽です。
しかしながら、高速での長距離移動などは、この大きさが一段上の安定感をもたらします。
車重自体はストリートグライドの368kgに比べて380kgと見た目どおりにヘビーなのですが、例えば重いオンスのボーリングの球が安定してレーンを転がるのと同じように、高い直進安定性に繋がっているように感じさせられます。
ボア103.5mm、ストローク114.3mmの117キュービックインチ(1923cc)エンジンは新方式の水冷ヘッドを採用しますが、これはバルブまわりのみが冷却されるシステムとなっています
また、エンジンにしても昨年モデルの114キュービックインチ(1868cc)から117キュービックインチ(1923cc)に排気量が高められており、かなりのトルクとパワーを感じる味つけに変更。ストローク自体は114.3mmと昨年モデルと同等なのですが、ボアを従来の102mmから103.5mmに拡大することでパワーとスムースさを両立するエンジンに仕上げられています。アクセルを捻った時に感じる加速はかなりのものです。
基本、多くの空冷系ハーレーはボアよりもストロークの方が長い『ロングストローク』タイプのエンジンとなっており、それが独特の鼓動感やトルク感を生み出しているのですが、そのボアとストロークの比率の数値が少なくなればなるほど、エンジンがスムースになるのも内燃機の法則であり、ボアとストロークが同等の『スクエア』タイプは、よりスムースな印象をうけるのが正直なところです。
同じように2023モデルよりも2024モデルのロードグライドの方が、淀みのないエンジンの回転の上昇を感じるのですが、おそらくはこれが現在のハーレーの目指す味つけであるとも推測できます。
■ライバルはやはり「BMW Motorrad」
近年のハーレーダビッドソンの動向を見ると、2021年に登場したアドベンチャーモデル「パンアメリカ」や昨年に発売された「X350」「X500」からも分かるとおり、アメリカン・クルーザーだけではなく、ユーザーに様々な選択肢を与える総合バイクメーカー的な方向にシフトしつつあるように感じます。そしてその先に見据えるライバルとしてあるのがBMW Motorradなのではないでしょうか。
新型ロードグライドに乗る筆者(渡辺まこと)。走り自体はスムースで車体の大きさに慣れさえすれば、かなり扱いやすい印象です
奇しくもBMW Motorradはハーレーのソフテイル的な機構のリアまわりを備えた「R18」や、それをバガースタイルとした「R18B」、「R18 Transcontinental」などをラインナップしていますが、きっと狙うのはハーレーの市場であり、ファン層です。
そうした目線で2024年の新型ロードグライドを見ると、「バイク」としての完成度は多くのユーザーから高い評価を受けるBMW Motorradと比較しても遜色ないレベルです。
ちなみに新型ロードグライドはCVOモデルの562万9800円と比較すると369万3800円とリーズナブルな設定になっており、新デザインでも2023年モデルからお値段据え置きです。
もちろん、CVOモデルとレギュラーモデルでは排気量(CVOは121キュービックインチ/1977cc)やフロントフォーク、リアサスペンション、ブレーキ、ホイールやスピーカー、ペイントワークなど装備に違いがあり、それ相応の価格差となるのは仕方ないのですが、それでもLEDランプを備えたニューフェアリングとタッチパネル・スクリーンを備える新型ロードグライドは、かなりのお得感があります。
バイクとしての完成度を考えても多くのライダーにオススメできる1台です。
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