「天才タマゴ」と呼ばれたミニバン! トヨタの初代「エスティマ」とは
バイクのニュース / 2024年6月9日 17時10分
モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」連載第14回目は、「天才タマゴ」と呼ばれた大型ミニバン初代「エスティマ」を発売当時の世間の状況を踏まえ解説します。
■キュートなキャッチフレーズで鮮烈デビュー!
「天才タマゴ」
こんなキュートなキャッチフレーズでデビューした初代エスティマは、世界を震撼させるほどエポックなモデルでした。
トヨタ初代「エスティマ」(写真提供:M:CRAFT)
それまでのミニバンは、フロントサスペンションの上にコクピットがありました。エンジンもドライバーの下に位置していました。トラックのようなレイアウトでした。そのために、エンジンやサスペンションの上に座るドライバーは乗り心地に悩まされていました。快適性に難があったのです。真下から突き上げられ、尻の下のエンジンが振動するのですからそれも道理ですよね。
エスティマは、フロントサスペンションを前端にずらすことでドライバーを突き上げから解放しました。なおかつ直列2.4リッターエンジンを75度も傾けて搭載することで、驚くほどの低床化を実現したのです。いわばミッドシップレイアウトです。
クルマにとって最重量物であり最大サイズのエンジンは、豊かな室内空間を満たさなければならないモデルにとっては邪魔な存在です。ですが、それがなければ走らない。苦肉の策ではありますが、アイデアと技術の勝利だと思いますね。
それでいて、フォルムはイビツにならず、というよりむしろキュートなそのスタイルは革新的であり、デザイナーの才能を感じさせます。
まさに「天才タマゴ」です、サイドから眺めると、その特異なフォルムで印象的ですね。丸い卵のようでもあり、猫背の恐竜のようでもあります。とても愛らしいのです。
ダッシュボードの造形にも余裕が確認できる(写真提供:M:CRAFT)
インテリアも特徴的でした。トラックのようにフロントガラスが目の前にそそり立っていませんから、圧迫感がありません。ダッシュボードの造形にも余裕が確認できます。いまでこそ、エスティマに触発されたミッドシップレイアウトのモデルも少なくありません。
衝突安全テストの基準も厳しくなり、ドライバーの前方に衝撃吸収のための生存空間を設けなければならないこともあり、フロントガラスとの距離は伸びています。ですが、当時としてはその革新的でした。その発想の豊かさに気持ちが射抜かれたことを記憶しています。
発売時のエスティマの全長は4750mmと当時の日本では長めの車体だった(写真提供:M:CRAFT)
ただ、全長は4750mmと長めでしたし、何よりも全幅は1800mmにも達しました。日本の道にはやや大き過ぎたのです。価格も決して安くはありませんでした。人気はあったのですが、日本のマーケットでは販売で苦戦しています。
一方、海外での人気も高かったと聞いていますが、2.4リッターの動力性能が非力とのこと、やはり販売的に苦戦したそうです。エポックなモデルですが、バカ売れするとは限らないのですね。
もっとも、時代は変わりました。アルファードの全長は4995mm、全幅は1850mmもあります。エスティマはけして大きくはないのです。自然に街中に溶け込むような気がします。
威圧感のあるミニバン全盛の時代だからこそ、天才タマゴのような愛らしいミニバンがウケるような気がするのは僕だけでしょうか。
◾️トヨタ「エスティマ 2WD」
<エンジン>
形式:2TZ-FE
種類:直列4気筒DOHC16バルブ
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
総排気量(cc):2438
圧縮比:9.3
最高出力(ps/r.p.m):135ps(99kW)/5000
最大トルク(kg-m/r.p.m):21.0 (205.9N・m)/4000
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置
燃料タンク容量(リットル):75
<寸法・定員>
全長(mm):4750
全幅(mm):1800
全高(mm):1780
ホイールベース(mm):2860
車両重量(kg):1730
乗車定員(名):7
※ ※ ※
初代「エスティマ」が登場した1990年には、ホンダからスーパースポーツ「CBR400RR」が発売されました。レーサーレプリカブームの集大成とも言える「CBR400RR」は、最高出力59PSを発揮する水冷・ 4サイクル・DOHC・直列4気筒エンジンを搭載し、扱いやすさでもユーザーから注目を浴びていました。
ホンダの中型スーパースポーツ「CBR400RR(1990)」
「CBR400RR」の発売当時の販売価格(税抜)は、66万9000円、年間国内販売台数は1万4000台でした。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
くるまのニュース / 2024年11月22日 17時10分
-
驚異の9人乗り!? ダイハツ「すごいミニバン」販売好調で反響多数「すげえ」「でも良い感じ」全長4m級ボディに“4列詰め込み“ シェア9割超えの「グランマックス」尼国で人気に
くるまのニュース / 2024年11月12日 6時40分
-
147万円!スゴい「エスティマ」発見! まさかの「重厚感×ファンシー」を両立!? 超カスタムされたトヨタ「元祖高級ミニバン」が凄い!
くるまのニュース / 2024年11月6日 20時10分
-
トヨタ「最大級ミニバン」に大反響! 「車高短した“エスティマ”みたい」「めちゃ見かける」の声も! ワイド&ローな「シエナ」の歴史とは?
くるまのニュース / 2024年10月30日 6時10分
-
最高出力480PSの「BMW M2」、サーキットも走れるMハイパフォーマンスモデル
マイナビニュース / 2024年10月29日 22時12分
ランキング
-
1男女9000人超が答えた「好きな四字熟語」ランキング発表! 3位「明鏡止水」2位「初志貫徹」…圧倒的1位は?
オトナンサー / 2024年11月26日 21時10分
-
2ダイソーで販売「グミ」に回収命令……「深くお詫び」 使用不認可の着色料を使用、5万7000袋を回収
ねとらぼ / 2024年11月26日 18時1分
-
3「運転する夫に『間違えてばっかり!』と怒鳴ったら、路肩に急停止。怖くて大ゲンカしましたが、私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「お前が運転しろ」「料理してる時に言われたらどうする」の声も
くるまのニュース / 2024年11月26日 12時10分
-
4ついに出た。新一万円札が「37万円」に大化け!財布の中に眠っているかもしれない“レア紙幣”の正体は
オールアバウト / 2024年11月26日 21時50分
-
5紀文「おでんにからし」は? 「つける」派、「つけない」派どちらが多数? 公式「X」がユーザーからの“意外な薬味”報告に驚き
オトナンサー / 2024年11月26日 23時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください