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最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?

バイクのニュース / 2024年6月14日 13時10分

最近、ニュースやSNSなどで話題となっていた「私人逮捕」ですが、バイクについての交通違反にも適用される行為なのでしょうか。

■話題になっていた「私人逮捕」はバイクの違反にも適用される?

 最近、ニュースやSNSなどで話題になっている「私人逮捕」という言葉。これまであまり耳にすることがなかったワードですが、SNSには私人逮捕に関連する動画がいくつもアップされており、多くの人から注目を集めています。

 私人逮捕とは、警察官ではない一般の人が犯罪を犯した者を逮捕することです。犯罪の抑止につながるメリットがある一方、最近では、”私人逮捕系” や “世直し系” と呼ばれる動画投稿者による逮捕者が出たり、えん罪などのトラブルが立て続けに起きていたりなど問題にもなっています。

私人逮捕が認められているのは現行犯逮捕のみで、通常逮捕と緊急逮捕をおこなうことができるのは、警察官や検察官などの捜査機関だけ私人逮捕が認められているのは現行犯逮捕のみで、通常逮捕と緊急逮捕をおこなうことができるのは、警察官や検察官などの捜査機関だけ

 ところで、私たちライダーがやりがちなスピード違反や信号無視といった交通違反も、法的には犯罪にあたりますが、「私人逮捕」はバイクについての交通違反にも適用されるのでしょうか。

 そもそも私人逮捕については、刑事訴訟法第213条で「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして逮捕することができる」と規定されています。ただし、犯罪の容疑がかかった人であれば、すべて私人逮捕できるかといえばそうではありません。

 逮捕には通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。このうち私人逮捕が認められているのは現行犯逮捕だけ。通常逮捕と緊急逮捕をおこなうことができるのは、警察官や検察官などの捜査機関だけです。

 さらに、30万円以下の罰金、拘留、科料にあたる軽微な犯罪についての、現行犯逮捕の条件は2つあります。まずひとつ目が「犯人の住居または氏名が明らかでない場合」、2つ目が「犯人が逃亡するおそれがある場合」のいずれかの条件を満たした場合のみ現行犯逮捕が認められています。

私人逮捕ができないケースとは、交番などの指名手配犯のポスターの犯人を見つけたときなど私人逮捕ができないケースとは、交番などの指名手配犯のポスターの犯人を見つけたときなど

 これらの条件を踏まえて、私人逮捕が認められるケースとしては、盗撮犯や万引き犯を見つけてその場で取り押さえた場合などが挙げられます。一方、私人逮捕ができないケースとは、交番などの指名手配犯のポスターの犯人を見つけたときなどです。指名手配の犯人は過去に犯行をおこなっているので現行犯にあたりません。

 現行犯逮捕とは、「現に罪をおこなっている、または現に罪をおこない終えている者」である必要があります。そのため、指名手配犯を見つけて私人逮捕した場合は、違法となる可能性があるので注意が必要です。

 つまりバイクに関連する違反の場合、現行犯であれば私人逮捕は可能というわけです。

 たとえば、交通違反のなかでも飲酒運転やひき逃げなどは、本人が犯罪の認識があるにもかかわらず違反を犯しているため、非常に悪質なケースといえます。こうした重大な交通違反を目の当たりにした場合は、現行犯であれば私人逮捕の要件を満たしているといえるでしょう。

■軽微な交通違反についてはどうなるのか?

 法律上は、犯人の住居や氏名が不明、または犯人が逃亡するおそれがある場合に限り現行犯逮捕ができます。たとえば、軽微な違反である信号無視や一時停止違反をうっかりしてしまったバイクのライダーを、私人逮捕することも不可能ではありません。

軽微な交通違反をした人に対しては「青キップ」と呼ばれる告知書を発行する「交通反則通告制度」で取り締まるのが一般的軽微な交通違反をした人に対しては「青キップ」と呼ばれる告知書を発行する「交通反則通告制度」で取り締まるのが一般的

 しかし、実際に信号無視や一時停止違反などの軽微な違反をして、警察に逮捕されるケースはまずありえません。というのも、軽微な交通違反をした人に対しては「青キップ」と呼ばれる告知書を発行する「交通反則通告制度」で取り締まるのが一般的だからです。

 これは、本来すべての交通違反について刑事事件として立件すべきところを、反則金を納めることで行政上の手続きのみで完了し、刑事処分を免れるという制度。すべての交通違反を刑事手続きで処理していると膨大な数になり、役所や裁判所がパンクしてしまうため、行政機関や違反者の負担を減らす目的があります。

 ましてや、逃亡しようとしている犯人を警察ではない一般人が取り押さえることは非常に難しいことです。また、万が一相手が逆上して抵抗されてつかみ合いになったら、トラブルに発展して自身が罪に問われてしまう可能性もあります。つまり、軽微な違反については刑事事件と立件されるケースがほとんどないため、逮捕するという行為そのものが必要ないといえます。

私人逮捕はあくまでも、ひき逃げや飲酒運転による当て逃げなど、重大事故を起こした犯人を逃がさないための緊急的な処置として考えるべき私人逮捕はあくまでも、ひき逃げや飲酒運転による当て逃げなど、重大事故を起こした犯人を逃がさないための緊急的な処置として考えるべき

 そのため、私人逮捕はあくまでも、ひき逃げや飲酒運転による当て逃げなど、重大事故を起こした犯人を逃がさないための緊急的な処置として考えるべきです。軽微な違反については、危険を犯してまで違反者の身柄を取り押さえようとはせずに、その道のプロである警察にまかせたほうが安全といえるでしょう。

※ ※ ※

 近ごろ、動画サイトやニュースなどで何かと話題になっている「私人逮捕」。要件を満たしてさえいれば、バイクの交通違反に対しても私人逮捕することは可能です。しかし、これはあくまでも法律上の話になります。

 私人逮捕を実行すれば、思いもよらないトラブルに巻き込まれたり、自身が罪に問われる可能性があるため、やらないに越したことはありません。目の前で交通違反を目撃したときは、ナンバーを控えて、その場で110番に通報することをまず考えるようにしましょう。

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