50ccエンジンバイクの新車が国内から消える!! 二重規制で2025年6月に前倒しか?
バイクのニュース / 2024年6月15日 12時10分
新基準原付の問題が決着しないうちに、原付バイクの生産打ち切りを前倒しする二重規制が始まろうとしています。当初、排ガス規制で50ccエンジンバイクが生産できなくなるのは2025年11月のはずでした。これがウインカーなどの灯火規制告示の適用が2025年6月に始まることで、さらに早まることが予定されています。50ccエンジンが消えることが決まっている中で、ダメ押しの問題浮上です。
■1年後が見えない原付50ccバイク、果たして何モデル残るのか
排出ガス規制の強化で、排気量50ccのエンジンを搭載する原付バイクの生産が2025年11月からできなくなります。この排出ガス規制は、他の排気量では適用済ですが、50cc原付バイクゆえに技術的対応の難易度が高く、対応できたとしても求められる価格と見合わないことから猶予が続いていました。
国土交通省(撮影/中島みなみ)
この規制がスタートすると、原付バイク市場には電動バイクか、125ccエンジンの出力を50ccバイクレベルに抑制した新基準原付しか残らないことになります。
ところが、すでに生産不可能が既定路線となっている50ccバイクに、さらに前倒しを迫る規制が2024年6月から始まる予定です。
これが、バイクのウインカー技術基準告示の変更です。正式名称は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(二輪自動車等の灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置の技術基準=5.18.3.3)」です。
本来、告示とは広く一般に知らせるためのものですが、とてもわかりにくいことも問題です。
曲がる方向を示す左右のウインカー照明部分の間隔は、これまでは単にフロントで300mmm以上、リアは150mm以上と定められていました。
しかし、スクーターなどで採用されている異形ヘッドライト(デイタイムランニングライトなど)の技術進化に対応し、なおかつ国際基準調和を図るため、ウインカー照明部の「最内縁」や「最外側」という計測ポイントが導入され、基準が変わることになりました。
これも50cc以外ではすでに取り入れられた技術基準でしたが、原付バイクでは排出ガス規制と同じように延期されていました。
■国交省は自工会の申し入れがきっかけと話し、自工会はこれを否定
なぜ作れなくなることがわかっている原付に今、新たな規制を課す必要があるのか? じつはこの規制、13年前に変更条文はできていました。ただ、この時点ではバイクメーカーの意見集約を行なう日本自動車工業会から「原付バイクには設計制約があるので変更後の告示に沿った取付が難しい」という方向性が示されて、2015年に改定内容は見直されました。
50cc原付バイクは、いまでも日本の移動を支える大きな交通手段
不可解なのはその後の適用タイミングです。この告示の変更は原付バイクには適用されないまま今日を迎え、2025年6月から適用されることが決まっています。
国交省物流・自動車局は告示の改定は以前から決まっていたが、日本自動車工業会二輪車委員会から、2024年3月になって「(告示に)対応できない」という話がもたらされたと言います。
「来年11月前後と来年6月前後での短期間での2回の設計変更による負担が大きいため、そのような要望となっていると認識しています」(車両基準・国際課)
そのため、原付50ccバイクに対する告示の適用は、1年前になって再び「見直しの見直し」をすべきか否かで揺れ始めたのです。
しかし、日本自動車工業会二輪車委員会は「自工会として国土交通省・車両基準国際課に対して法規対応を不可能とした事実は確認できませんでした」と、見直しの見直しを否定します。
オートバイ流通に詳しい関係者は次のように話します。
「バイクメーカーは強化規制直前まで原付バイクを作り続けるつもりはない。原付バイクが生産できなくなることを見越して、販売店は従来以上の発注を出しているが、メーカーが応じるかどうかは微妙。需給バランスの崩れた原付国内市場が今後どうなるか。誰にもわからない」
50ccバイク市場は出荷台数が減少しているとはいえ、日本の移動を支える大きな交通手段です。
総務省が課税標識(ナンバープレート)の取得実態を取りまとめた課税状況調べによると、全国でナンバープレートを取得した50cc以下の車両は433万1337台。125cc以下の200万9621台の2倍以上が走っています。
規制当局である国交省と、車両供給元のバイクメーカーは、日本の原付市場とバイクユーザーをどう考えているのでしょうか。
規制その後の明確なビジョンが示されていないことは問題です。
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