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同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ C100 1962年モデル再生

バイクのニュース / 2024年6月19日 7時10分

どんなバイク、どんなモデルでも、自分自身にとって思い入れがあるバイクには、ある種違った感情があるはず。憧れのバイク、親父が載っていたバイク、なかなか手が届かなかったナナハン…… 人それぞれに思い入れは異なるものでしょう。そういった憧れや感情を年式で紐解くと、バイクに対する思い入れは、また違ったカタチとなり湧き上がってきます。バイク免許を取得した当時に憧れていたバイクもそのひとつですが、ここで注目したいのは、自分自身の生年月日。「あの出来事は、いつだったっけ!?」なんて忘れてしまいがちな月日ですが、自分自身の生誕日、誕生日は、誰もが忘れない「記念すべき日」のはずです。長きにわたってロングセラーが続くメーカーのファンの間では、自身と同じ生誕年モデルに乗ることを「粋」とするお話しがあります。ハーレー・ダビッドソンのVツインがまさにそれです。だったら、国産車で自分と同じ生誕年に発売されたモデルはどうだろう!? と考えた時に、想定外のモデルの中から、実に気になるモデルを発見できたりすることもあります。ここでは、企画担当の私たぐちかつみの生誕年である1962年に注目した時に、偶然見つけたスーパーカブの1962年モデルについてレポートしていきます。

■ピノキオテールランプが特徴の時代

 所有していたバイクを譲渡するので、新たなるオーナーさん宅へバイクを届けたときのお話しでした。そのガレージで出会ったバイクが、ホンダ「C100」だったのです。C100と言えば、小学生の頃、親父が通勤バイクとして乗っていたモデル。そのC100を皮切りに、その後、乗り継いだスーパーカブには、さまざまな思い出があります。

年式的な装備部品の特徴やフレーム打刻のアルファベットを理解することでおおよその年式を特定することができるスーパーカブC100。例えば、フロントウインカーレンズの突起平面に固定ネジがあるタイプはバルブが豆電球仕様で、1962年9月頃までの生産車は、この仕様年式的な装備部品の特徴やフレーム打刻のアルファベットを理解することでおおよその年式を特定することができるスーパーカブC100。例えば、フロントウインカーレンズの突起平面に固定ネジがあるタイプはバルブが豆電球仕様で、1962年9月頃までの生産車は、この仕様

 新車購入などできなかったので(当時のスーパーカブは5万円強)、親父はいつも、予算1万円の範囲内で、程度が良いスーパーカブが下取りに入ると、知り合いのバイク屋さんから購入し、乗り換えながらスーパーカブで通勤。最初に購入したモデルは鷲鼻テールで、親父からは「10年前のモデルだから1万円で買ってきた」と聞いていました。鷲鼻テールは記憶していたので、思い起こせば、初期シリーズのスーパーカブが親父の愛車だったと思われます。

 売買車両のオーナー宅で見つけたC100は、おむすび型の逆三角形テールで、カマキリの顔のようにも見えることから、おむすびテールとかカマキリテールと呼ばれる最終シリーズのC100でした。バイクを納車しつつ、バンにC100を載せて帰宅。

その時、すでに別のスーパーカブ(かもめシリーズ)は所有していましたが、スーパーカブの歴史を知っていく中で、初代シリーズで「OHVエンジン」を搭載した、C100が気になっていました。代わりに持ち帰ったC100は、決してコンディションが良い訳では無く、エンジン始動するとマフラーからは白煙がモクモク……。2ストエンジンのモクモクとは違った、目にしみるモクモク感が、4ストエンジンの特徴でした。

最初に購入したフレームナンバーM頭文字のC100をメンテナンスしてエンジン始動すると、マフラーからは驚くほど白煙が吹き出し、ガレージ内は真っ白のモクモク状態。眼がチクチクします。生まれ年と同じ1962年型はこんな白煙が出ないC100へと仕上げる予定!!最初に購入したフレームナンバーM頭文字のC100をメンテナンスしてエンジン始動すると、マフラーからは驚くほど白煙が吹き出し、ガレージ内は真っ白のモクモク状態。眼がチクチクします。生まれ年と同じ1962年型はこんな白煙が出ないC100へと仕上げる予定!!

 まずはエンジン修理を進めよう、気になる白煙が出なくなるようにしよう、と考え、新品部品を集めて作業開始。世界的に数多く販売されたC100用部品は、後期モデルの補修用なら比較的容易に購入することができました。

 分解したシリンダーヘッドから旧排気バルブを抜き取り、そのバルブステム径をマイクロメーターで測定すると、新品バルブと比べて確かに摩耗進行していました。しかし、モクモク白煙になるほどの減り具合ではなかったのです。

次に、シリンダーを抜き取ると、すでに0.25ミリオーバーサイズのピストンが入っていて、ピストンリング単品をシリンダー内に挿入して、リングの合口隙間を測定すると、すでに使用限度値を軽く超えていることがわかりました。

一般的にモクモクの白煙原因は、吸排気バルブステムからエンジンオイルが下がってしまうのと、ピストンリングの摩耗によるオイル上がり。さらにはピストンリングの中でも「オイルリングの張力不足」が考えられます。

 そこで、シリンダーはさらに1サイズ大きくしようと考え、0.50ミリオーバーサイズの新品ピストンとピストンリングを準備。ピストンピンやピストンピンクリップも新品部品を用意しました。

 内燃機のプロショップへ依頼する際には、ピストンクリアランスを20/1000~25/1000ミリで依頼。シリンダーヘッドに関しては、分解後に旧排気バルブを新品部品に交換し、そのバルブに合わせて、燃焼室のバルブシートカットと擦り合わせを依頼しました。このような手順で新たに内燃機加工を施した腰上部品をエンジンに組み込み、マフラー内をガソリンで洗った後に乾燥させてから取り付け、エンジン始動。白煙が噴き出していたマフラーは、内部を脱脂洗浄しない限り、残留オイルやカーボンが焼けて再び白煙や黒煙が出てしまうことがあります。そんなエンジンの修理後には、マフラー内をガソリン洗浄し、乾燥させることも有効なのです。

■エンジンは無事に始動、しかし……

 エンジン始動すると、スムーズにアイドリングしてピストン周辺のメカノイズは少なくなりました。空吹かししても、以前のようにおびただしい白煙を吹き出すことはありません。しかし、エンジンが温まった頃、やや強めに空吹かしすると、ごく薄くではあるものの、白煙が吹き出しているようです。バルブガイドがシリンダーヘッド一体の鋳鉄製だから、ガイド交換はしなかったのですが、そのあたりが影響して、白煙が現れるのかも知れないです……。

年式別C100の装備が微妙に異なることを知ったきっかけになったC100最終シリーズのおむすびテール型モデル。C100は鷲鼻テールに始まり、ピノキオ小、中、大と徐々に大きくなり、最後はこのおむすび型テールランプとなり1966年まで製造された年式別C100の装備が微妙に異なることを知ったきっかけになったC100最終シリーズのおむすびテール型モデル。C100は鷲鼻テールに始まり、ピノキオ小、中、大と徐々に大きくなり、最後はこのおむすび型テールランプとなり1966年まで製造された

 いまひとつ納得できないまま日々過ごしていたときに、何気なく見たのがフレームナンバーの頭文字。C100の場合は、大量生産以降、頭文字がアルファベットになっていて、その文字である程度の生産年がわかる資料がスーパーカブの資料本に出ていたことを思い出しました。

 調べるてみると、譲渡車両と引き換えで積んできたスーパーカブC100は、昭和39年型だと判明。だったらスーパーカブC100の昭和37年型(1962年型)は、アルファベットの頭文字がどのあたりなのか……いくつかの資料を参考に、おおよそのアルファベット文字を導き出し、メモして免許証入れに差し込んでおきました。

 数年後、お宝さがし&見学へ行った部品交換会では、C100を見つけてはフレームナンバーを確認しました。最初に見つけた同い年は、欠品部品が多く、レストアするには部品探しが大変だと判断してパス。2台目は、カスタムされていてリヤフェンダーが切り取られていました。そして捜索4年目ぐらいに見つけた個体が、今まさに所有している1962年生産モデルです。「お前が先か、おれが先か……」白煙を吹かず元気良く走れるように、きっちり仕上げてあげようと思います~♪

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