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世界のバイク市場は原付クラス!? 2025年で50ccエンジンバイクを終わらせる国内のバイク市場が心配だ!

バイクのニュース / 2024年6月19日 12時10分

排出ガス規制と灯火規制の相次ぐ強化で、風前の灯と化した国内50ccエンジン車生産。新基準原付に期待する声や、そもそも原付免許を125ccまでにすべき、という声も上がる中、なぜ何の代替もなく規制強化は推し進められたのか。「バイクをちゃんと作ってほしい。生活の足を確保してほしい」と、AJ(全国オートバイ事業協同組合連合会)の大村直幸会長が訴えます。原付こそが大型バイクを含めた豊かなバイクライフを支えている、という主張です。

■規制適用の延長がなければ、2023年には新車の3分の1が消えていた

「2025年11月以降、50ccのエンジンバイクが生産できなくなるという話は、50ccに限って2022年11月から適用される一段厳しい排出ガス規制の期限を、3年間延ばしたことに端を発しています」(AJ大村直幸会長)

排気量50ccクラスのエンジンバイクは、事実上の生産中止。生活の足こそが、世界のバイク市場を支えている排気量50ccクラスのエンジンバイクは、事実上の生産中止。生活の足こそが、世界のバイク市場を支えている

 排出ガスの有害物質の除去を焦点とした国内4次規制は、マフラーの中の触媒で有害物質を燃焼させることで対応します。50ccエンジンはマフラー内の温度上昇に時間がかかり、始動からすぐに走りだすと規制値を大幅に超えてしまうことから、事実上の生産中止が見込まれていました。

 3年間の適用延長は、その間に対策を話し合うための、いわば猶予期間。大村氏らが規制当局に働きかけたものです。4次規制が決まった時点では現在の新基準原付の議論はなく、50ccクラスの電動バイクのラインナップも、ほぼビジネスユースに限られたものでした。

「出荷台数で原付2種が原付1種を上回った、なんて話が出てますけど、僕に言わせると、AJとオートバイ政治連盟が協力して3年間規制延期を言わなかったら、2023年の原付1種9万3000台の実績は、減少どころか1台も無かった。国内バイク新車市場の3分の1、4分の1が無くなったことになるのです。けっこう重たい話ですよね」

■世界のバイク市場は原付クラスで儲けている。なぜ日本はそれを切り捨てるのか?

 バイクの販売は免許制度と密接に関わっています。二段階右折や実態に合わない最高速度規制を考えれば、すでに原付市場は価値を失っているのではないか、という話も耳にします。

 大村氏は、この考え方を一刀両断します。

「世界のバイクは原付クラスでできている」国内の原付クラスを切り捨てることに疑問を投げかけるAJ大村会長(撮影/中島みなみ)「世界のバイクは原付クラスでできている」国内の原付クラスを切り捨てることに疑問を投げかけるAJ大村会長(撮影/中島みなみ)

「世界のバイク市場で日本メーカーさんのブランドをすべて合計すると、約半分がジャパンブランドだと言われています。

 僕も役所、政治家の先生と話をさせていただくときに『だから、オートバイのことも、もっと考えてほしい』と訴えます。でも、実は世界で愛される日本のバイクは日本の市場と同じように、それぞれの国で原付クラスと言われるバイクが、ほとんどを占めているのです。

 東南アジア、アフリカを始め、欧州でも世界で売れているバイクはその国では原付クラス、生活の足なんですよ。国内で50ccバイクはガラパゴスと言われますが、排気量が小さいだけで、けして世界は大型バイクの台数が大半を占めているということはないんです。

 それでも日本国内では原付50ccなんて必要ない、原付はどうでもいいという扱いをしてきたように感じることが、とても残念です」

 50ccバイク市場は出荷台数が減少しているとはいえ、日本の移動を支える大きな交通手段です。

 総務省が課税標識(ナンバープレート)の取得実態を取りまとめた課税状況調べによると、全国でナンバープレートを取得した50cc以下の原付車両は433万1337台で、125cc以下の200万9621台の2倍以上が使われている実態があります。

 なぜ国内では、切り捨てとも思える規制強化が進んでいるのか。国内規制の矛盾についても言及します。

「規制強化は国際基準調和だとよく言いますが、一方で50ccバイクは日本以外ではほとんど走っていないというのも現実です。では何と調和させるのか。結局、日本は日本の規制をすると国交省は言うのですから、日本の50ccは日本の実態に合った規制をすればいいと思います」

 電動シフトについても疑問を投げかけます。

「電動バイクを買えばいい、と簡単に言います。郵便バイクだって電動化していると。その補助金に経産省は6万円しか出していない。東京都は1台最高47万9000円まで出す(※2022年度)。

 でも、70万円の電動バイクで運ぶ荷物は、30万円のエンジンバイクと同じです。その現実は変わらない。補助金が無いことを理由に簡単に価格転嫁できない。生活の足というのは、そういうビジネスを支える存在でもあるのではないでしょうか」

 2025年11月の排出ガス規制に加えて、同年6月の灯火規制で、50ccエンジンバイクの生産中止は、さらに早まるとされています。

「世界の2輪市場の中では原付クラスがしっかり活躍しているのに、日本市場ではどちらかと言うと、どうでもいいという流れで来ている。

 日本メーカーは世界では原付クラスで儲けている。国内は数が出ないからしょうがないというのはあるが、このクラスを拡大させて、もう少し日本の中でバイクが市民権を得られる状態を考えていただきたい」

 この問題は、大型のファンバイクのユーザーにも考えて欲しいと訴えます。

「大型バイクがどうでもいいというわけではけしてないです。ただ、実は原付が減ってしまったら、大きなバイクのために駐車場を作ってくれと頼んでも、だれも相手にしてくれないです。

 ですから、これまでもがんばってきたし、今もがんばっている。みなさんと一緒に政治活動、業界活動を通じて、2輪業界の未来を創る活動を続けたい」

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