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「ニュートラル」は、なぜ1速と2速の間にあるの?

バイクのニュース / 2024年6月21日 11時10分

バイクを停止してギアをニュートラルに入れようとしたら、通り過ぎて2速に入ってしまった……。そもそもニュートラルはなんで1速と2速の間にあるのでしょう? じつは「いちばん下がニュートラル」のバイクもあるのです。

■あえてニュートラルを出しにくくしている!?

 無段変速のスクーターなどを除けば、現行のスポーツバイクの変速機(ギア)は、ほとんどが「リターン式」です。車両によって6速や5速など変速の段数は異なりますが、たとえば6段リターン式なら1番下が1速で、その上がニュートラル(N)、さらに2速→3速……と上り、1番上の6速まで行ったら、折り返して(=リターンして)5速→4速……と下がり、1番下の1速に戻ります。

スポーツバイクに多い6段リターン式のシフトパターンスポーツバイクに多い6段リターン式のシフトパターン

 ここで少々疑問に感じるのが、なぜニュートラルは1速と2速の間にあるのか? です。操作に慣れないと、1速で停止してニュートラルに入れようとしたら、通り過ぎて2速に入ってしまい、シフトペダルを踏み下げたらまた1速まで落ちて……を繰り返すうちに信号が変わった、という経験もあるでしょう。そう考えると、ニュートラルは1番下にあった方が分かりやすいし、出しやすいように思えます。

 しかし、走行中にシフトダウンした際に、1速に入れたつもりが間違えて1番下のニュートラルまで下げてしまったら、エンジンブレーキが効かずにスーッと惰性で走ってしまいます。これは感覚的にも予想に反して加速するようなイメージなので、非常に危険です。

 そのため、ニュートラルは敢えて入れにくい(走行中に入りにくい)場所で、かつ停止や発進に便利なように1速と2速の間に配置しているのです。

 とはいえ昔は、リターン式でも1番下がニュートラルの「ボトムニュートラル」と呼ばれるシフトパターンのスポーツバイクも存在しました。有名なところではカワサキ「500SSマッハIII」が、5段リターン式のボトムニュートラルでした。

 なぜ「マッハIII」がボトムニュートラルだったのか理由は定かではありませんが、他と違う個性を打ち出したかったのかもしれません。ちなみに1976年に「KH500」にモデルチェンジした際には、一般的な1ダウン4アップのシフトパターンに変更されました。

■実用車は、ニュートラルの出しやすさを重視

カワサキ「500SSマッハIII」(1969年型)は、5段リターン式でシフトパターンは「ボトムニュートラル」だったカワサキ「500SSマッハIII」(1969年型)は、5段リターン式でシフトパターンは「ボトムニュートラル」だった

 バイクの変速機は「リターン式」の他に、かつては「ロータリー式」がありました。これは昔のホンダ「スーパーカブ50」などの実用車に採用され、当時は3段変速でニュートラル→1速→2速→3速→ニュートラル……と、クルクル回転するようにギアチェンジが出来ました(シフトダウンも同様)。

 1番高いギア(3速)から直接ニュートラルに入れられるロータリー式は、短い距離で発進・停止を頻繁に繰り返す新聞配達などで使い勝手が良かったのです。

 とはいえ走行中に3速からニュートラルを経由して1速に入れてしまうと、強いエンジンブレーキが効いて後輪がロックする危険もあり、やはり運転には慣れが必要でした。

 そこでホンダは、走行中はリターン式で、停車時のみロータリー式になる独自の変速機を開発し、後のスーパーカブや、そこから派生した「クロスカブ」や「CT125・ハンターカブ」、「ダックス125」等に採用しています。

ホンダが現行の「スーパーカブ」シリーズや「ダックス125」等に採用する変速機のシフトパターンホンダが現行の「スーパーカブ」シリーズや「ダックス125」等に採用する変速機のシフトパターン

 走行中はリターン式ですが、シフトパターンとしては「ボトムニュートラル」になります。これは停止中にロータリー式になるゆえの構造で、ニュートラルの出しやすさを優先した結果でしょう。

 また、この変速機を備えるバイクは「シーソー式シフトペダル」を採用し、ツマ先またはカカトで踏み込むだけでギアチェンジができます。かきあげる操作が無いので、靴のつま先が傷まないというメリットもあります。

■レース用のバイクは、上下逆!?

 現行スポーツバイクの変速機は、ほとんどがリターン式でシフトパターンは1ダウン5アップです(6速車の場合)。しかし、これらのバイクをレースで使う際には1アップ5ダウンのシフトパターンに改造することが多く、コレを「逆チェンジ(逆シフト)」と呼んでいます。

ホンダのCBR1000RR-Rは、シフトペダルのロッドの位置を変えることで、簡単に正チェンジから逆チェンジに変更できるホンダのCBR1000RR-Rは、シフトペダルのロッドの位置を変えることで、簡単に正チェンジから逆チェンジに変更できる

 逆チェンジにする理由は、加速時のシフトアップ操作がツマ先でかきあげるよりも、踏み下ろす方が素早く確実で、タイムの向上に役立つからです。

 またレースではコーナーで非常に深く車体をバンクさせるため、左コーナーはシフトペダルと路面の隙間が非常に狭くなり、シフトアップのためにツマ先をシフトペダルの下に入れるのが困難になることがあります。それを回避するためにも逆チェンジは効果があります。

 ただし公道と同じ正チェンジを好むレーシングライダーもいるので、必ずしも逆チェンジとは限りません。

 それでは、ロードレースの最高峰であるMotoGPマシンはどうなっているのでしょうか? 6段リターン式ですが、ニュートラルは1速と2速の間にはなく、ハンドルのボタンまたはレバー操作によってニュートラルを出します。

 MotoGPマシンは「シームレスミッション」と呼ばれる、一般的なスポーツバイクとは異なる特殊な変速機を装備しています。またレースの走行中にニュートラルを使う必要がないため、構造的にも誤操作を防ぐためにも、ボタンやレバー操作でニュートラルを出すように作られているのです。

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