自転車を水素でアシスト!? e-BIKEの新しい潮流を垣間見た『BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024』
バイクのニュース / 2024年6月23日 12時10分
開催9年目となる『BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024~自転車-電動モビリティまちづくり博~』では、e-BIKEから電気自動車、電動ミニカー、電動スクーターなど多彩な電動の乗りものから、新型EV充電機器、駐輪・駐車機器といった最新のインフラまで展示されました。なかでも新しいe-BIKEとして、水素を主燃料とする燃料電池アシスト自転車に注目。実際に見て、乗ってみました。
■e-BIKEの新技術に期待!
地球規模での環境問題への取り組みの必要性が叫ばれるなか、脱炭素やカーボンニュートラルを実現するためのモビリティや、それらを活用するためのまちづくりやインフラ整備は、持続可能な未来を目指すために大切な要素になっていると言えるでしょう。
『BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024~自転車-電動モビリティまちづくり博~』の模様
そのような未来を見据え、e-BIKE(電動アシスト自転車)から電気自動車、電動ミニカー、電動スクーターなどの多彩な電動の乗りものから、新型EV充電機器、駐輪・駐車機器といった最新のインフラまでが一堂に集結する展示会『BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024~自転車-電動モビリティまちづくり博~』が2024年6月5日(水)、6日(木)に東京・西新宿の新宿住友ビル三角広場で開催されました。
会場には本田技術研究所の協調人口知能搭載の自動走行マイクロモビリティ「CiKoMa」や、三菱自動車の新型軽商用EV「ミニキャブEV」、トルコ製電気バス「e-JEST」、フィリピン製電気バス「Smart Bus」、中国製EV「OHKUMA」などの大型の電動車両から、フォーミュラ-Eのタイトルスポンサーを務めるABBの高機能EV充電器、東光高岳、新電元工業、ニチコン、日東工業などの国内製EV充放電機器といったインフラ機器、そして、自転車の新型駐輪機器や新型駐車場システムなど、電動モビリティを快適に活用するためのインフラ設備なども所狭しと展示されており、未来のまちづくりを想像させてくれるラインナップになっていました。
昨年の開催と比べると、大型の電動自動車や充電器をはじめとする充電サービスなどが増えた印象でしたが、e-BIKEも注目したい開発車両が展示されていました。
やはり目を引いたのは、荷物を運搬するための車両です。物流業界でも様々な課題が浮き彫りになっている昨今、e-BIKEのパワーと小回りの良さを活かし、宅配施設から個人宅までのラストワンマイルの運搬などで大きな力になると期待されています。
昨年に続いての出展となった、世界的なチェーンメーカーとしても知られる株式会社椿本チエインが開発した電動アシスト3輪自転車は、後輪に新たに独自のスイング機構を搭載し、これまでよりも安定した乗り心地を実現していました。実際に試乗してみましたが、かなりフレキシブルに後輪が動くので、急なカーブや段差なども普通の自転車に近い感覚で乗ることができました。
椿本チエインの電動アシスト3輪自転車「LA SI QUE」
業務用電動アシスト自転車の取り扱いや、自転車のタイヤに自動で空気を補充するエアハブ機能などで知られる株式会社シゲオーは、e-BIKEで牽引し、目的地に着いたらそのまま台車として活用できるリヤカー「デュアルポーター」や、自転車で重い荷物を引いていたり、下り坂を走っていても安心して牽引することができるブレーキ付きリヤカー「ランドポーター」、そして自転車用のドライブレコーダー「Rec-eye」を展示。実際にe-BIKEを使う人たちが安心して働けるようなラインナップになっていました。
シゲオーのブレーキ付きリヤカー「ランドポーター」
今では当たり前となった前輪側に子供を乗せる専用自転車「ふらっか~ず」を開発したことでも知られる、日本の自転車製造の老舗である株式会社丸石サイクルが開発したのは、回生充電で最大1000km走行可能の「Re:BIKE(リ:バイク)」です。これまでにも充電しながら走行する回生充電を採用した車両は存在しましたが、1000kmという数字には驚きです。
丸石サイクルの回生充電で最大1000km走行可能「Re:BIKE」
そして今回の展示会でもっとも気になったのは、水素を主燃料とする燃料電池でモーターを動かすe-BIKEの登場です。「燃料電池アシスト自転車」の先進国とも言える中国・上海で実際に使用されている自転車を、YOUON JAPAN株式会社が展示していました。
現在の一般的なe-BIKEはリチウムイオンバッテリーに充電した電力でモーターを動かしますが、燃料電池アシスト自転車は水素を利用して発電し、モーターに電力を供給する形式になります。
開発中の燃料電池アシスト自転車「porocle」の試作機
札幌でシェアサイクル「porocle」を運営している認定NPO法人ポロクルと、自転車タクシー「VELOTAXI」を運営しているNPO法人エコ・モビリティ サッポロが、トヨタ自動車北海道株式会社と共同で燃料電池アシスト自転車を開発中とのことで、すでに既存のe-BIKEと遜色のない機能を有しているそうです。実用化されたら自転車タクシーでも使用されるとのことで期待が高まります。
上海では一足早く燃料電池アシスト自転車が実用化されている
実際に試乗してみましたが、音や振動など既存のe-BIKEとの違いは何も感じず、素直に乗ることができました。
興味深かったのは、自宅で水筒ほどのサイズのタンクに水素を充填するための水素発生装置も同時に販売されているという点です。もし「FCV(燃料電池自動車)」が一般的になる時代が来たとしたら、各家庭に水素発生装置が置かれることになるかもしれません。
水素を利用する燃料電池アシスト自転車については、安全性や利便性の確保などまだまだ課題は残されていると思いますが、新しい技術が開発されることは大歓迎です。e-BIKEの新しい可能性を垣間見たような気がします。
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