速度超過を取り締まる「オービス」とは別物!?「Nシステム」って一体なに

速度超過を取り締まるために導入されている機械、オービス。そんなオービスに瓜二つの「Nシステム」と呼ばれるものが存在しますが、具体的にはどのような役割を担っているのでしょうか。

■オービスとは違う？「Nシステム」の正体とは

　バイクを運転する上で、とくに注意したい交通違反が「速度超過」。重大事故につながりやすいため、警察が取り締まりを強化している違反の一つです。

　スピード違反の取り締まりといえば、「オービス」を思い浮かべる人が多いと思いますが、オービスは主に違反車両のナンバーを撮影しているため、後ろにしかナンバーが付いてないバイクは捕まらないという噂があります。

　そんなオービスと同様に、道路を行き交うクルマやバイクを撮影しているのが「Nシステム」。見た目がオービスと似ているため、カメラに気づいて「慌ててスピードを緩めた」という経験がある人もいるのではないでしょうか。

　そんなNシステムは、どのような目的で設置されているのでしょうか。

Nシステムは、走行中のクルマのナンバープレートを自動で読み取るシステム

　Nシステムは、走行中のクルマのナンバープレートを自動で読み取るシステム。正式名称は「自動車ナンバー自動読取装置」で、ナンバーだけでなく車種や色、通過時間、運転席や助手席にいる人の顔も撮影され、どのクルマがいつ通過したかを記録してデータ化するシステムです。

　主に警察の犯罪捜査や手配車両の追跡に利用されているため、「車両捜査支援システム」や「車両ナンバー捜査支援システム」などとも呼ばれることもあるよう。1987年に東京都江戸川区で設置されたのを皮切りに、現在までに全国の一般道から高速道路まで、約1700台が設置されています。

　そんなNシステムの導入により、以前は検問を実施しなければ探し出すことが難しかった逃走車や盗難車などの手配車両を、より迅速に発見できるようになりました。

　またクルマの盗難のほかにも、殺人や強盗などの凶悪犯罪にも活用され、迅速な事件解決に役立っています。ちなみに、Nシステムの頭文字のNは、ナンバープレートのN（Number）を意味しています。

オービスはスピード違反の取り締まりがメイン

　犯罪捜査を主な目的としているNシステムに対し、オービスはスピード違反の取り締まりがメイン。

　オービスの正式名称は「速度違反自動取締装置」といい、スピード違反の車両のみに反応し、撮影するのは運転席と助手席、ナンバープレートのみのごく狭い範囲です。

　一方のNシステムは通過する全車両を撮影し、路肩までの道路の広い範囲を撮影する事が可能。Nシステムとオービスを見分けるのは難しいかもしれませんが、オービスは撮影する時に赤もしくは白の強い光を放ちます。

　主に「赤切符」と言われる重大な速度超過の車両が対象で、一般道で30km／h、高速道路で40km／h以上の速度オーバーを検知すると撮影機能が作動します。

　なお、Nシステムは赤外線カメラを用いているため、撮影時に発光は伴いません。光らないため当然ながら目で確認することはできませんが、ドライブレコーダーやカメラに光が映ることもあるようです。

　また、オービスの手前には設置を知らせる予告看板がありますが、犯罪捜査に使われるNシステムは、当然ながら時前に告知されることはありません。

　このように、予告看板や撮影時のフラッシュで見分けることができますが、そもそもスピードの出し過ぎに注意していれば、どちらも用心する必要もありません。これらのカメラを気にするよりも、安全運転を心がけるようにしましょう。

現在は、車両の後方からも撮影ができる「可搬型Nシステム」が導入されている

　ちなみにNシステムのほとんどが、設置場所に向かてくる車両の前方から撮影する仕組み。そのため、前方にナンバープレートが付いていない上に、ヘルメットでライダーの顔が認識しづらいバイクは、Nシステムに検知されないと言われることがあります。

　しかし現在は、車両の後方からも撮影ができる「可搬型Nシステム」が導入されているため、バイクのナンバーも読み取る事が可能となりました。

　なお、この可搬型Nシステムは車検切れの車両の摘発にも活躍しているそう。街中で車検切れ車両のナンバーを撮影し瞬時に照合することで、通常の交通違反のようにその場で摘発できるそうです。

　なお、基本的にNシステムには速度を計測する機能がないため、スピード違反で捕まることはありません。

　しかし、「Nシステムは速度違反を取り締まらない」と油断した運転手のスキをついて警察が待ち構えていることもあるので、くれぐれもスピードの出し過ぎには注意しましょう。