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工具のハナシ 「スパナ」と「メガネ」どう使い分ける?

バイクのニュース / 2024年6月25日 11時10分

メンテナンスに必要な工具といえば、真っ先に「スパナ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。漫画やドラマの整備シーンでもスパナを握っている姿がお約束ですが、ボルトやナットを回すには、本当にスパナで良いのでしょうか?

■ケガや傷を避ける「メガネレンチ」がオススメ

 難易度の高い整備作業はバイクショップに依頼する方が安心ですが、緩んだミラーを締め付けたり、簡単なカスタムパーツの取り付けは自分でやりたい、という人も多いでしょう。そこで必要になる「工具」ですが、一般的な六角ボルトやナットを回すのに「スパナ」を使うほうが多いのではないでしょうか。

先端部が開いたスパナ(上)と、ボルトやナットの全周を囲むメガネレンチ(下)先端部が開いたスパナ(上)と、ボルトやナットの全周を囲むメガネレンチ(下)

 ちなみに、ボルトやナットを回すための工具は、総称として「レンチ(Wrench)」と呼びますが、日本では先端部が開いたモノを「スパナ」、先端部が丸く閉じたタイプは、そのルックスから「メガネ(メガネレンチ)」と呼ぶパターンが多いようです。

 前述したように、ボルトやナットを回すのにスパナを使うのはもちろんOKです……が、できるだけメガネレンチを使うのがオススメです。固く締まったボルトを緩める時などに、スパナは先端が開いているため作業時に外れる可能性があり、その勢いでスパナを握った手を周囲にぶつけてケガをする危険があります。対してメガネレンチは開口部が無く全周でボルトやナットをとらえるため、作業時に外れる可能性が少ないからです。

 また、スパナは2点(2面)でボルトやナットをとらえるのに対し、メガネレンチは6点(6面)でとらえるので大きな力を均等にかけられます。そのため固く締まっていても緩めやすく、ボルトやナットの角を傷めにくいメリットもあります。

スパナ(左)は2点で、メガネレンチ(右)は6点でボルト類をとらえるスパナ(左)は2点で、メガネレンチ(右)は6点でボルト類をとらえる

 そしてスパナの口は柄の部分とフラットですが、メガネレンチはボルトをとらえる部分に角度がついている場合が多く、ボルトに対して平らにかけて回しやすいため、強い力がかけられる上に作業中に外れる危険性も少ないと言えます。

■スパナは回す方向に注意!

 作業時に外れにくく、しっかり力を加えられてボルトやナットを傷つけにくいメガネレンチがオススメですが、スパナにもメリットがあります。

 一般的なスパナは、ボルト類をとらえる口が柄に対して15°傾いています。そのためスパナの表と裏を入れ替えて交互に使うことで、スパナの柄を振るスペースが少ない、狭い場所にあるボルト類を回すことができます。

スパナはアゴ(短い方)に向けて回すのがセオリースパナはアゴ(短い方)に向けて回すのがセオリー

 とはいえスパナは作業中に外れる危険を極力少なくするため、「アゴの方向に回す」という決まりがあります。なので、締まったボルトを緩めはじめる時や、反対にしっかり締め付ける時など強く力をかける時には、回転方向に注意しましょう。

■使い分けが大切

 ここまで読むと「すべてメガネレンチで作業した方が良いのでは?」と感じるかもしれませんが、メガネレンチが使えない場所も少なくありません。

ミラーを固定するナットはスパナを使用。レバーホルダーのボルト(レバー確度の調整など)はメガネレンチを使用ミラーを固定するナットはスパナを使用。レバーホルダーのボルト(レバー確度の調整など)はメガネレンチを使用

 たとえばネイキッド車のミラーをハンドルのホルダー部に締め付けているナットは、口の開いたスパナでないと回せません。他にもシフトペダルの高さを調整するためのステップのリンクシャフトのナットも同様で、バイクにはこういった箇所も少なくありません。

 というワケで、ボルトやナットを回すには基本的にメガネレンチを使い、メガネレンチが使えない場合のみスパナを使うのが正解でしょう。バイクの場合、使っている個所や構造にもよりますが、大抵のボルトはメガネレンチ、ナットはスパナでないと回せないパターンがあるので、使い分けることが大切です。

■便利なコンビネーションレンチ

 このように、メンテナンス作業にはメガネレンチとスパナの両方が必要になります。以前(2000年代頃まで)はバイクに「車載工具」が付属していましたが、大抵はスパナでメガネレンチは含まれませんでした。また近年のバイクは、ほとんど車載工具が付属しません。

スパナとメガネレンチがセットになった「コンビネーションレンチ」。スパナ側はフラットで、メガネ側には角度が付いて作業性に優れるスパナとメガネレンチがセットになった「コンビネーションレンチ」。スパナ側はフラットで、メガネ側には角度が付いて作業性に優れる

 なので新たに工具を手に入れるなら、作業性や安全性も考えると、片方が口の開いたスパナで反対側がメガネレンチになっている「コンビネーションレンチ」を選ぶのが良いかもしれません。

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