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全面新設計のロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」 旧車的で牧歌的な資質は維持しているのか?

バイクのニュース / 2024年6月29日 11時10分

2017年に登場したロイヤルエンフィールド初のアドベンチャーツアラー「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」が、2024年モデルで同社初の水冷エンジンを採用し、排気量は411ccから452ccとなって全面刷新されました。日本では2024年7月より発売開始。初代からどのように変わったのか、試乗しました。

■旧車&旅好きにとって理想的な特性

 ロイヤルエンフィールド初のアドベンチャーツアラーとして、海外では2017年、日本では2018年から発売が始まった「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」は、私(筆者:中村友彦)にとってはお気に入りの1台でした。

ロイヤルエンフィールド新型「HIMALAYAN」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)ロイヤルエンフィールド新型「HIMALAYAN」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 あのバイクの何が魅力的って、誤解を恐れずに表現するなら、1970年代後半に登場したヤマハ「XT500」やホンダ「XL500」に通じるフィーリングが味わえたことです。いや、ワイルドにして軽快な乗り味の2モデルを引き合いに出すのは、我ながらちょっと無理があるような気はしますが、旧車とツーリングが大好きな私の中では、「ヒマラヤ」はかなり魅力的な存在だったのです。

 そんな「ヒマラヤ」は2024年型で2代目に進化し、新たな機構として水冷単気筒エンジンや電子制御式スロットル、モード切り替え機構、TFTメーターなどを採用しました。

 初代に好感を抱いていた身としては、それらの新機構は微妙に腑に落ちないところですが、既存の「ヒマラヤ」の好セールスで明確な手応えを掴んだロイヤルエンフィールドが、動力性能向上を目指して最新技術を随所に採用したのは至って自然な流れ……だと思います。

■初代との共通部品は、ほぼ皆無

 2代目「ヒマラヤ」で、多くのライダーが注目しているのは、単気筒という形式を維持しながら、全面新設計となったエンジンでしょう。

新開発された排気量452ccの水冷単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載新開発された排気量452ccの水冷単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載

 新作エンジン最大の特徴は冷却方式を空冷から水冷に刷新したことですが、排気量を411ccから452ccに拡大したこと、動弁系をOHC2バルブからDOHC4バルブに変更したこと、ボア×ストロークが同社製単気筒では初のショートストロークになったこと(78×86mmから84×81.5mm)、圧縮比が高められたこと(9.5:1から11.5:1)なども、初代のエンジンとは一線を画する要素です。

 最高出力と最大トルクに注目すると、初代が24ps/6500rpmと32Nm/4500rpmだったのに対して、2代目は40ps/8000rpmと40Nm/5500rpmです。つまり2代目のエンジンは、大幅なパワフル&トルクフル化を実現すると同時に、高回転高出力指向になったのです。

 一方の車体に関しても、ほぼすべての部品が新作になりました。ひと目で認識できる初代との相違点は、ツインチューブタイプのフレームやテーパー形状のスイングアーム、倒立式フロントフォークなどですが(初代のフレームはセミダブルクレードル、スイングアームはストレートで、フロントフォークは正立式)、リンクを上部に移設したリアサスペンションや、高さ調整機能(825mm/845mm)を備える前後分割式のシート、スポークの構成を改めた前後ホイール、シャープな印象になった外装部品なども新規開発です。

 そんな2代目の日本市場での価格(消費税10%込み)は、チューブタイヤ仕様が88万円、チューブレスタイヤ仕様が89万9800円で、初代の2023年型が70万6200円~だったことを考えれば、大幅な値上げが行なわれました。

 とはいえ、市場でライバルになりそうなアドベンチャーツアラーは、ホンダ「NX400」(89万1000円)、KTM「390アドベンチャー」(89万9000円)、ベネリ「TRK502X」(96万8000円)でしょうから、全面刷新で現代的な進化を遂げた「ヒマラヤ450」の価格は、個人的には妥当ではないかと感じています。

■“らしさ”は維持しているものの……

「意外に“ヒマラヤ成分”が残っているんだな……」2代目ののヒマラヤでいろいろな場面を走った私は、そんな印象を抱きました。と言っても初代と比較すれば、エンジンは格段に力強くなり、車体は明らかにカッチリ感と安定感が増していて、その気になれば峠道やオフロードでは初代を簡単に置き去りにできそうです。

格段に力強く、車体の剛性感も高められ安定感も増した2代目「ヒマラヤ」。速度域も上がっているが“らしさ”は意外と残っている印象格段に力強く、車体の剛性感も高められ安定感も増した2代目「ヒマラヤ」。速度域も上がっているが“らしさ”は意外と残っている印象

 とはいえ、低中回転域を使ってマッタリ走行をしたときの牧歌的で穏やかなフィーリングに、私は他のアドベンチャーツアラーとは一線を画する“ヒマラヤらしさ”を感じました。

 もっとも、40~60km/hが心地良かった初代と比較すると、2代目は気持ち良い速度域が10~20km/hほど上がっています。その事実にどんな印象を抱くかは人それぞれですが、日本より速度レンジが高い海外市場、中でも欧州の状況を考えると、2代目の特性は正解でしょう。

 ちなみに、速度レンジが上がった2代目に対する私の当初の印象は、可もなく不可もなく……と言うより、可もあって不可もある? だったのですが、高速道路では2代目に軍配を上げたくなりました。何と言っても、初代の巡航速度の上限が(気持ち的には)100km/h前後だったのに対して、2代目は120km/が余裕で、条件的に許されるなら130~140km/hで巡航できそうなのですから。

灯火類はすべてLEDに変更された。写真はハイビーム、ハザードランプを点灯した状態灯火類はすべてLEDに変更された。写真はハイビーム、ハザードランプを点灯した状態

 その事実を認識した私は、2代目には初代以上に行動範囲を広げる資質が備わっている、と感じました。

 そんなわけで2代目「ヒマラヤ」に好感を抱いた私ですが、速さを重視しないライダーの場合は“初代のほうが好み”と言う可能性がありそうです。かく言う私自身も、“ここまでの進化は本当に必要だったのだろうか”と思わなくはありません。

 ただし世界的な視点で見れば、おそらくそういう意見は少数派で、“ヒマラヤらしさ”を維持しながら、現代的な動力性能を獲得した2代目は、初代以上に多くのライダーから支持を集めるような気がします。

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