電動バイクってガソリンバイクと構造はあまり変わらない? どこが違うのか
バイクのニュース / 2024年7月3日 13時10分
昨今、郵便などの配達バイクとして電動バイクが導入されるようになったこともあって、電動バイクを街中で目にする機会が増えました。ただ、一見するとガソリンバイクとほとんど見た目が変わらないので、見分けがつかない人も少なくないでしょう。そもそも電動バイクとガソリンバイクの構造は、あまり変わらないのでしょうか。
■電動バイクの構造ってどうなってる?ガソリンバイクとほぼ同じ?
近年、環境にやさしい電動バイクの開発が国内の各二輪車メーカーで進められています。実際に、一般ユーザー向けのモデルも販売されるようになってきていますが、その数はほんのひと握りで、電動自動車(EV)のラインナップにまだまだ及びません。
クルマに比べて車体が小さいバイクは大容量のバッテリーを搭載することができない
バイクの電動化を目指すにあたって大きな壁となっているのが、バッテリー問題。ガソリンバイクのバッテリーを大型化すれば、そのまま電動バイクになりそうな気もしますが、そう簡単なことではありません。
クルマに比べて車体が小さいバイクは大容量のバッテリーを搭載することができないため、フル充電しても航続距離が短いというのがネックとなっています。そのため、バッテリーの小型化や充電時間、充電インフラの整備などが電動バイクのこれからの課題といえるでしょう。
それでも最近では、郵便などの配達業務に電動バイクが導入されるようになり、街中でよく見かけるようになりました。音が静かなこと以外はガソリンバイクとほとんど見た目が変わらないので、見分けがつかない人も少なくないかもしれません。
では、電動バイクとガソリンバイクの構造は、バッテリーのほかにどのような違いがあるのでしょうか。
ガソリンバイクと見た目がそっくりな電動バイクですが、その中身はまったくの別物。とてもシンプルな構造で、動力はガソリンを使う内燃機関(エンジン)ではなく、モーターが使われているのが大きく違う点です。
エンジンがないので、ガソリンバイクの特徴ともいえるマフラーやそれをつなぐエキゾーストパイプもない
またエンジンがないので、ガソリンバイクの特徴ともいえるマフラーやそれをつなぐエキゾーストパイプもありません。さらに燃料タンクも不要なほか、高温になるエンジンがないため冷却装置をつける必要がなく、ラジエーターやファン、ウォーターポンプなどのパーツも装着されていません。
つまり電動バイクの構造は、大きく分けてモーター、バッテリー、コントローラーの3つのパーツに分けられるというわけです。あとはガソリンバイクと同じフレームや車体、タイヤといった外観を形成するパーツと、ライトやミラーなどのその他の細かいパーツからできています。
電動バイクのしくみとしては、搭載されたバッテリーからモーターへ電気が供給され、その動力でタイヤが回転してバイクの駆動力が生まれるというもの。そのため、ガソリンエンジンのように走行時に二酸化炭素を排出しないので環境にやさしく、振動や騒音もほとんどありません。
■電動バイクに搭載されているモーターとは?
現在の電動バイクに採用されているモーターは、「インホイールモーター」を搭載する車種もあります。
電動バイクに採用されているモーターは、「インホイールモーター」を搭載する車種もある
インホイールモーターは、駆動輪となるホイールに直接モーターが内蔵され、タイヤを駆動させる仕組み。これを採用することで、スペースに限りがあるバイクでもシンプルな構造でコンパクトに設計できるメリットがあります。
また、ホイールにモーターが内蔵されているため、駆動力がホイールに直接伝達され、ガソリンバイクのようなギア操作などによるエネルギー損失がほとんどなく、レスポンスに非常に優れているのが特徴です。
なお、違うのは、バイクの構造だけではありません。モーターを使っているため、トルクやパワーなどの出力特性もガソリンバイクとはまったくの別物です。
まずガソリンエンジンでは、回転数を徐々に上げていくことで最大トルクを発生させます。一方モーターの場合はスタートと同時に最大トルクを発生するため、低速時がもっともパワフルで、高回転になるにつれトルクが減少し穏やかにパワーが落ちていくという、ガソリンエンジンとは真逆の特性です。このゼロ発進からのスタートダッシュの力強さこそが、モーターを搭載している電動バイクの最大の魅力ともいえます。
電動バイクを運転してみるとガソリンバイクにはないパワフルな加速力に驚くかも
電動バイクに対して「スピードが遅い」「加速力がイマイチ」というイメージをもっている人は多いようですが、実際に運転してみるとガソリンバイクにはないパワフルな加速力に驚くかもしれません。
このように、環境にやさしく快適な乗り心地で注目が集まっている電動バイクですが、課題も多く残されています。
たとえば車体の小さい電動バイクは構造上、クルマのように大型のバッテリーを搭載できないため、充電1回の航続距離がどうしても短くなりがちです。そのため、多くの充電スポットやバッテリー交換施設などが必要になります。しかし、まだまだインフラ整備が追いついておらず、長距離の走行には向いていません。
また、バッテリーの充電に時間がかかるため、数分で給油できるガソリンバイクから乗り換えた場合は不便を感じるかもしれません。そのため、夜間の就寝中に充電するなど、自分の生活のリズムに合わせて工夫して電動バイクを利用していく必要があります。
電動バイクに乗る頻度が多い人であれば、予備バッテリーを用意しておくと充電切れの心配がなくなるので安心
電動バイクに乗る頻度が多い人であれば、予備バッテリーを用意しておくと充電切れの心配がなくなるので安心です。
また、輸入車を除くと、2024年6月現在で国内4大メーカーから販売されている一般ユーザー向けの電動バイクは原付一種、原付二種が数台。クルマに比べると、まだまだラインナップが少ないのが電動バイクの現状となっています。
※ ※ ※
電動バイクは形こそガソリンバイクに似ていますが、その構造は非常にシンプルで似て非なるものです。また構造が違うだけでなく、性能面もモーターならではのパワフルな走りが特徴で、ガソリンエンジンにはないひと味違ったフィーリングが楽しめます。
今後はバイクの世界も少しずつ電動化にシフトしていき、技術も進歩していくと予想されます。これまで電動バイクに興味がなかったユーザーも、来るべき未来に備えて各バイクメーカーの動向に注目していく必要がありそうです。
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