混合気供給の要“キャブレター”を分解!! 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ Vol.3
バイクのニュース / 2024年7月3日 7時10分
どんなバイク、どんなモデルでも、自分自身にとって思い入れがあるバイクには、ある種違った感情がありますよね!? 自分自身の生誕年と同じ年式、1962年型スーパーカブC100と暮らしている昨今です。キャブレターの様子が気になり分解してみました。
■スロットルの操作性は以前と比べて良くなりましたが……
自分自身の生誕年と同じバイクを所有することで「粋」なバイクライフを楽しむといった生き方がある一方で、「お前が先か、おれが先か……」などと考えると、しっかり手入れしてあげたくなるものです。旧いバイクは「手入れがMUST!!」だと、ぼくは考えています。
1962年型スーパーカブC100。原付一種登録だと制限速度30km/hなので、原付二種のC105用ピストンを組み込み、燃焼室もC105仕様に加工して、55ccの原付二種=黄色ナンバーで登録しています。登録時には「排気量変更届け」を提出しました
すでに還暦を過ぎ、救急車で運ばれた経験や長期入院の経験が何度かありますので、所有するすべてのバイクには、この先も良いオーナーさんと巡り合い、性能を受け継がれ、100年も200年も、長生きし続けてほしいものだと、最近考えるようになりました。
現段階で、すでに60年以上生きてきたスーパーカブC100ですから、この先も、体調や体力を維持しつつ、化石燃料であるガソリンを注ぎ入れれば、元気に走り出すことができるコンディションをキープしていきたいと考えている、今日この頃でもあります。
ホンダスーパーカブC100の型式認定コーションマーク。1960年後期モデルからは、第一種原動機付自転車として型式認定を得ていますが、それ以前に生産されたスーパーカブC100は「原動機付自転車用原動機」として、運輸省認定を受けていました
エンジンコントロールには欠かせないスロットルの様子を点検し、作動性が悪いところは擦り合わせて、グリスアップを行いましたが、その作業で得られた性能を維持できるのは、バイク生涯のなかでは、ほんの一瞬の出来事だと思います。
日常点検の必要性、日常的なメンテナンスの必要性は、まさにこんな部分にも現れるものだと思います。ある一定の改善は得られましたが、また気になった時には「前に整備したから大丈夫!?」ではなく、疑いの眼差しで再び点検メンテナンスすることも重要なことです。
■走行中の息つき症状が気になったので分解点検
スロットルの操作性がリニアになると、逆に際立ってしまったのが、スロットル操作に対するキャブレターの追従性です。
スロットルを開けた時に、スムーズな回転上昇を得られるのなら申し分ありませんが、加速の途中で「引っ掛かり症状」が出ることに気が付きました。ガソリンの流れが瞬間的に途絶えてしまうのか!? ここもひとつの原因になります。また、点火系で失火タイミングがあると、エンジンは当然に気持ち良くかつスムーズな回転上昇を得られなくなってしまいます。
簡単に確認点検できる箇所から始めてみました。まずはプラグキャップを外して、スパークプラグを抜き取りました。電極はややカブリ気味ですが、失火するほどの汚れではないと判断できましたので、ワイヤーブラシで電極をクリーニング。プラグの復元前に、コンプレッションゲージをセットして、スロットル全開でキックアームを何度も踏み込み実圧縮を確認しました。10kg/cm2(現代表記なら10Kpa)を軽く超えましたので、特に問題は無いと思います。
プラグを復元してから、プラグキャップを差し込みますが、その前にキャップを左に回しながらプラグコートから抜き取り、プラグコードの先端を5ミリほどニッパでカットしてから、プラグキャップ接触点の木ネジ部分が、プラグコードの中心に食い込むように、時計回りに押し付け、コード芯線との接触性を高めました。そんな作業後にプラグキャップを差し込みました。
ゴム製インレットパイプとスロットルバルブを抜き取り、本体固定フランジのナット2個を取り外すことで、キャブボディはアッセンブリー状態で取り外すことができます。分解洗浄することで、今回は不調の原因と対峙することができました
その状態で試運転しても、引っ掛かり感が発生しましたので、次はキャブレターを取り外して、分解洗浄することにしました。エアークリーナーとの接続インレットパイプを外し(長いゴムチューブ)、スロットルバルブを抜き取り、キャブボディを締め付けるフランジの固定ナットを取り外すことで、キャブボディは簡単に取り外せます。
スーパーカブC100用ダウンドラフト型フロート別体キャブレターの透視分解組み立て図。OHCエンジンのC50やC65/70とは形状が違っています。通称「縦キャブ」と呼ばれていますが、C100でも1959年製造以前のキャブは、別体フロート室の形状が異なります
あとはパーツリストの部品レイアウトを確認しながら、キャブレターを徐々に分解しながら部品を洗浄。このような作業時には、応急的に使う車載工具ではなく、しっかりしたハンドツールを利用しなくてはいけません。ドライバー1本にしても、ボルト頭の溝がナメてしまうようではダメ!! 溝にしっかり食い込むドライバーを利用しましょう。
1962年前期モデルまではガソリンホースが1本のキャブでリザーブ機能がありませんでしたが、1962年後期モデルからは、ガソリンホースが2本になり、1本はリザーブ回路になりました。燃料ストレーナーにはタンク内から流れ出たゴミ、サビが溜まっていました
結果的には、低速域を司るスロー系通路にゴミが引っ掛かっていたようで(別体のフロートチャンバーとの接続部分)、分解したパーツをケミカルスプレーで洗浄し、しっかりエアーブローしてから組み立て復元したことで、気になる加速途中の引っ掛かりは無くなりました。
やっぱり気になった時には分解清掃が一番だと思います。特に、タンク内が薄っすらでもサビている車両の場合は、このタンク内のサビや汚れが下流に位置するキャブコンデションを悪くしてしまいます。そんな時には、タンク内洗浄とサビの除去を積極的に行うことが大切になります。
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