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バイクの王様、ホンダ「ゴールドウイング」の初期型はリッタースーパースポーツ!?

バイクのニュース / 2024年7月8日 19時40分

1970年代、ホンダは「CB750フォア」(1969年)の発売で大型バイク市場の覇権を握り、続出する対抗機種の攻勢にさらなる新型車の開発をスタートします。排気量999ccの水平対向4気筒エンジンを搭載するスポーツバイク「ゴールドウイング」の誕生です。

■世界中で愛される長距離ツアラーに転身したスーパースポーツ

 ホンダのフラッグシップモデルと言えば、昔も今も「ゴールドウイング」ですが、その姿は1975年に新登場となった初代「GL1000」と、現在の「GL1800」では大きく異なっています。大きなカウンリングやバッグを装備した豪華なツアラースタイルとなったのは、生産拠点を日本からアメリカに移して1980年に登場した2世代目「ゴールドウイングGL1100インターステート」からです。

1975年に登場した「ゴールドウイング(GL1000)」は、スーパースポーツとして世に送り出されたが、その後は長距離ツアラーへとモデルチェンジされた1975年に登場した「ゴールドウイング(GL1000)」は、スーパースポーツとして世に送り出されたが、その後は長距離ツアラーへとモデルチェンジされた

 40年以上もグランドツアラーのトップモデルとして君臨した「ゴールドウイング」ですが、初代モデル「GL1000」はどんなバイクだったのでしょうか?

 当時はメーカーの自主規制で、日本国内で販売できる排気量の上限が750ccとされていました。日本で輸出専用車の「ゴールドウイングGL1000」を実際に目にした人は少なかったはずです。

 世界を驚かせた「CB750フォア」(1969年)のデビューから3年が経ち、ライバル車も出現していました。北米市場での覇権争いのため、ホンダには「CB750フォア」を超える新しいバイクが必要でした。そうしたなかで、1972年に初代「ゴールドウイング」の開発は始まります。

2眼式のメーター。スピードは150mph(241km/h)まで、タコメーターは9000rpmからレッドゾーンと表示されている2眼式のメーター。スピードは150mph(241km/h)まで、タコメーターは9000rpmからレッドゾーンと表示されている

 ホンダの開発陣は過去の延長線上にあるアイディアを全て白紙に戻し、北米での最良のバイクを追求します。そうして1974年のアメリカ、ヨーロッパのショーで公開された「ゴールドウイングGL1000」は、排気量999ccの水冷4ストローク水平対向4気筒SOHCという誰も見たことのないエンジンを搭載したスポーツバイクでした。

 既成概念を超えた革新はエンジンだけでなく、燃料タンクをシート下に配置して従来のタンク部分には電装品やクーラントのリザーブタンクなどを収納するという、他にはない車体構成となります。その他にもシャフトドライブによる駆動方式や前輪2枚、後輪1枚のトリプルディスクブレーキも装備しています。

 その結果、世界トップクラスの80PSというパワーと、低振動・低重心が生み出す快適性を両立しました。北米のライダー達が求めていた「大きくて速い、しかも安全に」という要求に答えるバイクであり、その姿はホンダらしい大人の雰囲気もありながら、水平対向のメカニズムや力強さなどを感じさせる大型ネイキットモデルでした。

革新的な水冷水平対向4気筒エンジン。カムシャフトの駆動はベルトドライブで、クランクの下にミッションを配置革新的な水冷水平対向4気筒エンジン。カムシャフトの駆動はベルトドライブで、クランクの下にミッションを配置

 ロードスポーツモデルとして生まれた初代「ゴールドウイング」ですが、北米のユーザーはその快適性に注目します。

 大型のカウリングやバッグを装着し、雄大なアメリカを颯爽と走る、あるいは大陸をタンデムで横断するような、そんなライディングカルチャーを体験できる、長距離ツーリングバイクとして初代「ゴールドウイング」は受け入れられました。

 1975年から5年間は、シートやハンドル形状など細部の改良や、コムスターホイールの採用といった変更に留まります。その後ホンダは「CB900F」(輸出専用車)など本格的なスポーツバイクをラインナップし、「ゴールドウイング」は北米ユーザーに寄り添うようにモデルチェンジしていきます。

 1980年のフルモデルチェンジでは、エンジンは排気量を1085ccへとスケールアップし、ロードスポーツからツーリングモデルへとリファンされました。工場出荷時から大型のフルカウリングとサイドバッグ、トップケースを標準装備した上級グレード「ゴールドウイングGL1100インターステート」が追加になり、お馴染みのグランドツアラースタイルとなります。

 1984年には排気量1182ccとなり、足まわりの改良やエンジンのインジェクション化、またオーディオやインターコムなどの装備も充実します。

 その後、1988年には排気量1520ccの水平対向6気筒エンジンを搭載する「ゴールドウイングGL1500」へと進化します。

燃料タンクはシート下へ配置され、通常の燃料タンク部には燃料計を装備するダミータンクに。キーロック付きのカバーを開けると給油口や電装部品、クーラントのタンクへアクセスが可能燃料タンクはシート下へ配置され、通常の燃料タンク部には燃料計を装備するダミータンクに。キーロック付きのカバーを開けると給油口や電装部品、クーラントのタンクへアクセスが可能

「ゴールドウイング」は、1980年の2世代目からアメリカの工場での生産され、「GL1500」からはホンダが自ら輸入して日本国内でも販売を開始しました。

 現行モデルの排気量は1833ccと初代モデルの倍近くなっていますが、独特なメカニズムとその特別な存在感は変わりません。ユーザーとともに作り上げた最上級のツアラー「ゴールドウイング」は、初代「GL1000」から合計すると総生産台数が80万台を超え、北米のみならず、70以上の国や地域で販売されています。

■ホンダ「ゴールドウイングGL1000」(1975年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク水平対向4気筒SOHC
総排気量:999cc
最高出力:80PS/7500rpm
車両重量:265kg(乾燥)

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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