気分はケニーロバーツそれともウェインレイニー!? ヤマハマルボロカラーに感涙せずにはいられないXSR900GP試乗!!
バイクのニュース / 2024年7月10日 12時10分
タバコメーカー/ブランドが積極的にモータースポーツをスポンサードしていた時代を象徴するマシンのひとつが、ヤマハ・マールボロカラーです。1980年代からヤマハの世界グランプリ参戦を支援し、赤と白のツートーンは市販車にも採用されてきました。バイクファンの印象に強く残っている、そんな特別なカラーが『XSR900GP』で復活! バイクライター青木タカオさんによる熱き試乗レポートをお届けいたしましょう。
■憧れの80年代ヤマハグランプリカラー!
赤×白のツートーンに黄色ゼッケン! まるで、ケニー・ロバーツが駆ったマルボロカラーのYZR500(OW61)ではないですかっ!!
レーサーレプリカブームを知る者は感涙し、若者たちには新鮮なのでしょう。『RZV500R』や『TZR250』『YSR80/50』など、人気を博したヤマハ80年代のスタイルがついによみがえりました。
スポーツヘリテイジ『XSR900GP』に試乗前から興味が尽きない筆者(青木タカオ)
スポーツヘリテイジ『XSR900GP』が、欧州にて発表されたのは2023年秋のこと。瞬く間に話題沸騰、注目の的となり、翌24年春のモーターサイクルショー(大阪や東京など)でヤマハは実車を展示しました。
バイクファンらからの熱視線を浴び、大きな反響があったのは記憶に新しいところ。日本では5月20日に発売され、いよいよ乗ることができます。
■もちろんセパハン&バックステップ!!
その名が示す通り、並列3気筒エンジンを搭載する『XSR900』がベース。いざ乗ろうと、実車を目の当たりにすると、車体は大きめな印象。『XSR900』との相違点はカウルの有無だけでなく、細部にも渡っていることが見てわかります。
丸みを帯びたフロントやゼッケンプレートをモチーフにしたマスクは、80年代によく見られた形状を彷彿とさせる
カウルは丸みを帯びながらも、フロントエンドのゼッケンスペースの面積が広めで、80年代によく見られた形状を彷彿とさせます。
そこへ、存在が目立たぬよう小型のLEDライトが埋め込まれ、レーシングイメージを強調。張り出すナックルバイザーをカウル本体とは別体で留めているだけでなく、カウルを固定するステーを丸パイプにするところも心憎い。細部までも80年代のマシンを再現する手の込みようです。
レーシングスタイルのコクピット周りを見るだけでもGPマシンへのオマージュがたっぷりと感じられる
レーシングスタイルのクリップオンハンドル、いわゆる“セパハン”(セパレートハンドル)やデルタボックスフレームのアルミ地をイメージしたシルバー塗装のフレームなど、GPマシンへのオマージュがたっぷりと感じられるから、もぉ~たまりません!
■アグレッシブな前傾姿勢
アップハンドルの『XSR900』に対し、GPはセパハンで大きめの垂れ角や絞り具合が絶妙です。アルミ地のトップブリッジもまたレーサーレプリカをイメージさせるもので、フロントブレーキにはラジアルマスターシリンダーもおごられ、タッチ(コントロール性)も抜群に良いことも報告しておきましょう。
ステップは後方へセットされ、ペグにはラバーが取り付けられています。シートやタンク形状も異なり、よりアグレッシブな前傾姿勢のライディングポジションとなりました。
シート高835mm、身長175cmの筆者(青木タカオ)がまたがると、カカトが浮く状態
シート高は835mmで、『XSR900』より25mm上がっています。身長175cmの筆者がまたがると、カカトが浮く状態。腰を引いたシッティングポイントで、タンクを抱えるようにして乗るのも80年代のスパルタンなムードがあり、ワクワクせずにはいられません。
メーターは5インチのTFTディスプレイで、アナログ風のタコメーターを表示できます。YRC(ヤマハ・ライド・コントロール)モードは以下の3種をプリセットしつつ、出力特性や各種電子デバイスの介入度を細かく設定できるカスタマイズ枠も2パターン設けています。
SPORT:エンジンレスポンスが高まり、ワインディングやサーキットに適する。
STREET:幅広い環境と路面をカバーし、市街地走行に適する。
RAIN:出力特性がマイルドになり、雨天など悪化した路面状況に適する。
モードの切り替えはメーター画面を見ながらハンドルスイッチによって直感的に操作できるほか、Bluetoothにてリンクするスマートフォンの専用アプリ「Y-Connect」でも可能となっています。
■80年代風の見た目に最新技術が融合
『XSR900』譲りのエンジンは、エアクリーナーボックスや吸気ダクトを専用設計するなどし、吸気系が見直されました。『MT-09』由来のトリプルエンジンは、低回転域ではツインのような太いパルス感があり、高回転では4気筒のような胸のすく伸びと加速感が得られます。GPでは高周波サウンドがより際立っているのも見逃せません。
ワインディングでは積極的に荷重移動し、テンポよく走らせると爽快にコーナーを駆け抜けることができる
ワインディングでは積極的に荷重移動し、テンポよく走らせると爽快にコーナーを駆け抜けることができました。アプローチではフロントへ、立ち上がりでは駆動輪のトラクションを重視するといったスポーティな走りがしっくりときます。
キャスターが『XSR900』より寝ていて(25°→25°20′)、トレールが108→110mmに増え、ホイールベースは1495→1500mmと長い。車体の中心にどっしりと座ったままではなく、スロットルワークとともにライダーがリズムを整えつつ走らせれば、スポーツライディングでの人機一体感と愉しさはこの上ないものとなりそうです。
フルアジャスタブル式のKYB製の前後サスペンションもGP専用で、軽快な走行を可能にしている
トラクションコントロールなど6軸IMUによる電子デパイスに加え、アップ/ダウン対応のクイックシフターなど、懐かしいスタイルの中に現代的な先進装備も搭載。
しなやかに動くKYB製の前後サスペンションもGP専用で、プリロード、圧縮(高速/低速)、伸びが調整可能なフルアジャスタブル式に。リヤはリモートローラー付きにグレードされ、リンク比も最適化されています。
別売オプションのシートカウルやアンダーカウルもあるほか、『RZV500R』や『FZ400R』を再現した外装キット(33万円)もワイズギヤから出ていますが、予約受付は5月10日に終了。『XSR900GP』の車体本体価格は143万円です。
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