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宮城の老舗ショップ「コズミック」製作のカスタムハーレーを紐解く

バイクのニュース / 2024年7月15日 7時10分

宮城県に拠点を置くカスタムショップ「コズミック」が製作したハーレー・カスタムについて、渡辺まことさんが解説していきます。

■2万人超えの動員を誇るYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOWの「スポットライト」とは?

昨年は1Dayイベントで2万5000人を動員し、文字どおり日本最大規模の『アメリカン・カスタムカルチャーの祭典』といえるYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー 以下:HCS)のエントリーが、いよいよ2024年7月18日、午前10時に迫ってきました。

2000年式ハーレーFXSTCをベースに見事なチョッパーとなったこのマシン。シンプルなスタイルゆえ、ビルダーのセンスが光るフィニッシュを感じさせるものとなっています。過剰にハイテックでもレーシーでもなく、あくまでもチョッパーを創る姿勢も好感を持つポイントです2000年式ハーレーFXSTCをベースに見事なチョッパーとなったこのマシン。シンプルなスタイルゆえ、ビルダーのセンスが光るフィニッシュを感じさせるものとなっています。過剰にハイテックでもレーシーでもなく、あくまでもチョッパーを創る姿勢も好感を持つポイントです

 同イベントのエントリー方法は2016年からWebによる応募となり、あたかもライブのプラチナ・チケットのように出展枠があっという間に埋まってしまっていたのですが、昨年からはエントリー後に事前審査が追加。いうなれば「早いもの順」だった状況も解消され、あくまでも『アメリカン・モーターカルチャー』の枠組みで主催のムーンアイズによってショーのクオリティがコントロールされています。

 2002年よりモーターサイクルのエントリーを開始したHCSでは、その7年後となる2009年から『スポットライト』として毎年、異なるテーマごとに出展を募り、同じカテゴリーの車両が20台ほどショーの一角でまとめて展示されているのですが、今年は“Swingin’ Choppers”Non Rigid Choppersというテーマ。ハーレーのソフテイルや4速のスイングアームフレーム、その他メーカーの車両でも『リアサス付き』モデルがエントリーの対象となっています。

サイドビューから眺めると優れた車体のバランスであることがよく分かるこのマシン。タンクのサイズ感やマウント位置、フェンダーの造形やリアタイヤとのクリアランスが完成度を高めるポイントとなっています。プライマリーはBDL製のオープンベルトを装着しますサイドビューから眺めると優れた車体のバランスであることがよく分かるこのマシン。タンクのサイズ感やマウント位置、フェンダーの造形やリアタイヤとのクリアランスが完成度を高めるポイントとなっています。プライマリーはBDL製のオープンベルトを装着します

 チョッパー・ベースの王道であるハーレーといえば1936~1947年まで生産されたナックルヘッドや、それ以降のモデルであるパンヘッドなどは1957年のハイドラグライドまでリアサスを持たないリジッドフレームが採用され、海外でカスタムされたショベルヘッド(1970~80年代にかけて生産されたハーレー)などもリジッド化されたものが多く、それが高い人気を博しているのですが、やはり『走行性能』という部分を考えると『リアサス付き』の車両に利があるのは当然のこと。

 チョッパーというカスタム・カルチャーで求めるべき「シンプルさ」という部分を考えると、スイングアーム+リアサス付きの車両でクールなマシンを創ることは、じつは意外に難しいのですが、今回、ここで紹介する宮城県のショップ、コズミックが製作した1台は「走り」と「チョッパーらしいスタイル」を両立する好例といえるカスタム車両に仕上げられています。

■実は難素材の「ソフテイル」を匠にアレンジ

 車体のベースとなったのは2000年式ハーレー、FXSTCなのですが俗に『ソフテイル』と呼ばれるこのモデルは、その名のとおり「リジッド(ハードテイル)に見えて、車体底部にサスペンションを備える」構造となっており、まさにチョッパー・ベースとして打ってつけのように思えるのですが、じつはリジッドと比較して「間延び」したフレーム形状や三角形のスイングアームとリアフェンダーのクリアランスの処理が難しく、シンプルなスタイルのチョッパーを創り上げるには難しい素材です。

サイドビューから眺めると優れた車体のバランスであることがよく分かるこのマシン。タンクのサイズ感やマウント位置、フェンダーの造形やリアタイヤとのクリアランスが完成度を高めるポイントとなっています。プライマリーはBDL製のオープンベルトを装着しますサイドビューから眺めると優れた車体のバランスであることがよく分かるこのマシン。タンクのサイズ感やマウント位置、フェンダーの造形やリアタイヤとのクリアランスが完成度を高めるポイントとなっています。プライマリーはBDL製のオープンベルトを装着します

 少しのバランスの違いでカスタムの完成度に大きな差が生まれてしまうのですが、コズミックではそのフレームをストレッチした上でタンクとフェンダーをワンオフ(一品もの)で製作し、車体を見事なバランスに仕上げています。

 さらにエンジンのロッカーカバーやカムカバーをRSD製に交換し、ステップや前後ホイールはビッグマシン製のビレット(アルミ削り出し)となっているのですが、ここはあえてブラックアルマイトで仕上げ、落ち着いた雰囲気でフィニッシュ。

シンプルなデザインながら一目でコズミック製のそれと分かるタンクはワンオフ(一品もの)で製作。タンクキャップの位置やエッジの処理も絶妙です。燃料コックはピンゲル製を選択シンプルなデザインながら一目でコズミック製のそれと分かるタンクはワンオフ(一品もの)で製作。タンクキャップの位置やエッジの処理も絶妙です。燃料コックはピンゲル製を選択

 1984年に登場したソフテイルに搭載されたエボリューションモーター以降のアルミシリンダーエンジンのマシンをベースにしたカスタムの場合、そのハイテックな雰囲気を活かし、派手なデコレーションやレーシーなスタイルにカスタマイズされるケースが多く見られるのですが、コズミックのビルダーである三浦大介氏は同じくアルミシリンダーのTC(1999~2017年まで生産されたハーレーのエンジン型式)がベースとなったこのマシンでも、あくまでもチョッパーの方程式に則り、「可能な限りシンプルなスタイル」でこのマシンを仕上げています。タンクのエッジに施されたパイプワークによる装飾やサイズ感、外装のマウント位置のバランスも見事です。

 もちろん、このマシンではバイクとしての走行性も追求されており、ワンオフ(一品もの)で製作されたハンドルバーとそれがクランプされたコズミック・オリジナルのライザーはあくまでも「乗りやすさ」を追求してポジションを決定。

 三浦氏曰く、この1台を前にして「自分が乗りたいと思って製作した」とのことですが、操作性を損なわない点は他のカスタムでも共通するコズミックの流儀です。

19歳の頃からコズミックに入社し、現在は代表を務めるビルダーの三浦大介氏は2003年のYOKOHAMA HCSではゲストビルダーのジェシー・ジェームスからピックを獲得。シンプルなスタイルのチョッパーは国内外から高い評価を受けています。今年で50歳を迎えるベテランビルダーです(2018年撮影)19歳の頃からコズミックに入社し、現在は代表を務めるビルダーの三浦大介氏は2003年のYOKOHAMA HCSではゲストビルダーのジェシー・ジェームスからピックを獲得。シンプルなスタイルのチョッパーは国内外から高い評価を受けています。今年で50歳を迎えるベテランビルダーです(2018年撮影)

 ちなみにコズミックといえばシンプルなリジッドフレームのフリスコスタイル・チョッパーを得意とし、業界内ではその絶妙なバランスに定評があるショップなのですが、ソフテイルを素材に変えても、フィニッシュワークは唸らされるものとなっています。

 今年の年末、2024年12月1日(日)に神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催予定のYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW2024。そのショースポットライトにこうした極上のチョッパーが並ぶ光景を楽しみにしたいところです。

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