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カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」「Z2E」はカムチェーン周りのコンディションに注意!

バイクのニュース / 2024年7月19日 7時10分

メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在なのがカワサキZ1/Z2シリーズです。長年、バイク仲間の知り合いが所有し続けてきた1975年式の国内モデル、750RS(RSはロードスターの略称)を購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。

■初代カワサキ空冷Zの頑丈さを支えたカムチェーン周りの構造

 カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」と「Z2E」ユニットは、とにかく頑丈なエンジンとして認識されています。それは2代目空冷4気筒エンジンのザッパー系(ゼファー750シリーズへと継承されました)や3台目のミドル系=Z400FX系のエンジンと比べても、明らかに頑丈設計との声が大きいです。

車検残りが1年近くあったので、まずは現状車体とエンジンのコンディションを知るために、各部を点検調整しながら試運転を繰り返してみました車検残りが1年近くあったので、まずは現状車体とエンジンのコンディションを知るために、各部を点検調整しながら試運転を繰り返してみました

 しかし、その頑丈さを過信してしまうことで、今度は「取り返しのつかないトラブル」に発展してしまう可能性があることも、知っておかなくてはいけません。初代モデルの登場から50年以上が経過しているので、今現在、どんなに調子良く走っている初代シリーズエンジンでも、過去にエンジン腰上のオーバーホール実績が無い個体の場合は、要注意と言うこともできます。特に、注意しなくてはいけないのが「カムチェーン周辺」を構成する、各種部品のコンディションになります。

 特に多いのが、アイドルギヤ系の「ゴムダンパー抜け」、長年の利用でゴムダンパーが劣化して、アイドルギヤの軸芯がズッコケてしまうことが多いようです。

 過去にはこんなこともありました。コンディションが良く気持ち良く走っていたエンジン腰上を分解したときのお話しです。分解理由は「排気量アップ=ボアアップ」実践でした。ベテランメカニックの手によりエンジン腰上を分解すると、カムチェーンテンショナーのアイドルギヤが、軸芯から横にズレていることに気が付きました(チェーンラインがズレて重大なトラブルに繋がります)。分解するついでに、カムチェーン周りの部品は、すべて新品部品を準備していたので作業はスムーズに進行しました。

Z2のカムチェーンとその周辺を構成するパーツレイアウト。初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りは至極頑丈な作りですが、ダンパーゴムの焼き付けによって軸心に固定されている各ギヤ型アイドラーは、ダンパーが劣化してちぎれてしまうことでチェーンラインが狂うこともZ2のカムチェーンとその周辺を構成するパーツレイアウト。初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りは至極頑丈な作りですが、ダンパーゴムの焼き付けによって軸心に固定されている各ギヤ型アイドラーは、ダンパーが劣化してちぎれてしまうことでチェーンラインが狂うことも

 ボアアップ後もエンジンは絶好調で、これまで以上にパワフルなエンジンへと変化しました。オーナーさんによれば、これまで以上の加速力を楽しめて大満足だそう。作業を担当したベテランメカニックからお話しを伺うと、初代4気筒シリーズのエンジンは、このカムチェーン周りに鬼門があるそうです。

 今回は、ボアアップ作業の分解ついでに、あらかじめカムチェーンテンショナーを始め、周辺の関連部品をすべて用意していたので問題は無かったそうです。ボアアップに気を取られてしまい、カムチェーン関連部品に目が行かなかった結果、作業完了直後は気持ち良く走ってくれていたものの、早々にメカニカルノイズが出てしまい……。結果的には、もう一度、エンジン分解しなくてはいけない事態もあるそうです。

■実際に摩耗した部品を検証

 そのようなトラブルを起こした実例が、写真解説の部品になります。カムチェーンテンショナーギヤは、ゴムダンパーが弾けてバラバラになっていました。ゴムローラーも劣化が進むと弾力性を失い、磨耗が早まってしまいます。

摩耗した初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りのパーツ。ダンパーゴムのちぎれや摩耗した初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りのパーツ。ダンパーゴムのちぎれや

 左右に踊ってしまったカムチェーンによって、テンショナースリッパーも真っ二つに割れてしまうことが多々あるそうです。このようになったエンジンでも、始動可能なところに、初代空冷Zの頑丈神話が生まれるのかも知れません。

 とはいえ、これらは大きな「落とし穴」なので、こうなってしまう前にライダーは気が付かないといけません。このようなトラブルの修理では、当然ながらエンジンは完全に分解して各部を点検し、肝心のカムチェーンも新品部品に交換しないといけません。

シリンダーの後方中央、キャブレターの下にある出っ張った部分が、カムチェーンテンショナーになります。テンショナーボディの左側面にはロックボルト+ロックナットがあります。まずはこのロックナットから緩めて、次に、押切固定のロックボルトを緩めますシリンダーの後方中央、キャブレターの下にある出っ張った部分が、カムチェーンテンショナーになります。テンショナーボディの左側面にはロックボルト+ロックナットがあります。まずはこのロックナットから緩めて、次に、押切固定のロックボルトを緩めます

 オイル漏れ修理などでヘッドカバーを取り外す機会がある際には、カムチェーンラインを覗き込み、チェーンラインが左右のどちらかにズレていないかも確認するのが良いでしょう。

 また、カムチェーンテンショナープッシャー本体を取り外したときに、プッシャーが異様に飛び出していないかも要注意です。「プッシャーの異様な飛び出し=カムチェーンのタルみ=カムチェーンのズッコケ」このような方程式が成立することも知っておくと良いでしょう。

 ちなみにカムチェーンテンショナー部は、取り付け穴から指先を突っ込み確認することで(メンテナンスミラーを利用することで目視確認も可能)、ガイドローラーとチェーンの位置関係を確認することができます。アイドルギヤやテンショナーギヤ軸を支持するダンパーゴムがダメージを受けると、カムチェーンはズッコケてしまい、重大トラブルに発展するので、不安なときには徹底的に点検することをお勧めします。

 初代空冷Z系オーナーさんには、未来に愛車を継承する役割もあるのですから。

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