ソーセージとビールの海!! ザクセンリンクは「ドイツ」のイメージに違わぬMotoGP現場だった
バイクのニュース / 2024年7月21日 11時10分
MotoGPドイツGPが行なわれた「Sachsenring(ザクセンリンク)」に、2019年以来5年ぶりに取材に行きました。2度目のザクセンリンクは、まだまだ知らない顔を持っていました。
■ドイツ要素がみっちり!?
2024年も、すでに7月。早いものです。そして、MotoGPのシーズンも、ドイツGPで一区切り。ドイツGPを終えて、現在は8月上旬のイギリスGPまでサマーブレイクに入っています。
MotoGPドイツGPが行なわれたザクセンリンクのマップ。全13コーナー中、左コーナーが10もある左回りのサーキット
わたし(筆者:伊藤英里)は今季、そんなドイツGPの取材に行くことにしました。ドレスデン空港からレンタカーをピックアップして、南西に80kmほど走ったところにある、ケムニッツという街に向かいます。
道中は、ドイツの高速道路、アウトバーンを利用します。アウトバーンと言えば「速度無制限」が思い浮かぶ人も多いかもしれませんが、全区間にわたって「速度無制限」というわけではなく、制限速度が設定されている区間もあります。速度無制限の区間から、「ここから120km/h区間」という具合に切り替わるわけです。
余談ですが、わたしが初めて海外でレンタカーを走らせたのが、ドイツでした。2019年、MotoGPドイツGP取材のために、やはりドレスデン空港からケムニッツに向かったのです。たった1人で、人生初の左ハンドルを握り、「右車線を走るのだ!」と自分に言い聞かせ、そして、右左折で何度ワイパーを動かしたことか……(ヨーロッパ仕様のクルマは、方向指示器のレバーが左なのです)。
アウトバーンはただただ恐ろしく、ひたすら右車線をキープ。一番左側の車線を走るクルマが、時折レーシングカーのような風切り音を残して走り去る様子に絶句したことを覚えています(いま思うと、ドイツの道は比較的走りやすいと思うんですけどね)。当時はそのくらい、必死だったのです。
そんなアウトバーンですが、すごいなと思うのが、制限速度の区間が切り替わると、すぐにドライバーがその制限速度にスピードダウン、またはスピードアップすること。これは、一般道路でも同じです。
例えば50km/h制限の区間では、だいたいみんな、その速度を守って走っています。規則を守るというドイツ人の国民性なのか、あるいはスピード違反に重大なペナルティが科されるのかは定かではありませんが、提示された制限速度がかなり厳密に守られている印象です。あくまでも、わたしが走った道はドレスデン空港からケムニッツと、ケムニッツからMotoGPが開催される「Sachsenring(ザクセンリンク)」まで、という限定的な区間であることを付け加えておきます。
公道レースが行なわれていたことを示すモニュメント。1927年から2024年という歴史に思いを馳せる
MotoGPドイツGPが開催されるザクセンリンクは、とても歴史の長いサーキットです。厳密には「ザクセンリンク周辺で行なわれてきたレースとともに長い歴史を持つ」と言うべきかもしれません。
ザクセンリンクで最初のバイクレースが行なわれたのは1927年で、当時の多くのレースがそうであったように、公道を使用した公道レースとして行なわれていました。
サーキットのメインエントランスを出て10分ほど歩いたところにあるラウンドアバウトにモニュメントがあるのですが、ドイツ人のジャーナリスト曰く「これは公道レースがこの道で行なわれていたことを示すもの」だそうです。クローズドのサーキットで初めてレースが行なわれたのは、1996年のことです。
ザクセンリンクのもうひとつの特徴として、パドックがふたつに分かれている、ということがあります。メインストレート前の常設ピットがある方は「パドック1」、メインストレートを挟んで「パドック2」があります。パドック1が狭いので、ホスピタリティやMoto2、Moto3クラスのほとんどのチームのピットやトレーラーはパドック2に配置されています。
では、写真と共にパドック探訪をしてみましょう。
パドック1
ここがパドック1です。右手前から奥にかけて、MotoGPクラスのチームのトレーラーが並んでいます。いつもならこのトレーラーの前に各ライダーの看板が立っているのですが、今回はパドック2の各チームのホスピタリティに置かれていました。
地下道を歩いてパドック2へ
常設ピットの建物の中に地下道に続く階段があって、これを降ります。地下道を歩いて、今度は地上に続く階段を上がると、パドック2です。
パドック2
広さとしてはパドック2の方が広いです。ただ、それでも世界選手権規模の各施設や設備を収めるには十分ではなく、例えば、電動バイクレースMotoEのピットが集まるEパドックは、さらにパドック2を出て少し離れた場所にあります。
こんな具合なので、取材はとても大変です。パドック1にピットがあるライダーに話を聞きに行って、次にパドック2へ。メディアセンターがあるパドック1に再び戻り、次はパドック1からパドック2を経由してEパドックに行って……など、とにかく移動が多いこと、多いこと!
世界選手権が開催されるサーキットなのに、どうしてこんなにパドックが狭いのか……。先輩ジャーナリストの話によると、元々はパドック2がメインのパドックとして使用されていたけれど、手狭になったので、現在のようにパドック1・2にわたって使用されているのだそうです。
そんなドイツGPは、今季、週末を通して25万2826人の観客を集めました。現在までのところ、フランスGP(29万7471人)に次ぐ観客数です。その盛り上がりは金曜日の時点から感じていて、パドックを出てみると、すでにたくさんの観客がサーキット中を歩いていました。
皮がぱりぱりに焼かれたソーセージを挟んだホットドッグ。5ユーロ
さて、「ドイツといえばソーセージとビール」。そんなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。かくいうわたしも、その1人です。そしてドイツGPのサーキットを歩く観客の姿は、まさに「ドイツ人のイメージ、そのまんま!」というものでした。
片手に持つのは、ビールかホットドッグ。ビールを売るフードスタンドの数も多ければ、それを飲む人もすごい数です。そして、まだ昼ごろだというのに、重なりまくるビールの空きカップ。この週末で、いったいどれほどのビールが消費されたのでしょうか……!? そしてソーセージを焼き、ホットドッグとして提供するフードスタンドもたくさんあります。
わたしも、フードスタンドで美味しそうなホットドッグをゲットしました(ビールは断腸の思いで諦めました)。オーダーすると、こんがりと焼かれた大きなソーセージをパンに挟んでくれます。ケチャップとマスタードはお好みで、頼むとかけて渡してくれるシステムです。
このソーセージが、とっても美味しい! 日本のソーセージよりも皮がぱりっとしていて、中にみっしり肉が詰まっていて、それがふんわりソフト、という印象です。パンをお皿にしてソーセージを食べているような感じ……。そして、これはちょっと意外だったのですが、パンが柔らかくて美味しかったんですね。ヨーロッパのパンはちょっと硬めというイメージだったので、ポイントが高かったです。ドイツ、食も侮れません。
歴史と、ソーセージとビール。そんなザクセンリンクの「ぶら歩き」でした。
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