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バイクのマフラーから“煙”が出ても、大丈夫?

バイクのニュース / 2024年7月23日 11時10分

いまどきのバイクの排気ガスは、結構クリーン(厳しい規制のおかげ?)……なハズですが、エンジンを始動した直後にマフラーから白い煙がモウモウと出るコトもあります。また、走行中に煙を吐いているバイクもたまに見かけますが、それって大丈夫なのでしょうか?

■マフラーの煙には「種類」がある!?

 現代の4ストロークエンジンのバイクの場合、停車してアイドリングしている時や走行中に、マフラーから「煙」が出ることは滅多にありません。ですが、朝一番のエンジン始動直後には結構な勢いで白煙が出ることがあります。また、ちょっと旧いバイクだと走行中、とくにアクセルを大きく開けて加速した時などに煙が出ることがあります。

いまどきのバイクは、マフラーから出る排気ガスはほとんど無色透明だが……(写真はイメージです)いまどきのバイクは、マフラーから出る排気ガスはほとんど無色透明だが……(写真はイメージです)

 じつはマフラーの煙は、出るタイミングや煙の色によって「種類」があります。その原因によって、問題がない場合もあれば、メンテナンスや修理が必要な場合もあるのです。順を追って紹介します。

■エンジンを始動した直後の白煙

 エンジンを始動した直後に出る、透明感のある白い煙は「水蒸気」です。冬場など寒い時期は結構モウモウと出ますが、煙はいつまでも滞留せずすぐに消えてしまいます。また、匂いも通常の排気ガスと変わりません。

 これはガソリンが燃焼する時に発生する水蒸気が冷たい外気に触れて結露し、細かな水滴になることで煙のように見える現象で、エンジンが暖まると見えなくなります。どんな形式のエンジンでも発生しますが、とくに問題はありません

■つねに白煙が出ている

 エンジンが暖まっても、アイドリング中や走行中もつねに白煙が出続け、吐き出された煙はすぐに消えずに焦げ臭い匂いがする場合は、エンジンオイルが燃えて白煙になって排出されています。これは4ストロークエンジンの場合は「オイル下り」と「オイル上り」の2種類の症状があります。

4ストロークエンジンの潤滑の概念図。シリンダーヘッドのカムシャフトなどを潤滑するエンジンオイルが、燃焼室内に下がって燃えるのが「オイル下り」。ピストンとシリンダーを潤滑したエンジンオイルが上がって燃焼室に入って燃えるのが「オイル上り」4ストロークエンジンの潤滑の概念図。シリンダーヘッドのカムシャフトなどを潤滑するエンジンオイルが、燃焼室内に下がって燃えるのが「オイル下り」。ピストンとシリンダーを潤滑したエンジンオイルが上がって燃焼室に入って燃えるのが「オイル上り」

 シリンダーヘッドに設けた吸気バルブや排気バルブには、カムシャフト等を潤滑したエンジンオイルが燃焼室に入らないように「バルブステムシール」という部品が装着されています。しかしこのシールが劣化や傷んで密閉性が損なわれると、バルブを伝ってエンジンオイルが燃焼室に入り、混合ガスと一緒に燃えてしまいます。これが「オイル下り」です。

 そして「オイル上り」は、ピストンとシリンダーを潤滑するエンジンオイルが燃える症状です。ピストンにはシリンダー壁と潤滑し、かつエンジンオイルが燃焼室内に入らないように“掻き落とす”機能を持つ「オイルリング」が装着されています。しかしオイルリングの劣化や不調、またピストンやシリンダー壁に傷ができるなどして密閉性が損なわれると、オイルが燃焼室に“上がって” 混合ガスと一緒に燃えてしまいます。

 いずれの場合もエンジンオイルが燃えてしまうので、当然ながらエンジンオイルの量がどんどん減ってしまいます。もちろんエンジン内部の部品のトラブルなので、修理が必要になります。

 現代のバイクはかなり頑丈で壊れにくく、これらのトラブルは出にくいのですが、製造から時間が経ったり走行距離が伸びれば、摩耗や劣化によって症状が出ることはあります。

 ちなみに、4ストロークエンジンは「オイル上り」や「オイル下り」を起こしていない正常な状態でも、エンジンが動いている時はエンジンオイルはほんの僅かに混合ガスと一緒に燃えています。ただし非常に微量なので白煙が出ることは無く、目に見えてオイル量が減ることもありません。

■黒い煙は「不完全燃焼」

 現行バイクでは滅多に見ませんが、旧車や吸排気系をカスタムしたバイクなどでは、マフラーから黒煙が出ることがあります。イメージとしては、大型トラックが加速時に吐き出す黒煙と似ています。

以前のキャブレター車は、エアクリーナーの汚れやセッティング不良で混合ガスが濃くなりすぎて黒煙が出ることも以前のキャブレター車は、エアクリーナーの汚れやセッティング不良で混合ガスが濃くなりすぎて黒煙が出ることも

 これはエンジンが吸い込んだ混合ガス(ガソリンと空気の混合ガス)が、適正よりも“濃い状態”の時に、不完全燃焼を起こして燃え残ったガソリンが炭素の素粒子=煤になって排出される現象です。

 現代の電子制御燃料噴射(FI)のバイクは、混合ガスを緻密に制御しているので、黒煙が出ることはほとんどありません。しかし以前のキャブレター仕様だと、エアクリーナーの汚れなどで燃料が濃くなってしまうことがあります。またキャブレターをカスタムした際に、セッティングが出ていないと混合ガスが濃すぎて黒煙が出ることもあります。

■2ストロークエンジンは、白煙が出て問題ナシ!?

 さて、4ストロークエンジンで白煙が出るのは何らかのトラブルですが、かつての2ストロークエンジンは、ある意味で「白煙が出て当たり前」でした。

2ストロークエンジン(ピストンバルブ方式)の概念図2ストロークエンジン(ピストンバルブ方式)の概念図

 2ストロークエンジンは、シリンダーヘッドにカムシャフトや吸排気バルブが無いので「オイル下り」が起こることはありません。しかしガソリンと空気の混合ガスを、最初にクランクケースの中に吸い込んで圧縮し、そこからシリンダー内(燃焼室)に送る構造のため、シリンダー内にエンジンオイルを溜めておくことができません。

 とはいえピストンとシリンダーを潤滑しないと焼き付いてしまうため、混合ガスにエンジンオイルを混ぜた状態で吸気させています。そのためエンジンが爆発する際には、混合ガスと一緒にピストンやシリンダーを潤滑したエンジンオイルが燃えます。

 4ストロークエンジンなら「オイル上り」に近い状態と言えるかもしれませんが、もちろん意図的に行なっているのでトラブルではなく、当然ながら白煙が出るわけです。

 1970年代頃までの2ストローク車は、とくに加速時はマフラーからかなり白煙を吐きましたが、1980年代頃にはエンジンオイルの給油システムが進化したため、だいぶ白煙が抑えられました。が、白煙とオイルの香りは2ストロークの魅力のひとつでもありました。

 というワケで、かつての2ストローク車はともかく、4ストロークエンジンのバイク、はエンジン始動直後の「水蒸気の白煙」は問題ありませんが、それ以外の煙がマフラーから出る場合は何らかのトラブルなので、放置せずに速やかにバイクショップで診てもらいましょう。

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