スポーツフィーリングを楽しめるハーレーダビッドソン「X500」 親しみやすさと扱いやすさで一切クセ無し!
バイクのニュース / 2024年7月27日 11時10分
ハーレーダビッドソンの新型モデル「X500」は、普通二輪免許で乗れる「X350」と共に2023年10月に日本市場へ導入された、排気量500ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載するネイキッドモデルです。既存ラインナップとは異なる車体構成は、いったいどのような乗り味なのでしょうか。試乗しました。
■“親しみやすさ”で新しいユーザー層へ訴求
2023年、ハーレーダビッドソンのショールームに気になるモデルがラインナップされました。1台は普通二輪免許で運転が出来る「X350」、そして兄弟モデルとなる「X500」です。
ハーレーダビッドソン「X500」に試乗する筆者(松井勉)
狙いは初めてのバイク、初めてのハーレーダビッドソン、初めての輸入ブランドへの布石となるようなモデルで、その価格は「X350」が69万9800円から、「X500」は83万9800円からと魅力的なもの。この戦略的価格帯の実現に向け、ハーレーダビッドソンは中国のQJモータースとアライアンスを組み、QJ社が保有するイタリアンブランド、ベネリの「TN302S」、「レオンチーノ500」シリーズをベースに、ハーレーダビッドソンが自ら外装、エンジン特性などを仕立てたバイクなのです。
今回試乗した「X500」の特徴は、搭載する水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンで、その出力とトルクは、35kW/8500rpm、46N.m/6000rpmです。
スチールチューブフレームなどはベースモデルそのものに見えます。フロントフォークには伸び側減衰圧調整機構を持ち、φ50mmのインナーチューブを持つ倒立フォークなのも同様のレイアウトです。
リアのスイングアームからライダーの着座位置右側に延びるように斜めにレイアウトされたシングルリアショックにも、荷物、2人乗りなどの荷重変更に対応するためのプリロード調整機構と伸び側減衰圧調整が可能になっています。
ハーレーダビッドソン新型「X500」(2023年型)
燃料タンクは存在感があり、シートも厚手の前後一体式を採用。グラフィックとシルエットからハーレーらしさが溢れつつも、スポーツバイクとの上手いバランス点が「X500」の特徴と見ました。
今回の試乗車はビビッドブラックというハーレーダビッドソンの定番カラーで、クールかつダークなイメージは上級モデルにも似たもの。
速度計の中に小窓的な液晶モニターを持ち、時計、エンジン回転数、トリップ、オドメーターなどを表示するシンプルなメーターや、テールランプ内蔵のウインカーでリアビューをスッキリした造形としながらカスタマイズ感を出すのもさすが。
ハンドルのスイッチ類は、いわゆる国産から乗り換えてもすんなりと扱える一般的なもの。乗ることにハードルは高くありません。ライダーの上体は比較的アップライトで、ハンドルバーも自然な幅でライディングフォームもネイキッドバイクというイメージです。
ステップ位置が思いっきり後方になる「X350」とは異なり、「X500」のそれはネイキッドバイク的な位置になります。シート高は820mmで、ライダーシートの先端はしっかりと細身にシェイプされていることもあって足つき感は悪くないのですが、感触がやや硬めでシート高そのものを実感する面もあります。
いずれにしても、ガソリンを満たした状態で車重208kgと、400ccクラス同等である「X500」は親しみやすい印象です。
■扱いやすさの中に“個性”アリ
エンジンはスムーズにアイドリングします。最近の並列2気筒でトレンドと言えば、270度クランクがもたらす不等間隔爆発で、排気音、鼓動感をチューニングするというもの。そんな中、トラッドな360度クランクにより「X500」のエンジンは超絶スムーズな回転フィールをライダーに伝えます。
排気量500ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジン搭載。イタリアンブランド、ベネリの「レオンチーノ500」シリーズをベースに、その特性をハーレーダビッドソン仕立てに
これはボア×ストローク比にもよるもので、「X」シリーズのエンジンは、ともにスポーティなフィーリングを重視したものです。国産ではカワサキ「W800」も同様に360度クランクを採用しますが、あちらはロングストロークで、あえて鼓動感やトルク感を低い回転から湧き出すようなフィーリングです。
しかし、です。走りだして驚きました。超絶扱いやすいのです。1速にシフトして半クラッチを当てると、ゴロリというしっかりと後輪の蹴り出しを感じながら発進。そのままアクセルを開けてもスムーズかつ力強さを伴って加速をします。
シフトアップすると、3速から6速まではかなりのクロースレシオであり、ファイナルのギアリングがローギアード仕立てなのか、それこそ40km/hで6速に入るほど。
このフレキシブルで扱いやすいエンジンで流すと、ラクチンの一言です。ツーリングでは余裕のカタマリ。その優しいエンジンに対し、少しリアのサスペンションはハードで、あまりストローク感がありません。その分、フロントタイヤに荷重を載せてスっと曲がることを得意ワザとしている車体のようです。それだけにワインディングではフロントタイヤに舵角が当たると身軽に方向を変え、それに呼応するようにアクセルを開けると、スムーズなエンジンが気持ち良い増速を楽しませてくれます。
扱いやすくスポーティな走りも得意。瞬発的なダッシュ力と高速道路で悠々の追い越し加速を見せてくれた
装着されているマキシスのタイヤと車体のマッチングも、こうしたハンドリングに合わせているようで、ライダーの着座位置が高い印象のまま、スっと曲がる方向にバイクが寝て、フロントからしっかりと曲がり出す、というもの。雨の日、寒い日を考えると少しレスポンス鋭過ぎん? とも感じたものの、逆に個性としては面白いのです。
フロントブレーキはラジアルマウントの対向4ピストンキャリパーですが、タッチ、制動力ともに市街地や雨でも安心して扱えそうなもの。ディスクにいきなり食いつくような素振りは見せず、それでもしっかりと制動性能を発揮してくれます。またフロントサスペンションも、極太インナーチューブだけにパイプとシールの接触面が大きく、フリクションがあるのでは、と想像したものの意外とスムーズでした。
高いペースで移動してもさすが、余裕です。ギアリングがもう少しロング(ハイギアード)でもいいかな、と思いましたが、回転が上がる分、追い越し加速などはシフトダウンの必要性が無く、簡単に力強い加速を引き出せます。
豪快でワル、デカくて押し出しが強い。世界一強烈な個性を持つハーレーダビッドソン。その大音量の音楽にも似たブランドイメージからすれば、この「X500」はとても普通に思えるバイクかもしれません。
しかし乗るほどに滲み出すブランド力、まあ、各部の仕上げという点では上級モデルが持つ「どうだ!」という主張まではないけれど、ブランドという派閥間での戦い、シバリに会いたくないけど面白いバイクに乗りたい、という人にはオススメな1台でした。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
人気高まるミドルクラスは昔からスズキが得意! だからこそ『GSX-8R』は扱いやすくて楽しい!!
バイクのニュース / 2024年7月16日 12時10分
-
3気筒エンジンのバイクが熱い!? 2気筒でも4気筒でもない3気筒ならではの魅力とは
&GP / 2024年7月14日 7時0分
-
ホンダ「レブル500」のフトコロの深さに驚く! じつはかなりの実力車だった
バイクのニュース / 2024年7月7日 11時10分
-
「バイクはやっぱり4気筒」というのは過去の話!? 2気筒エンジンのバイクが人気の理由
&GP / 2024年6月30日 7時0分
-
全面新設計のロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」 旧車的で牧歌的な資質は維持しているのか?
バイクのニュース / 2024年6月29日 11時10分
ランキング
-
1街にあふれる「アルファード」 なぜ「先代」も“高い”? すでに“型落ち”でも「現行型」に迫る「高リセール」維持する理由とは
くるまのニュース / 2024年7月26日 10時10分
-
2「うちの病院、ヤバすぎる」美容クリニック従業員がSNSで暴露…なぜ「内部告発」を止めることはできなかったのか?
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月27日 7時15分
-
3日本のにんにくは中国産が9割。「国産にんにく」と「中国産にんにく」の違いとは? 3つの産地で比較
オールアバウト / 2024年7月26日 21時5分
-
4致命傷になる部位ってどこ? バイク事故で守るべきポイントとは
バイクのニュース / 2024年7月27日 10時10分
-
5ラブホ従業員が見た「ラブホ前での男女の攻防」。女性から“おねだり”するパターンも…
日刊SPA! / 2024年7月26日 15時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)