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巷で噂の「電動スーツケース」に乗るには免許が必要!? いったいどういうことなのか

バイクのニュース / 2024年7月25日 10時10分

2024年6月、電動スーツケースで歩道を走行した女性が書類送検されるという事例がありました。いったいなぜ、女性は逮捕されてしまったのでしょうか。

■近頃話題になっている「電動スーツケース」、免許が必要って知ってた?

 旅行や出張といった移動の際に活躍するスーツケース。荷物を整理しやすく車輪がついていて持ち運びに便利なので、いつも利用しているという人も多いかもしれませんが、バッグやリュックなどよりも「重たい」のがネックです。

巷で話題になっている「電動スーツケース」巷で話題になっている「電動スーツケース」

 そんな悩みを解消したのが、巷で話題になっている「電動スーツケース」。搭載されたリチウムイオンバッテリーにより、最高速度13km/hまで出すことが可能なほか、耐荷重が100kg以上あり、ハンドルが付いていてアクセルとブレーキが装備されているため、上に乗って走ることができます。

 荷物の多いシーンの移動を楽にしてくれる電動スーツケースですが、そんななか今年の6月、大阪市内の歩道を電動スーツケースに乗って走行したとして、30代女性の中国人留学生が全国で初めて道路交通法違反の疑いで書類送検されました。

 いったいなぜ、女性は逮捕されてしまったのでしょうか。

 実は電動スーツケースは道路交通法上、「原動機付自転車」に該当する乗り物。そのため、免許がなかった中国籍の女性は無免許運転で摘発されたというわけです。

 ちなみに同じ電動の乗り物といえば、近年街中でよく見かけるようになった電動キックボードが挙げられます。2023年7月1日の道路交通法の改正により、「特定小型原動機付自転車」という区分が新設されたのは記憶に新しいかもしれません。16歳以上であれば免許なしで、ヘルメットの着用は努力義務で運転できるようになりました。

公道を走行するときに、電動キックボードは免許が不要で、電動スーツケースは免許が必要公道を走行するときに、電動キックボードは免許が不要で、電動スーツケースは免許が必要

 つまり公道を走行するときに、電動キックボードは免許が不要で、電動スーツケースは免許が必要という事ですが、前述の2つの乗り物はどのような点に違いがあるのでしょうか。

 そもそも特定小型原動機付自転車として認められるのは、車体の長さ190cm以下、幅60cm以下で、最高速度が20km/h以下に制限された車両のみ。また歩道を走行する場合は、最高速度6km/h以下になるような構造が必要です。

 さらに言うと、ヘッドライトやブレーキランプ、バックミラーなどの保安部品に加え、ナンバープレートの装着と自賠責保険の加入も必要になります。これらの基準を一つでもクリアできなければ、その車両は特定小型原動機付自転車として認められません。

 一方の電動スーツケースは、車体の大きさについてはクリアできそうですが、保安部品やナンバープレートがなく、歩道を走行する場合の最高速度もオーバーしています。そのため、特定小型原動機付自転車としては認められず、原動機付自転車の区分になります。公道を走行するときは原付バイクと同様に免許が必要で、自賠責保険の加入およびヘルメットの着用も必須です。

中国籍の女性のケースでは、保安部品やナンバープレートのない電動スーツケースを無免許で運転していた中国籍の女性のケースでは、保安部品やナンバープレートのない電動スーツケースを無免許で運転していた

 前述の道路交通法違反の疑いで書類送検された中国籍の女性のケースでは、保安部品やナンバープレートのない電動スーツケースを無免許で運転しています。そもそも、最高速度6km/hを超えて走ることができる乗り物は歩道を走行できません。これらの違反が重なった結果、電動スーツケースの女性は摘発されたと言えるでしょう。

 ただ、一見すると道路にみえないような場所であれば、電動スーツケースで自由に走行してもよいと思うかもしれません。しかし、電動スーツケースに乗って移動するときは、利用する場所によっては注意が必要です。

 道路交通法では「一般交通の用に供するその他の場所」も公道と定義されています。したがって、「不特定多数のクルマや人などが行き来する場所」も該当するため、商業施設の駐車場や農道、空地なども公道に含まれるケースがあるというわけです。

契約者だけが出入りする月極駐車場やサーキットのコースなど、個人や企業が所有し管理している土地は「私道」扱いになり道路交通法は適用されず契約者だけが出入りする月極駐車場やサーキットのコースなど、個人や企業が所有し管理している土地は「私道」扱いになり道路交通法は適用されず

 一方、契約者だけが出入りする月極駐車場やサーキットのコースなど、個人や企業が所有し管理している土地は「私道」扱いになります。決まった人だけが利用する場所になるため道路交通法は適用されず、その場所のルールに従えば良いだけで免許の必要はありません。

 電動スーツケースは自転車並みのスピードが出るため、ひとたび人にぶつかると、重大な事故につながりかねません。荷物の重さにプラスして人の体重が加われば、衝突したときの衝撃はさらに大きくなります。

 電動スーツケースに乗る際は、その場所が公道なのか私道なのかをしっかりと見極めて、くれぐれも違反にならないよう十分に注意する必要がありそうです。

※ ※ ※

 荷物が積めて上に乗って走ることができる「電動スーツケース」は、ちょっとした移動の際にとても便利な乗り物です。しかし公道を走行する場合は、原付バイクと同じ扱いになるため免許がなければ運転できません。

 電動スーツケースはネット通販や家電量販店などで気軽に購入することができます。利用する際は荷物を詰め込むのと同時に、電動スーツケースのルールもしっかり頭に入れておく必要があるでしょう。

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