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パリ五輪の開催地にある「パリのバイク街」で感じた普及が進む電動バイクの波

バイクのニュース / 2024年7月28日 12時10分

フランスのパリにある「SHOEIギャラリー・パリ」を訪問取材しました。話はヘルメットのことから、パリのバイク事情にまで及びました。周辺はバイク関連の店舗が並ぶ「バイク街」で、歩いているだけでも興味深い場所でした。

■環境によって異なる、ヘルメットに求めるもの

 プレミアムヘルメットブランド、SHOEI(ショウエイ)のオフィシャルショールーム「SHOEI Gallery(ショウエイ・ギャラリー)」が、フランスのパリにもあることをご存知でしょうか。わたし(筆者:伊藤英里)は、知りませんでした(すみません)。2024年の初めに「SHOEIギャラリーTOKYO」にヘルメットを購入しに行ったとき、担当してくださった方と雑談をしていてその存在を知り、ちょうど、MotoGPフランスGPへ取材に行くことが決まっていたので、「ぜひ、SHOEIギャラリー・パリに行きたい!」と、決断したわけです。

SHOEI Gallery PARISは荘厳な建物の中に入っている。さすがパリSHOEI Gallery PARISは荘厳な建物の中に入っている。さすがパリ

 SHOEIギャラリー・パリが位置するのは、フランスの首都パリの有名な観光スポット、エトワール凱旋門から伸びる通りのひとつ、グランド・アルメ通りです。

 パリに行く前、『バイクのニュース』でもおなじみのバイクジャーナリスト、小林ゆきさんと、フランス人のMotoGPジャーナリストに、「パリに行くので、バイク関連で見ておくべき場所を教えてください」と聞いたとき、2人が揃っておすすめしてくれた場所が、まさにSHOEIギャラリー・パリがある、このグランド・アルメ通り周辺だったのです。

 2人がおすすめしてくれた理由は、到着してすぐにわかりました。トライアンフ、ドゥカティ、BMW Motorrad、ハーレーダビッドソン、インディアン・モーターサイクル、ヤマハ、ホンダ、ダイネーゼのほか、電動バイクメーカーのゼロ・モーターサイクルスだけを扱うディーラーなどが、この通りの両脇にずらりと並んでいます。まるで、「パリのバイク街」です。

 SHOEIギャラリー・パリは、その一角にありました。訪れると、SHOEIのフランスの子会社(SHOEI EUROPE DISTRIBUTION SARL)の代表を務める、パスカル・クチュリエさんが迎えてくれました。話を聞くと、クチュリエさんはヤマハで活躍した元トライアルライダーで、1992年、1993年の全日本トライアル選手権IAチャンピオン! 今でもトライアルバイクを走らせているそうです。

 そんなクチュリエさんの案内で、店内を歩きます。と言っても、それほど広いわけではありません。通りに面したエントランスから入ると、サポートライダーのマルク・マルケス選手のヘルメットなどが展示され、P.F.S(SHOEIパーソナル・フィッティング・システム)が受けられるイスなどがあり、SHOEIが展開する各モデルは、地下にずらりと並んでいます。

SHOEI EUROPE DISTRIBUTION SARLの代表を務めるパスカル・クチュリエさんSHOEI EUROPE DISTRIBUTION SARLの代表を務めるパスカル・クチュリエさん

 クチュリエさんによると、パリのバイクの状況として、速度制限が変わるなどしてスポーツバイクが減少しており、ストリートではネオレトロやスクーター、アドベンチャーバイクが人気車種だそうです。

 現在の人気モデルについては、わたしが見てきた各ヨーロッパの国や、日本にも通ずるところがあるように思います。例えば、MotoGPの取材で行ったサーキットの駐輪場を覗くと、スポーツタイプはもちろんですが、アドベンチャータイプも多いのです。

 こうした状況から、ヘルメットに求めるものも変わってきています。クチュリエさんに人気のモデルを聞いたところ、「X-SPR Pro」(日本の「X-Fifteen」)、「Neotec 3」、「GT-Air 3」、「J-Cruise II」(※モデルは2024年5月7日時点のもの)とのことでした。「Neotec 3」や「GT-Air 3」が内蔵するサンバイザーや、ベンチレーションシステムなど利便性の高い機能が求められているそうです。

「(現在の)パリのライダーは、バイクを街乗り、ツーリングに使います。だから、(フェイスカバーを全開にできる)Neotec 3などが人気なんです。20年前は、スポーツタイプがベストセールスだったんですけどね」

 ちなみに、「Glamster 06」(日本の「Glamster」)は、あまり人気がないのだとか。これは興味深いところでした。というのも、日本では「コンパクトで軽い」ことから、「Glamster」は大人気モデルだからです。フランス人と日本人の志向の違いなのかもしれません。

■パリの駐輪場と、電動バイク事情

 さて、SHOEIギャラリー・パリを出て、もう少し、その周辺の雰囲気をお伝えしたいと思います。クチュリエさんは、パリのバイク事情についてこう語っていました。

道端で電動バイク「BMW C evolution」が充電中。同じBMWの「CE 04」が走っている姿も見かけた道端で電動バイク「BMW C evolution」が充電中。同じBMWの「CE 04」が走っている姿も見かけた

「以前はこの店の前に、もっとたくさんのバイクが停まっていたんです。しかし、今は規制によって少なくなりました。今は、例えばお店の前ならバイクを停められますが、二輪の駐輪場を利用する場合は、お金を払わなければなりません。駐輪料金は、電動バイクの場合、少し安くなります」

 確かに、SHOEIギャラリー・パリ周辺は、バイクは多いものの、雑多に駐輪している印象はありませんでした。そして、歩いていると「電動バイクが多い」という印象を持ちました。

 道の脇に充電スポットがあることは、日本の首都圏でも珍しくはないでしょう。ただし、そこで電動バイクが充電している、と言ったらどうでしょうか。わたしの経験上、あまり無い光景だと思います。このエリアでは2台の電動バイクが充電しているのを見つけました(どちらも「BMW Cエボリューション」でした)。駐輪しているスクーターの中にも、ちらほらと電動バイクがありました。

グランド・アルメ通りの路面はタイル地。凱旋門の周りのラウンドアバウトも同じくグランド・アルメ通りの路面はタイル地。凱旋門の周りのラウンドアバウトも同じく

 さらに、電動バイクメーカー、ゼロ・モーターサイクルスだけを扱うショップで店の方と話をしたところ、パリの電動バイク率は上がっており、フランスでは電動バイク購入時の助成金がある、ということでした。その後調べたところ、世帯収入によって助成金額は異なりますが、確かに、電気自動車(電動バイク)を購入する際の助成金があるようです。

 規制や助成金などによって、電動化が促進されているのかもしれません。そこが「パリのバイク街」だから、より際立ってこうしたバイク事情が見えたのかもしれませんが、そうした周辺状況もあわせて、SHOEIギャラリー・パリの訪問は興味深いものでした。

 SHOEIギャラリー・パリは、その店はもちろん、周辺エリアの雰囲気もバイク乗りにはたまらない、興味深い場所でした。ぜひ、パリ観光に行くバイク好きにおすすめしたいと思います。

 ちなみに、SHOEIギャラリー・パリで販売されているような海外向けヘルメットは、日本国内では使用できませんので、ご注意を……。

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