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近年バイクにも装備される「ミリ波レーダー」って、ナニ?

バイクのニュース / 2024年7月30日 11時10分

日々進化するバイクのメカニズム。英文字やカタカナで表記される最新機構も数多く、いったいどんな機構で、バイクに乗る上でドコに役立つのかいまひとつ解らない「コレってナニ?」という装備が盛り沢山。今回はその中から「ミリ波レーダー」を解説します。

■周囲のクルマやバイクの動きを高精度で検知!

 クルマ(4輪車)では「自動ブレーキシステム」などで20年ほど前から採用され始めた「ミリ波レーダー」ですが、今後は自動運転等でますます普及しそうです。バイクにおいても運転支援システムとして数年前に登場しましたが、そもそも「ミリ波」とは何なのでしょうか?

ボッシュ社が開発したバイク用のミリ波レーダーのアンテナ部分。写真はBMW Motorrad「R 1250 RT」用ボッシュ社が開発したバイク用のミリ波レーダーのアンテナ部分。写真はBMW Motorrad「R 1250 RT」用

「ミリ波」とは、30~300GHz(ギガヘルツ)の非常に高い周波数帯の電波のことで、波長も1~10mmと極めて短いです。ちなみにテレビのUHF放送の電波は300~3000Hzで(波長は100mm~1m)、極超短波と呼ばれていますが、それよりずっと波長が短いのが特徴。なのでミリ波は電波の中では光に近い性質を持っています。

 そして「レーダー」は、電波を対象物に向けて発射し、反射して戻ってきた電波を測定することで距離や方向を測定する装置です。こちらは航空機の管制塔や軍事設備、または漫画やアニメにもよく登場するのでイメージしやすいのではないでしょうか。

 極めて波長の短いミリ波をレーダーに使うことで、対象物の距離や動きを高い精度で検出することができます(現在のクルマやバイク用で最小0.1mmの動きを検出可能)。また雨や雪などの影響を受けにくく、光と似た性質ですが実際には光線ではないため夜間や逆光などでも対象物を検出できるメリットがあります。

■快適に巡航できる、アダプティブ・クルーズ・コントロール

 それでは、ミリ波レーダーをバイクでどのように活用するのでしょうか? 代表的なのが「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」です。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を装備するBMW Motorrad「R 1300 GS」ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を装備するBMW Motorrad「R 1300 GS」

 アクセルを操作しなくても一定速度で巡行できるクルーズコントロールは、バイク用ではスロットルを電子制御でコントロールするライド・バイ・ワイヤ機構が登場してからメジャーな装備になってきました。設定したスピードより実際の速度が上がると電子制御スロットルが閉じて減速し、スピードが設定より下回ると自動的にスロットルを開けて加速する仕組みです。

 しかし前走車に追いついて車間距離が縮まったり、他車に割り込まれた時などにライダーがブレーキをかけると、安全のためにクルーズコントロールは解除されるので、再びセットする必要があります。また、長い下り坂などでは重力に引っ張られて設定したスピードを上回ってしまうこともあり、その際もライダーがブレーキをかけて減速し、再びセットしなければなりません。

 そのため相応に混んだ道では従来型のクルーズコントロールはかえって面倒なシーンもあり、夜間などの空いた高速道路でしか使えない……と感じなくもありませんでした。

 対するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、前走車や割り込んでくるクルマやバイクをミリ波レーダーで検出して、スロットルを戻したりブレーキを制御することで車間距離を開き、安全な車間距離になったら自動的に設定した巡航速度まで加速します。そのため、相応に交通量の多い道でも、基本的にはライダーがブレーキ操作やクルーズコントロールの再セットを行わずに快適に巡行することができます。

ACC&ミリ波レーダー連携UBSを装備するヤマハ「トレーサー9GT+」ACC&ミリ波レーダー連携UBSを装備するヤマハ「トレーサー9GT+」

 また、ヤマハ「トレーサー9GT+」が装備するACCでは、前後アシストユニファイド・ブレーキ・システム(UBS)と電子制御式サスペンションが連動することで、前走車の急減速時などにはブレーキへの入力量をアシストするとともに、サスペンションの減衰力を調整して車体姿勢の変化(強いブレーキ時の“前のめり”など)を抑制して、快適な乗車フィーリングを実現しています。

■後ろ向きにもミリ波レーダーを装備

 フロント部に装備したミリ波レーダーは、前走車や割り込みなどを検出してACCに活用できますが、リア部にもミリ波レーダーを装備することで安全性を高めるのが「BSD(ブラインド・スポット・ディティクション)」です。

ドゥカティ「ムルティストラーダV4S」のテールライト下に装備されたミリ波レーダードゥカティ「ムルティストラーダV4S」のテールライト下に装備されたミリ波レーダー

 BSDとは、後方接近車両検知のことです。バイクのバックミラーは車種にもよりますが相応に死角(ブラインド・スポット)があり、マメに確認していても後方を走るクルマやバイクが見えない場合もあり、気付かずに車線変更すると接触や衝突の危険があります。

 しかし車両の後部にもミリ波レーダーを装備することで、後方車両を検知してバックミラー部に装備した警告灯を点灯・点滅させることで、後方からの車両の接近をライダーに知らせてくれるのです。

 バイクは乗り物の特性上、クルマのように完全に停止する衝突防止の自動ブレーキは現実的には無理があり、(現時点では)将来的にも自動運転を目指していません。

 しかし安全性を高める上でACCやBSD、ヤマハのミリ波レーダー連動UBSは非常に有効です。

 他にも、カワサキの「Ninja H2 SX」にはFCW(フォワード・コリジョン・ワーニング:前方衝突警告)という機能があります。これは前走車との車間距離をミリ波レーダーで常時モニターし、自分が現在のスピードを維持したままだと衝突する危険がある場合に、メーター上部の赤色LEDを点滅させるとともに、TFTディスプレイに警告メッセージを表示してライダーに危険を知らせてくれます。

 このように、ミリ波レーダーはバイクの安全性や快適性を高めてくれる有用な装置です。現在は大型のツアラーやアドベンチャーのみの装備ですが、将来的に小中排気量モデルにも普及すると嬉しい限りです。

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