中古タイヤでベスト更新!? 鈴鹿8耐SSTクラスのポール争いは天候と気温の先読みバトル レーシングライダー石塚健のレースレポート
バイクのニュース / 2024年7月31日 13時10分
国内外で活躍するレーシングライダーの石塚健選手が、三重県にある鈴鹿サーキットで行われたFIM世界耐久ロードレース選手権 第3戦 鈴鹿8耐に参戦。そのレポート前編です。
■今年の8耐は暑さとの戦い!
皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。
2024年7月19日から21日に三重県にある鈴鹿サーキットで開催された、”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会に参戦してきたので、そちらのレポートを書いていきたいと思います。
この8耐は、僕の今シーズン唯一の国内でのレースでしたが、本当に沢山の方が応援してくれているのを肌で感じ、とても嬉しかったです。
暑い中、現地まで激励にお越しくださった皆さん、テレビやSNSを通じて応援していただいた皆さん、本当にありがとうございました!
”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会でSSTクラス ポールポジションを獲得したTERAMOTO@J-TRIP Racing
今回の鈴鹿8耐は、僕にとって8回目の参戦。コロナの影響で開催されなかった2020年、2021年を除き、有り難いことに毎年参戦させていただいております。
これまでにSSTクラスで2勝を含む6度の表彰台を獲得してきたのですが、今回は、惜しくも4位で終わった昨年のリベンジを果たすべく、クラス3勝目を目指してレースウィークを迎えました。
今年の鈴鹿は過去にないほどの猛暑となり、特に決勝日の最高気温は35度以上。フィジカル的にかなり厳しい一週間でした。
水曜日からいよいよ走行がスタート。初日はテストからの好調さを維持し、走り出しからハイペースを刻むことができました。チームはロングランや燃費テスト、予選に向けてのタイヤテストと、テスト項目をスムーズに消化していきます。またウエット、ハーフウエットのコンディションも走行でき、順位はクラス2番手で初日を終える事ができました。
FIM世界耐久ロードレース選手権 第3戦 鈴鹿8耐で鈴鹿サーキットを走るレーシングライダーの石塚健選手
個人的にはスズキの車両でウエット路面を走行した経験がなかったので、確認ができた上に、まずまずのペースで走ることができホッひと安心。
木曜日は車検や装備チェック、ブリーフィングが行われ走行はなし。束の間の休息日となりました。
■SSTクラスのポールポジション争いはコンマ1秒の接戦
金曜日は予選。予選は午前と午後に分けて各ライダー2回の走行。チームのライダー3人中(2人のチームもある)、2人のベストタイムの平均が、チームの持ちタイムとして決勝グリッドのポジションに反映されるシステムです。
かなりハイレベルな今年のSSTクラスのポール争いは、予選2回目のライダーレッド(3番目に予選を走るライダー)のタイム次第となり、どうなるか予想がつかないほどの接戦となりました。
ピットで走行時間を待つレーシングライダーの石塚健選手
ライダーレッドを担当した自分は、ポールポジション獲得に向け、午前に行われた予選1回目のタイムをコンマ1秒でも上回る必要がありましたが、タイヤの使用本数の制限がチーム全体で7本とシビアな為、2回目の予選は前後ユーズドタイヤしか使用できない状況。
正直厳しいと思っていましたが、それ以上に「やってやる!」という気持ちの方が強かったです。
しかし、走れば走るほど当然タイヤのグリップ力は落ちていくので、1周に賭ける思いでアタックラップに入りますが、タイムは午前のタイムの0.5秒落ち。「タイヤがまったく食わない」やはりユーズドタイヤでは、新品タイヤほどのグリップ力は当然発揮されません。
タイヤの状態的にも行けてもあと一周。走行する位置取りを変えてもう一周、バイク、タイヤ、自分の限界に挑戦し、なんとか午前のタイムを0.5秒更新する、2分08秒498をマークすることができました。
「よしっ!」更新できた嬉しさはあったものの、アタックラップに自分よりペースの遅いライダーに出くわしてしまい、コンマ数秒ロスをしてしまったことや、コンマ数秒自己ベストに届かなかった悔しさもありました。
また、ライバルチームも同時にアタック中ですが、そのタイムを確認することもできていないので、ポールを獲れたかどうかは、走行直後の自分には一切わからなかったので、少しの不安も残る状況です。
鈴鹿8耐の公式予選でタイムアタックをする石塚健選手
その後ピットに戻ると拍手喝采!チームスタッフみんなの喜んでいる姿を見て、「これはやったか!!?」と思いました。
その後すぐに知らせが入り、2番手と僅か0.1秒差で見事ポールポジションを獲得!本当に嬉しかったです。
当然、自分ひとりが速く走ってもポールは獲れないので、今回チームメイトの村瀬健琉選手も素晴らしいタイムをマークしてくれて、クラス最速の座を掴み取れました。
これはタラレバになってしまいますが、そのアタックで新品タイヤを履いていたら?とか、他のライダーに出くわさなかったら?などと考えてしまいますが、ひとまずポールポジションを獲得できたのは、素直に嬉しかったです。
その後もナイトセッション、そして決勝日のウォームアップ走行もチームはクラストップタイム。ウィーク中のほとんどのセッションでトップタイムをマークする事ができました。
チームの士気は爆上がりし、チームワークもバッチリで、いよいよ決勝レースがスタート!と言いたいところですが、前編はここまで!
次回後編では、大波乱の鈴鹿8耐決勝レースの模様をお伝えしますので、楽しみにしていてください。
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