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空冷エンジンの究極形態!? ホンダ「CBX」DOHC6気筒エンジンの迫力!!

バイクのニュース / 2024年8月5日 19時40分

1970年代の終盤に、スポーツバイクは排気量1000ccクラスの時代に入り、そこに現れた並外れた1台が、並列6気筒DOHC24バルブエンジンを搭載するホンダ「CBX」です。究極の「CB」、あるいはCBを超えるCBとして、車名に排気量を表す数字は無く「CBX」と名付けられました。

■空冷4ストローク並列6気筒エンジンを世界で初めて量産化

 ホンダのバイク用6気筒エンジンと言えば、1966年のGPレーサー「RC166」や、現行モデルでは水平対向6気筒の「ゴールドウイング」があります。そして1979年型の輸出向け車両として、排気量1000ccクラスのスポーツバイク「CBX」がありました。

ホンダ「CBX」(1979年型)は、空冷4ストローク並列6気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する世界初の量産市販車ホンダ「CBX」(1979年型)は、空冷4ストローク並列6気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する世界初の量産市販車

 現在では「バイクを愛してやまないけれど、メカニズムには全く興味がない」というライダーも珍しくありません。エンジンの排気量や気筒数にとらわれず、自分にフィットするバイク選びも、ある意味では正解かもしれません。

 一方、ホンダ「CBX」が発売された1980年頃は、最新のメカニズムこそ、そのバイクを輝かせる最も大事な要素でした。次々と発売されるバイクには新しいエンジンが搭載され、各メーカーが互いに追いつけ追い越せと、開発合戦を繰り広げていました。

 新しいバイクは、それまでのモデルよりも高性能で速く、新車を買えば注目が集まり、乗っているだけでヒーロー気分でした。ホンダ「CBX」のエンジンは、そんな時代のメカニズムの頂点とも言える存在でした。

左右3本ずつ、計6本のエキゾーストパイプが綺麗に並ぶ。ダイヤモンドフレームがエンジンの造形を美しく見せている左右3本ずつ、計6本のエキゾーストパイプが綺麗に並ぶ。ダイヤモンドフレームがエンジンの造形を美しく見せている

「CBX」が生まれた時代を振り返えると、1969年にホンダは「CB750フォア」を発売し、名実ともに世界ナンバーワンのバイクメーカーとなりましたが、ほどなくして各メーカーからライバル車が続々と発売されます。

 1980年代を前に、スポーツバイクの排気量は1000ccクラスの時代に入りました。DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)の4気筒が定番となり、中には1100ccのモデルもありました。ホンダは時代遅れとなった「CB750フォア」の後継車として「CB750/900F」に加え、海外市場へ向けてより大きくて高性能な「CBX」をフラッグシップとして開発したのです。

「CBX」の注目ポイントは、排気量1047ccの空冷4ストローク並列6気筒エンジンです。実車を見ると、説明しなくてもその壮大なエンジンの存在感に目を奪われることでしょう。

 単純に、2気筒より4気筒、さらに6気筒と、気筒数が多い方が高性能で滑らかに回転するエンジンとなります。しかし生産コストが高いなど、現在のスポーツバイクの多くが4気筒を採用しており、6気筒はごく一部のモデルにしか採用されないプレミアムなエンジンです。

 しかも「CBX」のエンジンは1気筒あたり4本のバルブ、6気筒で合計24本ものバルブをDOHCで正確に作動させました。高回転での伸びが良く、最高出力も並外れた105PSを発揮しました。

ジェット機スタイルと呼ばれたスピードメーターは240km/hまで刻まれている。タコメーターは9500rpmからレッドゾーンジェット機スタイルと呼ばれたスピードメーターは240km/hまで刻まれている。タコメーターは9500rpmからレッドゾーン

「CBX」以前にも、イタリアメーカーの並列6気筒エンジンの市販車はありましたが「CBX」は世界で初めて量産された、6気筒DOHCエンジン車であり、今後同様のエンジンが生産されることは、まずないでしょう。

 もうひとつの特徴は、大排気量エンジンにも関わらずダイアモンド形式のフレームを採用したことです。エンジン前方が解放されており、幅の広いシリンダーヘッドや、綺麗に並んだ6本のエキゾーストパイプを見ることができます。

 当時、メカニズムも性能も世界最高レベルを誇った「CBX」でしたが、ユーザーはより軽量で、安価で購入できたもうひとつの高性能車「CB900F」を好みました。

「CBX」は1981年モデルでプロリンクを採用したツアラーへとモデルチェンジしますが、その生産年数はあまり長くはなく、「CBX」という車名はその後、「CBX400F」(1981年)などに受け継がれています。

シリンダーは燃料タンク両サイドからはみ出しているが、キャブレターはライダーの膝に当たらないよう内側に追い込まれているシリンダーは燃料タンク両サイドからはみ出しているが、キャブレターはライダーの膝に当たらないよう内側に追い込まれている

 輸出専用車なので日本の公道で目にすることは稀ですが、その迫力あるエンジンと車名は、日本を代表する名車の1台と言えるでしょう。

■ホンダ「CBX」(1979年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク並列6気筒DOHC4バルブ
総排気量:1047cc
最高出力:105PS/9000rpm
車両重量:247kg(乾燥)
燃料タンク容量:13L
フレーム形式:ダイヤモンド

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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