クルマもバイクも暑い!! エンジンの冷却水は減る? 減らない?
バイクのニュース / 2024年8月9日 11時10分
近年のスポーツバイク、とくに国産車の多くは水冷エンジンを搭載しています。文字通り“水”を使ってエンジンを冷やしていますが、はたして冷却水は減ったりするのでしょうか? 注ぎ足したり、交換する必要は無いのでしょうか?
■冷却水の量、チェックしてますか?
水冷エンジンのバイクの場合、メンテナンス項目として「冷却水のレベルのチェック」が掲げられています。もし冷却水が不足したらエンジンがオーバーヒートを起こす危険があるのでチェックは必須ですが、実際のところ愛車の冷却水のレベルを確認したことが無いライダーも少なくないのではないでしょうか?
冷却水のレベルのチェックはリザーバータンクで行なう。画像はカワサキ「ZRX1200DAEG」で、左サイドカバーの内側に配置される
冷却水のレベルチェックは、冷却水のリザーバータンクで行ないます。多くの場合は半透明の樹脂製のタンクに「LOW」と「FULL」の線が刻まれているので、その間に水面があればOKです(レベルチェックはエンジンが完全に冷えた状態で車体を真っ直ぐに立てて行なう)。
とはいえ車種によっては、リザーバータンクやレベルのラインがけっこう見にくい場合もあります。それもあって、ついチェックを怠ってしまうライダーもいると思いますが、愛車を元気に維持するために必要なので、頑張って確認しましょう。
いまどきの水冷エンジンは、よほど過剰に負荷をかけなければ、まずオーバーヒートしません。とくに国産バイクは真夏に渋滞路をゆっくり走って発進・停止を繰り返しても大丈夫です。逆に言えば、オーバーヒートしてラジエターキャップからシューッ!と水蒸気を吹くようなら、明らかに故障です。
■水温が100℃超えても大丈夫!?
水冷エンジンにとって重要な冷却水ですが、乗っていると減ったりするのでしょうか? これは車種にもよるので一概に言えませんが「少しずつ減るけれど、かなり少量」という感じです。たまにリザーバータンクをチェックしても、おそらく変化がわからない場合が多いでしょう。
水温は100℃を超えても大丈夫。夏場なら120℃くらいまで上がることも
とはいえバイクのメーターの水温計を見ると、夏場なら100℃を超えることも多いので「沸騰して蒸発するのでは?」と感じなくもありません。
しかしエンジンの冷却水経路はリザーバータンクを除けば基本的に密閉されています。密閉=圧力がかかっているため、100℃を超えても冷却水が沸騰しません。
ちなみに、冷却水に使う専用のクーラントは、含まれるエチレングリコールによって沸点は概ね120℃です。そのためエンジンの水温が120℃を超えても沸騰しないのです。
ただし、水は温度が上がると膨張し、冷えると収縮するため容積が変化しますが、その変化量に対処するのもリザーバータンクの役目です。走行中の水温上昇により冷却水経路の中で膨張した分がリザーバータンクに送られ、反対に駐車中にエンジンが冷えて冷却水が収縮すると、その分リザーバータンクから冷却水経路に戻る仕組みになっています。
というワケで、冷却水はリザーバータンクの中からは少しずつ蒸発して減っていきますが、かなり少量と言えます。
■目に見えて減る場合は故障!
冷却水のレベルチェックの際に、短い期間で目に見えて減っているようなら「故障」の可能性が高く、どこかから漏れているかもしれません。とはいえ前述したように冷却経路は基本的に密閉=加圧されているので、もしどこかが漏れていたら圧力がかからなくなる可能性があります。となると、水温100℃で沸騰して冷却水がどんどん蒸発したり、オーバーヒートする危険もあります。
ラジエターキャップは冷却水の経路内を適切な圧力に保つ。経年劣化するとオーバーヒートの原因になる。エンジンが冷えていない状態では絶対に開けないこと。冷間時も空気の混入などトラブルの元になるので、開けない方が良い
冷却水が目に見えて減っていたら安易に注ぎ足すことはせず、まずはバイクショップに相談することが得策です。可能性としては低いですが、冷却水を循環させるポンプやシリンダーのウォータージャケットから、エンジン内部に冷却水が漏れているような大きなトラブルを抱えているかもしれません。
ラジエターに装着されている「ラジエターキャップ」は、既定の圧力を超えると開放して破損を防ぐように作られています。しかし経年劣化によって密閉性が損なわれると圧力を保持できなくなり、冷却水が沸騰してオーバーヒートしやすくなります(ラジエターキャップは消耗部品)。
また、冷却水のレベルは適正なのに(減っていない)、水温計がドンドン上昇して赤い文字色に変わったり、警告が出たら(アナログ式の水温計の針がレッドゾーンに入ったら)、ラジエターの冷却ファンが回らなかったり、サーモスタットのバルブの動作不良などのトラブルが考えられます。
そんな時は日陰など涼しい場所にバイクを停めて、アイドリングでしばらく様子を見て、それでも水温が下がらないようならエンジンを止め、バイクショップなどに連絡して対処しましょう。
ちなみに、水温上昇や警告灯が点灯した時などに「オーバーヒートかも?」と、ラジエターキャップを開けて確認するのは、火傷の危険があるので絶対にNGです!
■専用の冷却水は、かなり長寿命
冷却水の交換サイクルは、たとえばカワサキでは「初回3年目、以降4年毎」と定めています。排気量250ccを超える小型二輪なら、新車から最初の車検で交換し、その後は車検2回に1度交換すれば良いコトになり、エンジンオイルやブレーキフルードと比べるとかなり長寿命です。
国内バイクメーカーが用意する冷却水(クーラント)。水道水で希釈して使用する。「ロングライフクーラント」の名の通り、長期間使用できる
専用の冷却水はエチレングリコールが配合され、凍結の防止や沸点を高める効果があります。またエンジンを構成するアルミや鉄など金属部品の防錆・防触効果があるので、交換や補充の際には必ず専用のクーラントを使用しましょう。
とはいえ、冷却水経路に空気が入ってしまうとオーバーヒートの原因にもなるので、やはり補充や交換作業はバイクショップに依頼することが安心と言えます
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