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国道246号沿いに城跡が!? 謎多き「丸山城」を訪れた

バイクのニュース / 2024年8月13日 13時10分

その歴史がほぼ解明されていない「丸山城」は、現在の神奈川県伊勢原市、国道246号沿いに「丸山城址公園」として整備されています。一見ただの公園で土塁などがしっかりと保存されていますが、知らなければ通り過ぎてしまう、謎多き城だったのです。

■正直、ただの公園にしか見えないが……

 現在は「丸山城址公園」として整備されている「丸山城」は、神奈川県伊勢原市下糟屋にあります。1984年、1985年の発掘調査では鎌倉時代や室町時代後半の陶器などが出土したそうです。その後2006~2008年にも発掘調査が行なわれ、地図で見ても明確な、ほぼ円形の台地で、周囲を土塁(どるい:敵の侵入を防ぐため土を盛り上げた防壁)で囲んだ城塞だったようです。

神奈川県伊勢原市の国道246号沿いにある「丸山城址公園」は、城跡の石碑などもなく、気付かずに通りすぎている人も多いはず神奈川県伊勢原市の国道246号沿いにある「丸山城址公園」は、城跡の石碑などもなく、気付かずに通りすぎている人も多いはず

 平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した粕屋左衛門尉有季(かすやさえもんのじょうありすえ)の居館の跡と考えられているため、別名「粕屋館」とも呼ばれているようです。つまりは鎌倉時代の築城であることを示しています。

 粕屋は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、壮絶な最後を演じた俳優佐藤二朗氏が演じた比企能員(ひきよしかず)と縁組をしていたため、北条氏に対する比企の反乱に加わり、その結果攻め滅ぼされたのだそうです。

 発掘調査ではこれら鎌倉時代から室町時代前半にかけてのものとは別に、室町時代後半から戦国時代にかけての時代のものも出土したと解説板には書かれています。

 室町時代後期は太田道灌(おおたどうかん)が活躍し、道灌の主君である上杉定正(うえすぎさだまさ)の城か館でもあった可能性があるようです。

公園入り口には階段が設けられている。この高さ、城攻略目線でとらえれば、堀や土塁の痕跡でもある。そんな風に考えながら登ると少し楽しい公園入り口には階段が設けられている。この高さ、城攻略目線でとらえれば、堀や土塁の痕跡でもある。そんな風に考えながら登ると少し楽しい

 1486年に道灌が相模国糟屋(伊勢原市)にあった主君、扇谷上杉定正(おうぎがやつうえすぎさだまさ)の館で謀殺され、その後、山内上杉氏と扇谷上杉氏の間に対立が起こり、戦争が勃発しました。定正と言えば、この「丸山城」の前に訪れた「七沢城」(神奈川県厚木市)にも深く関わる人物ですから、ここで繋がった感があります。

 発掘した後に埋め直されて公園に整備されていますが、その周囲には明らかな土塁が残されており、ちょっとワクワクします。上段と下段の高低差は最大で約7mあります。上段の周りに土塁が巡らされており、下段には堀が確認されたそうです。

保存されている「土塁2」はL字形に曲がっており、側面からの攻撃を可能にした「横矢掛り(よこやがかり)」という防御システムとなっている保存されている「土塁2」はL字形に曲がっており、側面からの攻撃を可能にした「横矢掛り(よこやがかり)」という防御システムとなっている

 堀の規模は西側と東側で幅約16m、深さ5m以上で、底面には仕切り(障子)状の施設も確認され、北側は幅6~9m、深さ2~3mの規模とのこと。

 そのほかにも竪穴式遺構、建物、井戸などの痕跡が見つかったようですが、一部土塁を残し、いまは公園の地面の中で静かに保存されています。

城の北側に築かれた「土塁1」は、城の出入り口である「虎口(こぐち)」を睨むよう配置されている。幅は約20mあったとされ、現在の高さは3mほど。土塁の下は水のない幅15~17mの「空堀」で、堀底から土塁上部まで10数mもあったという城の北側に築かれた「土塁1」は、城の出入り口である「虎口(こぐち)」を睨むよう配置されている。幅は約20mあったとされ、現在の高さは3mほど。土塁の下は水のない幅15~17mの「空堀」で、堀底から土塁上部まで10数mもあったという

 観光地でもなく、城跡ファンが多く訪れるようなところでもなく、クルマやバイクで気付かずに通り過ぎてしまうような城跡ですが、こういう城跡との出会いも嬉しいものです。

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