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ライダーの猛暑対策「ヘッドクーラー」はヘルメット内の冷却に転用できるか? 買って試してみた

バイクのニュース / 2024年8月15日 13時10分

もしも体温だったら発熱外来行きの異常な気温が続く中、走行風と精神力頼みのバイクの運転は耐えるしかないのでしょうか? さまざまな業界で市販されている冷却グッズの中から、ライダーの猛暑対策に役立ちそうなアイテムを試してみました。

■熱風では頭を冷やせない!

 記録的な猛暑は、信号待ちのライダーが熱中症で倒れた、という噂話を広げるほどに深刻です。走行風を受けるバイクは気温が多少高くても平気ですが、ライダーにとっては熱のこもった猛暑の熱風で、身体を冷やす効果が急激に衰えます。しかも、放熱を妨げるヘルメット、グローブ、ブーツ、プロテクターなどの安全装備は、涼しさに限定して考えると逆効果。信号待ちでも涼しい、ベンチレーションに頼らないライダーの猛暑対策を考えてみました。

試してみたのは「ヘッドクーラー」。凍結した状態は液体が白く、見た目にも冷却効果を出している(撮影=中島みなみ)試してみたのは「ヘッドクーラー」。凍結した状態は液体が白く、見た目にも冷却効果を出している(撮影=中島みなみ)

 バイクが快適と言われる理由は、走行風が身体を抜けるから。ヘルメットのベンチレーションも、この原理で頭部を冷やすわけですが、体温に近い気温の熱風では期待できません。

 そこで、ライダー向けの対策として考えられるのが、冷却材グッズを利用することです。とはいえ、歩くときと同じネッククーラーで太刀打ちができるとは思えず、頭にのせて冷やす「ヘッドクーラー」を試してみることにしました。

 本来は帽子の中に入れて、そのままかぶるとひんやり爽やかさを感じられるものです。帽子の中に入れられるなら、ヘルメットでも使えるのではないか、と考えたわけです。

 通販サイトでは「ヘッドクール」「ヘッドマット」「アイスパッド」などの商品名で出ています。冷たくなる原理は、首にひっかけるネッククーラーと同じです。

 今回試した商品は、28度以下で自然凍結し、結露しにくいので髪が濡れにくい、というところがポイントでしたが、もっとも魅かれたのは「マイナス7度の体感」というフレーズでした。これなら暑さでぼーっと判断ミスも避けられて一石二鳥です。

 巨大通販サイトで四捨五入して3000円。この種のグッズは1000円を切る価格から販売されていますが、価格と効果は比例するだろうと張り込んで、すぐにポチリました。

 この時点での唯一の心配は、ヘルメットに入らなかったら困る、ということだけでした。

■思ったより薄い。考えたら当たり前だが、その分……

 商品はポスト投函で、すぐにやってきました。最初の印象は「意外に薄い」です。箱に入った状態で1cm足らず。製品本体の厚さは5mm程度でした。交換できるヘルメットの内装材みたいな印象です。形状は花びらが開いたような状態で、頭の丸みにフィットします。厚みのせいでヘルメットがかぶれない、なんてことはありませんでした。

ヘルメットの中に装着した状態。レース用のようにシビアでなければ、自分用に調整したヘルメットでも装着はできる(撮影=中島みなみ)ヘルメットの中に装着した状態。レース用のようにシビアでなければ、自分用に調整したヘルメットでも装着はできる(撮影=中島みなみ)

 早速、冷凍庫に放り込んでみました。「28度以下で自然凍結」するのですが、期待も込めてがっちり凍結させて臨みます。効能がない状態では白色、冷やすと白く凍結した感じを連想させます。

 試してみたのは某日午前11時。手元の温度計では気温33度の晴天でした。目的地は昼飯ついでのラーメン店。テスト走行を兼ねて都心を30分ほど走るコースを設定しました。

 その結果は……ナイマス7度の体感は得られませんでした。確かにヘルメットをかぶった直後は冷たいのですが、よく考えると頭にビニール袋をのせているようなものですから、体温と熱風ですぐに温まってしまいます。私見ですが、ネッククーラーのように開放した状態の方が体感できるのかもしれません。

 効果は最大12時間持続可能とありましたが、30分後の製品は、透明な液体の中に粒氷のように白く凍結が残っている状態でした。とても効果が12時間持続するとは思えませんでしたが、冷えた店内でラーメンを食べていると、ちゃんと凍結した状態に変わっていきました。

「体感」「最大」という文字を都合よく解釈したのが、失敗だったと思います。現に、28度以下で凍結しているのですから。

 後日、帽子の中に入れて歩いてみました。その時の気温は32度の晴天。結果は、帽子を上からぎゅっと押すと、確かにヒンヤリします。20分ほど歩いたところ、たびたび押さえても、歩いている分だけ汗が噴き出て、その汗の行き場がなく、髪がぐっしょり濡れたのでした。

 ヘッドクーラーはヘルメットでも問題なく装着できますが、猛暑対策には向いていませんでした。手近な通販サイトで簡単に解決法が見つかるほど、ライダーの猛暑対策は簡単ではない、ということかもしれません。

 しかしデリバリー・ユーザーも含めて、猛暑の中でもバイクで走りたい。そこで今度は視点を変えて、通販サイトから本格的な猛暑対策グッズを探し、試してみたいと思います。

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