サスティナブルでも戦える!? チームスズキCNチャレンジの初8耐参戦結果は総合8位 モータースポーツ総合エンターテイナー 濱原颯道のレースレポート
バイクのニュース / 2024年8月15日 12時10分
国内外で活躍するモータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道選手がライダーとして参戦した、「チームスズキCNチャレンジ」での鈴鹿8耐をレポートしてくれました。
■参戦したのはエクスペリメンタルクラス
皆さんこんにちは。モータースポーツ総合エンターテイナーを勝手に名乗っている濱原颯道です。今回は鈴鹿8耐について書こうと思います。
前回僕が書いた記事の通り、今年の鈴鹿8耐にはTeam SUZUKI CN CHALLENGEから第2ライダーとして参戦しまた。
スズキが久しぶりにファクトリーチームとしてレースに復帰したTeam SUZUKIなのですが、様々なサステナブルアイテムを使用し、カーボンニュートラルに向けた開発を進めることを目指しているので、他のチームとは少しアプローチが違います。
なので、使っているアイテムのほとんどが実践テストに近く、たくさん走って多くのデータを持ち帰る必要がありました。
参加したクラスも世界耐久選手権にはEWCクラスとSSTクラスに加えてもう一つある、EXPクラス(エクスペリメンタルクラス=実験的クラス)への参戦となりました。
決勝中、FIMのカメラを積んで走りました。
EXPクラスは、世界耐久選手権の海外ラウンドでは、たまに見かける事がありました。それこそ、このバイクのニュースでコラムを書いている大久保光選手などが、海外チームからEXPクラスに参戦していたりしていたので、僕としては多少馴染みのあるカテゴリです。
名前の通り、オリジナルフレームや市販されていない物で構成されるマシンなど、実験的なクラスという位置付けなので、僕たちの様々なサステナブルアイテムを使用したマシンは、このカテゴリに割り振られました。と言っても総合順位は付くので、もちろんファクトリーチームの名に恥じない走りは、しなければなりません。
マッソン選手を見つめる濱原颯道選手
予選は生形秀之選手、僕、エティエンヌ・マッソン選手の順番で走りました。
僕たちのクラスはタイヤの使用本数制限が無く(他のチームは3人体制なら7本、2人体制なら5本)タイムを出しに行くためにバンバンタイヤを使うのも一つの方法なのですが、サスティナブルをテーマに掲げているので、他のチームと同じタイヤ数制限で勝負に挑みました。
僕は2回目の予選で、新品タイヤをワンセットのみ使用可能だった為、割とタイムをまとめられる自信があった僕は、「僕、失敗しないので」みたいな感じで予選に挑みました。
予選は誰かのスリップストリームを使えば0.4秒くらいは縮められるので、速そうな人の後ろにつこうと思いましたが、僕が割とコースインした周から飛ばしてしまい、誰も抜いてくれなかったため、結局先頭で単独アタックとなってしまいます。
しかし自分なりにプッシュしていると、ヘアピンからスプーンコーナーにかけてスロー走行をしているマシンが4台から5台おり、今でも夢に出てくるような光景でした(笑)
ですがその時は「今、怒っても仕方がない」と切り替え、そのラップは捨てて、次のラップに備えました。
タイムとしては散々で、事前テストで出したタイムよりも1秒以上遅れる結果。アタックをまとめられず、久々にかなり凹み、順位としては16位でした。しかしこれは予選。気持ちを切り替えて、その日はさっさと寝る事にしました。
■今までで一番辛かった鈴鹿8耐
決勝はスタートをマッソン選手に委ね、僕は見届けました。比較的スタートライダーをやる事が多かった僕としては、新鮮な気持ち。
マッソン選手は序盤から飛ばしてくれ、かなりいい順位でパスをしてくれたのですが、路面温度が60度近くになり、転倒者が多かった事もあり、僕自身かなり慎重になってしまいました。
しかし、これは耐久レース。焦って転んだりするよりは、とにかく確実に最初のスティントを終えようと思っていたので、周りに比べて少し遅いタイムでの周回になっても仕方ないと、自分に言い聞かせながら走りました。
チームスズキCNチャレンジのグリッド
最初のスティントを終えた段階では、「良い仕事を出来ていないかも」と思いましたが、1日で最大4スティント乗る可能性があると考えると、1本目でどれだけ体力を残しておけるか、確実にバトンを繋げるかの方が大事だとの判断。
最初のスティントの事はおおよそ覚えているのですが、2回目以降のスティントについては、走って戻ってきて少し休んでまた乗ってを繰り返していたので、順位を気にする余裕も無く、ただミスなく自分の仕事をこなそうと走り続けました。
今回の8耐は珍しく荒れた展開にならず、順位の滞りが凄かったので、正直じれったい気持ちでした。
しかし僕もマッソン選手もミスのない確実な走りをして、体力を温存していたのが功を奏したのか、残り1時間から2時間あたりで、周りのチームの転倒や体力切れ、体調不良を起こしたりなどが発生し、僕たちの順位も少しずつ上がっていきました。
ヨハン・ザルコ選手とランデブー中の濱原颯道選手
そして最終的に8位でゴールし、トップ10チェッカーという目標を達成。
今回は3人体制で挑みましたが、決勝はマッソン選手と僕の2人で走ったため、生まれて初めて4スティントを走った上に、僕が知っている8耐の中で最も暑く、かなりしんどかったです。
そしてバイクや使用しているサステナブルアイテムも、長時間走る上でどんな現象が起きるか予想ができなかったので、とにかく「ミスなく走ろう」と思っていました。
なので「攻め切れた」や「スピードを魅せられた」と言った感覚は全くありません。ですが今回でたくさんCN仕様のスズキ「GSX-R1000R」に乗れたので、次は今回よりも上手く乗れると思います。
比較的、バイクに慣れるのが早い自信はありますが、やはり普段から乗っている人たちには、一回乗ったくらいじゃ歯が立たないんだなと言う事を痛感。
長瀬智也さんも応援に駆けつけてくれました
今回のTeam SUZUKI CN CHALLENGEは、初めての試みな事が多く、周りの人にも「どれだけ走れるかわからないよ?」や、「何秒くらい出るのかも全くわからないね」などと、たくさん言われました。
ですがこれが実験的な試みであるEXPクラスの本来の姿なんじゃないかな?と思います。
結果としては2分7秒台が出るマシンで、鈴鹿8耐で総合8位になれる事が分かり、これが最初なのでここからがスタートであるとも思っています。
そう考えると、今回の成績は割と良かったのではないかな?と僕は思います。
僕が予選をミスしてトップテントライアルに残れなかったのは、本当に心残りですけど。まあ僕もリターンライダーなので(笑)
いかがでしたか?マシンの事は機密情報が多く、書いた内容としては感想文みたいな感じだったかと思いますが、お許し下さい!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
外部リンク
- スズキの8耐ファクトリーチーム「チームスズキ CN チャレンジ」 チームディレクターに直撃インタビュー 「GSX-R1000R」はまだまだ終わらない!?(後編)
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