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レトロ調宅配バイク!? そば屋の出前バイクに付いている後ろの器械は一体なに?

バイクのニュース / 2024年8月19日 9時10分

そば屋などの出前バイクには、後方に謎の器械が備え付けられています。あの器械には、具体的にどのような名称が付けられているのでしょうか。

■「マルシン出前機」という名称らしい

 アプリの普及、そして新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、デリバリーは、いまや生活に欠かせないライフインフラのひとつとなっています。

 そんな中、バイクが傾いても絶妙なバランスで荷台の水平を保つ出前用バイクを、目にしたことのある人もいるでしょう。これはそば屋の出前などでよく使われているものですが、こういった出前バイクについている器械には、どのような名称が付けられているのでしょうか。

バイクが傾いても絶妙なバランスで荷台の水平を保つ出前用バイクバイクが傾いても絶妙なバランスで荷台の水平を保つ出前用バイク

 荷台がついたカブに取り付けて使用するあの器械は「マルシン出前機」と呼ばれるもの。マルシンとは、この出前機をはじめ、業務用の調理器具を扱うメーカーの名前で、1960年代始めに登場しました。

 実は元祖はマルシンではなく、エビス製麺製作所が開発した「エビス出前機」。一軒のそば屋が考案し、生まれたと言われています。また、過去には3社ほどあった出前機を製造するメーカーは、現在はマルシン1社のみ。この昔ながらの出前機の製造を今も続けています。
 
 では、このマルシン出前機は、いったいどのような仕組みになっているのでしょうか。肝となっているのは、フレームの上部にある空気ダンパー。そして、その左右には金属バネがひとつずつあり、この空気ダンパーと金属バネがバイクの揺れや衝撃を吸収し緩和しています。

出前機は、空気ダンパーと金属バネがバイクの揺れや衝撃を吸収し緩和している出前機は、空気ダンパーと金属バネがバイクの揺れや衝撃を吸収し緩和している

 空気ダンパーから荷台が吊るされていますが、荷台はフレームに固定はされておらず、振り子のように揺れ、バイクがカーブで傾斜しても荷台は水平を保つため、荷台に積まれているそばなどのつゆもこぼれにくいという仕組みです。

 現在マルシン出前機は1型、2型、3型、5型の4種類。たとえば1型は、丼や皿をのせたお盆を4段まで重ねることができ、そば屋や一般食堂向けのスタンダードなものです。続いて2型は、寿司屋、魚店、出前桶使用のお店用に岡持桶を取り付けられるタイプ。

 そして3型は中華、レストラン、食堂用で、後付けタイプ、片付けタイプ、両付けタイプの3種類あります。なお4型は存在せず、最後は5型です。5型は1型を自転車用にコンパクトに改良されたものです。

出前機のついたバイクの操縦は、出前機のついていないバイクを操縦するのとでは勝手が違う出前機のついたバイクの操縦は、出前機のついていないバイクを操縦するのとでは勝手が違う

 ちなみに出前機のついたバイクの操縦は、出前機のついていないバイクを操縦するのとでは勝手が違います。スピードを出すのは危険とはいえ、低速すぎるとバランスが取りづらく、特にカーブ時にはふらつきやすく転倒しやすくなってしまいます。こればかりは、慣れて感覚を掴んでいくしかありません。

 ちなみにマルシン出前機ではないものの、1964年の東京オリンピックでは予備の聖火ランプを出前機に積み、それを乗用車の後席に乗せて運んだとされています。

 当時はまだ未舗装の道路が多かったため、衝撃により大切な聖火を消してしまう恐れがありました。その危険を揺れや衝撃を上手に吸収、緩和する出前機で回避したというわけです。

※ ※ ※

 そば屋などの出前で、バイクに取り付けられ、ゆらゆらと振り子のように揺れている器械の名称はマルシン出前機。出前機の正式名称は出前品運搬機ですが、過去には3社ほどあった出前機を製造するメーカーは、いまやマルシンのみ。ジャイロなどの3輪のデリバリーバイクが主流となっている現在も、変わらず現役で活躍していることからも分かるように、その優れた構造は、他にはない絶対的な安心感があります。

 なおマルシン出前機は登場から現在まで、特に大きな構造上の変化はありません。いかにシンプルで無駄がなく、優れたデザインなのかが分かります。

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