カワサキ「Z2」エンジン左下からのオイルの滴りをシャットアウト!【恒久処置編】 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.10
バイクのニュース / 2024年8月23日 7時10分
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。前回は「あくまで応急的な処置方法」としてのオイル漏れ対策とその実践を紹介しましたが、ここでは、電気系、特に「発充電トラブルを回避する」ために必要不可欠な、オルタネーターハーネスの張り替えもリポートします。
■単純修理と同時に性能回復にも注目!!
カワサキの初代空冷Zシリーズに限らず、旧車と言えばオイル漏れが気になるものです。メンテナンスがしっかり行き届いているバイクなら、オイル漏れどころか、オイル滲みすら無い車両も数多くあります。
Z1/Z2のオルタネーターは常時オイルに浸っている関係でハーネスグロメット部分からのオイル漏れが多いです。劣化したグロメットを交換するための補修部品が専門店から販売されていますが、作業を的確に行わないと再びオイル漏れが起きてしまうこともあるそうです
「当時物」という言葉にこだわり過ぎたことで「オイル漏れやオイル滲みは仕方ない」と考えてしまう旧車ファンも中にはいますが、それはちょっと違うと思います。できる限り、可能な限り、メンテナンスを行い、コンディション良く走らせてあげたいとは、旧車ファンなら誰もが思うことだと思います。その上で、オリジナル部品=当時物部品にこだわることは、素晴らしい考えだと思います。
カワサキ750RS/Z2や900スーパーフォー/Z1にも、オイル滲みや漏れが発生しやすい箇所があります。前回のリポートで触れた、発電機=オルタネーターの出力線が取り出されるグロメット周辺が、そのポイントになります。
応急処置編と題して前回は、現状のオイル滲みや漏れをシャットアウトすることに的を絞ったリポートを行いました。さらにここでは、一歩踏み込んだ「恒久対策」的な修理方法を実践リポートします。
■配線が新しくなると電気系が元気になる!!
オイル漏れ対策を実践しつつ、配線コードの劣化によって抵抗が増えて、電気を効率良く流せない部分を改善します。すると、電気系コンディションが安定作動するようになります。
ダイナモカバーを取り外すとエンジンオイルが流れ出てしまいます。そこで、自動車用ジャッキを複数利用し、さらにタイダウンベルトで車体を固定しつつバイクを右側に傾けて作業進行しました。この程度の傾けでエンジンオイルは流れ出ませんでした
特に「走る・曲がる・止まる」に注力した電装部品ばかりではなく、近年ではナビやETCなどなど、車両開発当時からすれば、想定外の装備を搭載する車両も数多くなりました。
ダイナモカバーを取り外す際には、最初にセルモーターカバーを緩めて上に浮かした状態にして、その上でドライブスプロケカバーを取り外します。こうすることで、サイドカバー内のカプラを抜き取ったときにサブハーネスをフリーにできます
発充電系は「強化」するのではなく、最低でも「本来の性能を発揮」させることから始めてみようと考えました。具体的には、配線を新品コードに張り替えることで、出力電流がスムーズに流れ、効率良く充電できるようになります。
サブハーネスをフリーにしたら、オルタネーターカバーの締め付けボルトをすべて抜き取ります。次に、プラスチックハンマーで軽く叩きながらカバーを手前に引くことで、カバーは取り外せます。マグネットローターは永久磁石式てす
交流発電機=オルタネーターの配線グロメット部は、湿式オルタネーターモデルの場合、多かれ少なかれ、ハーネスの取り出し口となるグロメット周辺には、オイル滲みやオイル漏れが発生しやすくなります。
新車当時は、柔軟なグロメットにゴム系接着剤が使われてシール性が高められていましたが、エンジン温度や経年変化によって、シール性は低下し、オイル滲みや漏れが発生しやすくなってしまいます。
幾年月と経過した純正グロメットがこの部品です。分解前はサイドスタンドでパーキングすると、翌日は間違い無くグロメット下の床にオイルが溜まりました。メーカーでもゴム系ボンドで固定していた様子ですが、もはやシール性が低下しています
さらに「毛細管現象」で、エンジンオイルがコードを伝い、配線内部に染み込んでしまうと、配線自体が大きな抵抗となってしまい、効率良く電流を流せなくなってしまいます。
ドレミコレクションから購入した交換用のサブハーネスグロメットです。この部品を利用して、自作の新品コードに交換します。オイル漏れ防止と発電出力の安定化を図る作業を進行中です。部品発売元/ドレミコレクション
ここでは、ドレミコレクションから発売されているゴム製グロメットに交換しつつ、空冷Zシリーズの後期モデルと同じように、一般のビニールチューブの配線に交換(耐熱コードの利用が最適)、グロメット部分を徹底的にシーリングしました。
オルタネーターカバーの配線取り回し空間には、高流動性でも知られるスリーボンドの1103ブラックを利用しました。エンジン内部側にはセメダインのスーパーXです。ハーネス通路は1103で完全に遮断する作戦にしました。結果は良好です
作業完了後、普段通りに走りながら数か月間経過しましたが、オイル漏れどころか、滲みの雰囲気も一切ありませんでした。仮に、手際が悪ければ(作業に失敗していたら)、1週間も走れば、グロメット周辺は滲んだエンジンオイルに浸っていたと思います。今後暫くは、この部分のオイル滲みやオイル漏れ問題に気を配らなくて良さそうです。
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