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エンジン車とは区分が違う! 電動バイクでよく聞く「定格出力」ってなに?

バイクのニュース / 2024年9月8日 9時10分

今後は電気自動車の普及が進むのと同様に、バイクのEV化も徐々に進んでいくと考えられます。しかし電動バイクに対して、「ガソリンの代わりに電気で走行するバイク」という知識しかない人も、現状では少なくないかもしれません。では、電動バイクのカタログや諸元表に記載されている「定格出力」とは何を示しているのでしょうか。

■電動バイクの「定格出力」っていったい何?

 2025年11月以降に適用される排ガス規制への対応が難しくなるため、国内メーカーは軒並み原付バイクの生産を打ち切ると表明しました。代わりに、最高出力を原付一種並みに抑えた125ccクラスの二輪車を「新基準原付」として、原付免許で運転できるようになる模様です。これにより、クルマではEVの普及が進んでいますが、今後はバイクも電動化の流れが加速していくと考えられます。

電動バイクはバッテリーとモーターで動くため、エンジンが搭載されていない電動バイクはバッテリーとモーターで動くため、エンジンが搭載されていない

 電動バイクはその名の通りバッテリーとモーターで動くため、エンジンが搭載されていません。そのため、50ccや250ccなどエンジンの排気量で区分されるのではなく、カタログなどに記載されている「定格出力」で区分が決まります。しかし、定格出力という言葉は耳にしたことがあっても、その意味をわかっている人は少ないかもしれません。

 では、電動バイクに使われている「定格出力」とは、何を示しているのでしょうか。

 ガソリン車のバイクの場合、総排気量が大きくなるほどエンジンのパワーも大きくなるのが一般的です。それにともない車体も大きくなる傾向があり、排気量が大きいほど優れた加速性能とパワフルな走りが楽しめるバイクといえるでしょう。

 一方、電動バイクの場合はエンジンを積んでいないため排気量という概念がありません。そのため、駆動モーターの「定格出力」が性能の目安となり、消費電力を表す単位の「kW(キロワット)」で表示されます。

ホンダの原付一種スクーター「EM1:e」の定格出力は0.58kW(主要諸元)ホンダの原付一種スクーター「EM1:e」の定格出力は0.58kW(主要諸元)

 現在、国内メーカーで一般向けに販売されている電動バイクは、ヤマハ「E-Vino」とホンダ「EM1:e」の2車種で、いずれも定格出力は0.58kW。この数字が何を示しているのかというと、「モーターが最も良好な特性を発揮しながら連続発生する出力」のことです。

 もっとわかりやすく言えば、モーターが安定して正常に動作しつづけるために必要な最小限の電力量をさしています。そのため電動バイクのモーターは定格出力が限界ではなく、もっと大きなパワーを出すことが可能というわけです。

 それを表すのが「最高出力」で、一時的に出せるパワーの最大値のことをいいます。しかし、最高出力で走行している状態はモーターに大きな負荷がかかるため、連続的に出力を発生させることができません。あくまで加速時などの瞬間的にパワーを引き出すときだけに使う電力です。

 ちなみに最高出力は定格出力の2倍から4倍程度が一般的で、最高出力が大きくなるほど加速がスムーズでスピードが出やすい傾向があります。なお、前述した2車種でみると、比較的新しいEM1:eの最高出力は1.7kWで、2015年登場のE-Vinoの最高出力は1.2kW。この数値だけをみれば、EM1:eのほうが高性能なモーターを積んだ電動バイクといえるでしょう。

 また、定格出力はモーターの性能を知る以外にも重要な役割があります。

 これまでのエンジン車は、50cc以下は原付、401cc以上は小型二輪などのように排気量でクラス分けされていますが、エンジンがない電動バイクは排気量で分けることができません。そこで前述のように、電動バイクはモーターの定格出力で区分されています。

エネルジカ「EGO」は、軽二輪(車検不要)ながら、AT限定大型二輪または大型二輪免許が必要エネルジカ「EGO」は、軽二輪(車検不要)ながら、AT限定大型二輪または大型二輪免許が必要

 道路運送車両法では、0.6kW以下が原付一種、0.6kW超1.0kW以下が原付二種、1.0kW超が軽二輪の3つの区分しかなく、401cc以上に相当する小型二輪のクラスがありません。つまり、電動バイクは出力がどれだけ大きくなっても軽二輪扱いになるので車検が必要ないというわけです。

 しかし、道路交通法の免許の区分では、モーターの定格出力でガソリン車と同じようにクラス分けされています。0.6kW以下が原付免許、0.6kW超1.0kW以下が小型二輪免許、1.0kW超20kW以下が普通二輪免許、20kW超が大型二輪免許の4つの区分です。

 ここでのポイントは、道路運送車両法では20kW超えの電動バイクでも軽二輪扱いですが、免許の区分では大型二輪免許になること。ガソリンバイクと電動バイクでは、この部分の制度が異なるので注意が必要です。くれぐれも定格出力が20kW超の電動バイクを普通二輪免許で運転して、無免許運転にならないように十分に気を付けてください。

※ ※ ※

 電動バイクのカタログに記載されている定格出力は、モーターが安定して動作するために必要な電力量のこと。エンジンがなく排気量が存在しない電動バイクは、定格出力によってクラス分けされています。

 クルマではEVの普及が進んでいますが、バイクの世界も将来的に電動化にシフトしていくのは確実です。電動バイクを購入する際は、モーターの性能や免許の区分にかかわる「定格出力」に注目して選ぶようにしましょう。

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