本当に必要なの? バイクの「暖機運転」ってなに
バイクのニュース / 2024年9月27日 9時10分
一昔前は当たり前とされていたバイクの「暖機運転」ですが、本当に必要なのでしょうか。
■フューエルインジェクション(FI)採用車では不要、キャブレター車は車種による
バイクを走らせる前には「暖機運転」が必要だと、聞いたことがある人もいるでしょう。 一方で、「それはひと昔前のバイクに限った話で、今時のバイクに暖機運転は必要ない」という説もあります。
暖機運転は、ニュートラルに入れた状態で数分間アイドリングをして、エンジンを温めてから走行すること。冷えて粘度の増したガソリンを温めて霧化を促したり、エンジンオイルを温めて各部へ行き渡らせることで、金属摩耗を防いだりする目的があります。
しかし、最近のバイクの取扱説明書には以前にはあった暖機運転の必要性や、やり方などの記述はありません。バイクの暖機運転は必要なのでしょうか。
暖機運転はフューエルインジェクション(FI)採用車は不要、キャブレター車は車種により必要なものもある
暖機運転はフューエルインジェクション(FI)採用車は不要、キャブレター車は車種により必要なものもあると言われています。
フューエルインジェクションとキャブレターは、エンジンに接続されている燃料供給装置の名前で、役割はどちらも同じ。
ガソリンを霧状にして空気と混ぜ合わせた混合気を作り、それをエンジンに送り込むというもので、エンジンに送り込まれた混合気が爆発、燃焼することでバイクが動く仕組みです。
分かりやすく言うと、その一連の流れをセンサーによりデジタルでおこなっているのがフューエルインジェクション、そしてアナログでおこなっているのがキャブレターです。
フューエルインジェクションは、電子制御により気温やエンジンの温度などを検知し、それに応じた適切な混合気の濃度や噴射量をコントロールします。そのため、たとえ寒冷地や冬の早朝などエンジンが冷えた状態であっても、問題なく走り出すことができます。
しかし、電気を使わないキャブレターはそうはいかず、暖機運転をしてエンジンを温める事が必要。そうしないと、冷えたガソリンの霧化がうまくいかず、エンストしてしまうこともあり、繰り返しているとエンジンの寿命を縮めてしまうことにもなるため、避けたいところです。
■暖機運転のやり方を解説
暖機運転はどのようにしておこなうのでしょうか。
暖機運転が必要なのか、また詳しいやり方や完了の目安は、キャブレター車であっても車種によって異なるため、取扱説明書を見るとよい
まず、チョークを引いてエンジンを掛けます。チョークとは、空気の通り道を狭くして混合気のガソリンの濃度を高めることができる装置のこと。これによって、エンジンの回転数を上げて、エンジンが冷えていても止まることがないようにしています。
そのあとは数十秒から長くても3分間、1000回転から1500回転でアイドリングをおこない、エンジンが温まってきたら、忘れずにチョークを元に戻して完了。
暖機運転が必要なのか、また詳しいやり方や完了の目安は、キャブレター車であっても車種によって異なるため、取扱説明書を見るとよいでしょう。
ちなみに、暖機運転の必要が無いとされるフューエルインジェクション車ですが、走り出し直後から100%のパフォーマンスを発揮できるという訳ではありません。
前述のように、暖機運転にはガソリンの霧化を促す目的のほか、エンジンオイルを温めて各部に十分に行き渡らせ、金属摩耗を防ぐ役割があります。
また、熱膨張する特性のある金属パーツは、温められた状態の時にはじめてパーツのクリアランス(隙間)が適正になるように作られています。つまり暖機運転にはエンジンを温め、それらを正常なクリアランスに戻すといった目的もあるということ。
以上のことから、フューエルインジェクション(FI)採用車であっても、数秒程度の暖機運転は必要と考えるライダーもいるようです。
暖機運転より推奨されているのが、エンジンに大きな負担を掛けないよう低速から徐々に速度を上げていくウォームアップ走行
しかし、暖機運転はメリットばかりではありません。
フューエルインジェクション採用車とキャブレター車のどちらにも言えることですが、長時間のアイドリングは、ガソリンの無駄になるだけでなく、エンジンにも負担が掛かります。
さらに環境にも良くない事に加え、特に早朝や深夜などの場合は、騒音も重大な問題です。
そこで推奨されているのが、エンジンに大きな負担を掛けないよう低速から徐々に速度を上げていくウォームアップ走行。つまり、フューエルインジェクション採用車であればエンジンを始動させてすぐ、キャブレター車であっても、数秒から10秒ほどの暖機運転をしたあとは、走り出してしまった方がよいということです。
実際、温めた方がよいとされるものは、エンジン周りだけではありません。サスペンションや、チェーン、タイヤなどのゴム部分も、冷たいままではその性能を十分に発揮することができません。
そのため、ウォームアップ走行は、ガソリンの霧化を助けたりエンジン内部にオイルを行き渡らせることのみを目的とする訳ではなく、バイク全体を温め、さらにはライダー自身のウォームアップまで兼ねられるなど、ライダーとバイクにとっていいこと尽くめという訳です。
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