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カワサキ「Z2」に搭載された4ストエンジンの大動脈「油圧測定」してみた 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.13

バイクのニュース / 2024年9月13日 7時10分

メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。4ストエンジンだからこそ、油圧コンディションは気になるものです。初代カワサキ空冷Zシリーズは、オイルポンプトラブルが少ないことでも知られていますが、測定できる機会があるときには「油圧測定」によって現状把握してみましょう。

■オイルプレッシャーゲージで実測した油圧コンディション

 4ストロークエンジンにとって、仮にエンジンオイルが血液ならば、オイルポンプは、まさに「心臓」と呼べるパーツになります。そのように表現されることが多いオイルポンプは、極めて重要なパーツです。だからといって、無意味な分解メンテナンスは必要ありません。

油圧系統の測定ツールがあると、様々なエンジンで実測値を測ることができる。ここで利用したオイルプレッシャーゲージは、カワサキ純正特殊工具としてディーラーで利用しているものです油圧系統の測定ツールがあると、様々なエンジンで実測値を測ることができる。ここで利用したオイルプレッシャーゲージは、カワサキ純正特殊工具としてディーラーで利用しているものです

 特に、初代カワサキ空冷4気筒エンジンは、油圧コントロールをしっかり行いエンジン開発が進められたようです。その証拠に、よっぽどの間違いが無い限り(エンジンオイルに不純物を混入させてしまうなどなど)、オイルポンプが故障すると言ったトラブルは聴くことがありません。それでも心配な時や現状コンディションを知りたい時には、まずは特殊工具の「オイルプレッシャーゲージ」で吐出圧力を点検してみるのが良いです。

長年に渡って使い込まれているカワサキ純正特殊工具。測定用のアダプターを交換することで、様々な機種に対応することができます。アダプターさえ準備すれば、一般市販のプレッシャーゲージも接続利用することができます長年に渡って使い込まれているカワサキ純正特殊工具。測定用のアダプターを交換することで、様々な機種に対応することができます。アダプターさえ準備すれば、一般市販のプレッシャーゲージも接続利用することができます

 ここでは、現状コンディションを知りたかったので、オイルプレッシャーデータを測定しました。カワサキの初代空冷Zシリーズは、クランクシャフトに「組み立て式」を採用しています。クランクジャーナルの軸受けやコンロッドのビッグエンドを支持するクランクピン部には、ローラーベアリングが組み込まれています。

 現代のエンジンのように、高い油圧が必要不可欠なプレーンメタル式の軸受けではありません。プレーンメタルを採用したクランクシャフトの場合は、高い吐出圧力と吐出量を維持しないと、クランクのジャーナルメタルやコンロッドメタルにオイルが行き届かなくなってしまい、焼き付きなどのトラブルに及んでしまう可能性もあります。

エンジン回転を3000rpmで保持しゲージ値を読み取ると約0.25kg/cm2程度の圧力。プレーンメタルを採用したクランクシャフトのCB750シリーズやZ650系(ゼファー750など)と比べると、かなり低い数値のように思われますが、それで正常だそうですエンジン回転を3000rpmで保持しゲージ値を読み取ると約0.25kg/cm2程度の圧力。プレーンメタルを採用したクランクシャフトのCB750シリーズやZ650系(ゼファー750など)と比べると、かなり低い数値のように思われますが、それで正常だそうです

 カワサキ純正=メーカー発行のサービスマニュアルによるプレッシャーデータは、3000rpmで0.2kg/cm2が標準値のようです。

 今回の実測では、3000rpmで0.25kg/cm2だったので、ほぼ許容範囲と言えます。仮に、著しくプレッシャーが低かったり、あるいは高かったりする時には、オイルポンプの分解点検やオイル通路汚れによる詰まりなども想定し、クリーニングが必要になります。この750RS/Z2に関しては、特に、問題無い数値データを得られました。これでひと安心です!!

 このオイルギャラリープラグへ取り付けるカスタムパーツにもオイルプレッシャーゲージがありましたが、転倒や立ちゴケ時にゲージが折れてしまい、エンジン始動するとエンジンオイルが吹き出してしまうシーンに何度か遭遇したことがありました。エンジンにとっては一大事なので、カスタムパーツの取り付け時には、十分な注意が必要です。

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