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今後はすべてのライダーの必需品になるかも!? ヒョウドウの『エアブースト』とは

バイクのニュース / 2024年9月17日 12時10分

ライダーを転倒時の衝撃から守るため、身に着けるタイプのエアバッグがいくつかのメーカーから開発・販売されています。その中から日本のライディングウエアブランド『HYOD(ヒョウドウプロダクツ)』が新たに展開する製品について、詳しく話を伺いました。

■ロードレース専用ではない

 転倒時にライダーの身体をケガから守るエアバッグウエアは、基本的にロードレース用のアイテムです。以前の私(筆者:中村友彦)を含めて、世間ではそういう認識の人が多い気がします。

静岡県浜松市に本社を構える『ヒョウドウプロダクツ』は、全国に5カ所の直営店を展開し、本社もまた「ヒョウドウプラス浜松」として一般ユーザーが気軽に訪れる直営店となっている静岡県浜松市に本社を構える『ヒョウドウプロダクツ』は、全国に5カ所の直営店を展開し、本社もまた「ヒョウドウプラス浜松」として一般ユーザーが気軽に訪れる直営店となっている

 おそらくその背景には、脱着の煩わしさや価格の高さがあるのでしょう。とはいえ、2024年3月の東京モーターサイクルショーで、ヒョウドウプロダクツが開催した『エアブースト』の発表会に参加した私は、既存のエアバッグウエアとの差異を実感し、自分の中の認識の変化を感じたのです。

 と言っても、発表会で全容を把握できたわけではありません。そこでヒョウドウプロダクツ本社を訪れ、製品企画課プロダクトマネージャーの見城行宣さんに、エアブーストの話をじっくり聞いてみることにしました。

■ストリートやオフロードにも対応

 3月の発表会で私が最も驚いたのは、トラック(サーキット)、ストリート、アドベンチャーという3つのモードが存在することでした。つまりヒョウドウのエアブーストは、ロードレースに特化した製品ではないのです。

「ロードレースのイメージが強いのは事実ですが、エアバッグウエアはストリートやオフロードでも有効な装備ですからね。ただしオフロードに関しては、エンデューロやラリー、林道ツーリングなどに対応する一方で、動きが特殊なモトクロスはエアブーストの守備範囲外になります。なお各モードのアルゴリズムには、世界中の一般ライダーに加えて、MotoGPやSBK、ダカールラリーなどに参戦するレーサーのデータも活かされています」(見城さん。以下同様)

■着心地は至ってナチュラル、違和感は皆無

 脱着に関するエアブーストのわかりやすい特徴は、バイクにケーブルやセンサーを取り付ける必要がなく、単体で機能が発揮できることと(車両から離れる際に、接続を解除したり電源をオフにする必要がない)、アウターの上に重ね着ではなく、インナーベストとして使用することです。それらに加えて、取材前にエアブーストをツーリングでテストした私にとっては、着心地が至ってナチュラルで、違和感が皆無なことも印象的でした。

テストでエアバッグを膨らませる前後比較。右が妙な表情になっているのは、瞬間的な膨張の衝撃にビックリしたからだが、実際の転倒時はそんな余裕はないだろうテストでエアバッグを膨らませる前後比較。右が妙な表情になっているのは、瞬間的な膨張の衝撃にビックリしたからだが、実際の転倒時はそんな余裕はないだろう

 もっとも、ハードシェル素材のバックボーンプロテクターに慣れていないライダーは、初着用時に多少の抵抗を感じるかもしれませんが、数時間も走れば慣れるはずです。また、ツーリングに同行した2人の友人が、私がアウターを脱ぐまでエアブーストの着用に気がつかなかったことは、この製品の(いい意味での)存在感の薄さの証明と言えるでしょう。そんなわけでエアブーストに接した私が、煩わしさを感じる機会はありませんでした。

「でも6年前に製作した最初の試作品は、評判が悪かったんです。全日本選手権に参戦しているライダーにテストをお願いしたところ、“かさばる”、“重い”、“動きづらい”などという不満が出てきて、レースでの使用を拒否されることもありました。だから以後の6年間は、どうすれば機能を損なわずに自然な着用感が実現できるのかという視点で、改良に次ぐ改良を行なってきたんです」

エアブーストの上にヒョウドウの「ウチミズジャケット」を着用したところ。キツキツ感やモコモコ感は一切ナシエアブーストの上にヒョウドウの「ウチミズジャケット」を着用したところ。キツキツ感やモコモコ感は一切ナシ

「実際の開発で我々が重視したのは、日本人の体形に適したフィット感でした。逆に言うならフィット感が良好なウエアは、あまり重さを感じないんですよ。もちろん、軽量化には相当に配慮しましたし(検知デバイスやガス発火装置であるインフレーターを含んでの重量は1.5kg)、フィット感を重視する姿勢は当社の他の製品も同じですが、エアバッグウエアは初めての挑戦ですから、完成までには当初の予定を大幅に上回る年月がかかりました」

「初期の試作品では不満の声が多かったレーシングライダーからも、最近では、“エアブーストがあるから、ケガを心配しないで自信を持って攻められる”、“エアブースト無しでは、もう思い切ったライディングは難しいかもしれない?”などという感想をいただけるようになりました。そしてそういった高評価が得られるのは、着用感が自然になったことで、誰もがエアバッグウエアの美点を実感できるようになったからだと思います」

■使用開始時の最低価格は5万6590円

 続いては価格の話で、同社が設定したリースプランを利用すれば、使用開始時の最低価格(消費税10%込み)は、エアブースト:5万4890円+検知デバイスである「In&box」の月額使用料:1700円=5万6590円です。既存のエアバッグウエアの相場を考えれば、この価格は激安と言って良いでしょう。

「リースプランを設定した理由は、エアバッグウエアに対する敷居をできるだけ低くしたかったからです。もっとも月単位の契約は、主に冬場はバイクに乗れない寒冷地を考慮した設定で、年間を通して乗るライダーは1万6900円の年単位契約の方がおトクです。また、リースプランは精密機器であるIn&boxが永久保証、万が一のトラブルが発生した場合は新品に交換になりますから、基本的に我々はリースプランをオススメしています」

■家族やパートナーにとっての安心材料

 2024年6月からエアブーストを発売するにあたって、ヒョウドウプロダクツでは、パートナーや家族がバイク乗っている1000人を対象にして、アンケート調査を行いました。そしてその結果を見た見城さんは、今まで以上にエアバッグウエアの重要性を認識したそうです。

取材に対応してくれた、ヒョウドウプロダクツの見城行宣さんは、近年はミニバイクレースに参戦中。もちろん、自身でもエアブ-ストのテストを行なっている取材に対応してくれた、ヒョウドウプロダクツの見城行宣さんは、近年はミニバイクレースに参戦中。もちろん、自身でもエアブ-ストのテストを行なっている

「質問は多岐に渡ったのですが、私が特に印象的だった回答は3つです。まず“パートナーやご家族がバイクに乗ることをどう感じますか?”という質問には、8割以上の人が“心配(とても心配:37.2%で、やや心配:46.7%)”と回答していました。そして“安全性が高いウェアを身に着けて欲しいですか?”という質問には、9割以上の回答が“思う(とても思う:47.6%で、まあまあ思う:44%)”で、“ライダー専用のエアバッグウエアがあることを知っていますか?”という質問に対して、“知っている”と回答した人の比率は56.9%だったんです」

「言ってみればエアバッグウエアは、転倒時のライダーの身体をケガから守るだけではなく、ご家族やパートナーにとっては大きな安心材料になるわけです。もっとも現時点での認知度を考えると、今後の当社としてはもっと普及に力を入れなくては……と感じています」

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