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【MotoE第8戦サンマリノ大会】初日クラッシュのM.カサデイ選手がスペアマシンを使用。その影響は?

バイクのニュース / 2024年9月18日 13時10分

2024年シーズンの『FIM Enel MotoE World Championship』最終戦、第8戦サンマリノ大会が、9月6日から7日にかけて、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行なわれました。ランキング上位3選手の模様を紹介します。

■クラッシュでスペアマシンへ乗り換えに。その影響は?

 電動バイクによって争われる『FIM Enel MotoE World Championship』(以下、MotoE)の2024年シーズンは、最終戦サンマリノ大会でエクトル・ガルソ選手がチャンピオンを獲得して幕を閉じました。

【MotoE第8戦サンマリノ大会】レース1はマッテア・カサデイ選手(#40)が優勝。惜しくも2連覇はならなかったが、ランキング2位で2024年シーズンを終えた【MotoE第8戦サンマリノ大会】レース1はマッテア・カサデイ選手(#40)が優勝。惜しくも2連覇はならなかったが、ランキング2位で2024年シーズンを終えた

 サンマリノ大会までガルソ選手とチャンピオンを争ったのは、2023年チャンピオンであるマッテア・カサデイ選手です。カサデイ選手は金曜日のプラクティス2で転倒を喫し、この影響で、マシンを乗り換えています。MotoEでは、このような状況に備え、常に5台のスペアマシンがEパドック(MotoEのチームのピットだけが集まるパドック)に保管されているのです。

 カサデイ選手自身には大きな怪我はなく、予選Q2でポールポジションを獲得し、レース1で優勝、レース2で2位を獲得し、ランキング2位でシーズンを終えています。

 レース後、カサデイ選手に話を聞きました。

「バイクがめちゃくちゃになったわけではなかったけど、ダメージが大きかったから、2レースでスペアバイクを使ったんだ。ドゥカティは素晴らしい仕事をしているよ。そのマシンは僕のバイクに非常に近いものだった。それで僕は良い週末を過ごすことができたんだ」

「では、マシンの変更はあなたのレースに影響を与えなかったのですね?」と確認すると、「うん、影響はなかったよ」ということでした。

■増えたエンジンブレーキ・マッピングは、レース展開に影響したのか?

 今季のMotoEは、供給されるワンメイクマシンがドゥカティの電動レーサー「V21L」に変更されて2年目のシーズンでした。2年目の「V21L」について大きなアップデートは行なわれていませんが、もちろん小さなアップデートはあります。そのうちのひとつが、エンジンブレーキのマッピングの選択肢です。電動バイクなので、実際には「エンジン」ブレーキではなく、スロットルを戻したときに発生する回生ブレーキのことを指しています。

カサデイ選手はプラクティス2で転倒を喫してスペアマシンに乗り換えたカサデイ選手はプラクティス2で転倒を喫してスペアマシンに乗り換えた

 エンジンブレーキのマッピングは、2023年は、3つの選択肢から1つを選ぶことしかできませんでした。しかし今季は選択肢が増え、9つからコンディションに合わせて3つを選ぶことができ、レース中にマッピングを変えることができるようになったのです。これは、ライダーのレース戦略にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?

 これもカサデイ選手に聞きました。

「僕は昨年からエンジンブレーキを変更した。ドゥカティが持ち込んだ新しいものを使ったんだ。良くなったよ」

 ただ、カサデイ選手によると、基本的にレース中にマッピングを変更することは無いそうです。MotoEは周回数が少なく、ガソリン残量が少なくなって車両重量が変わることもありません。路面コンディションが大きく変わることがなければ、変更はしないようです。

「ウエットコンディションなどのレースでは(マッピングを)変更するけど、(基本的には)しないね」

 ガルソ選手にもチャンピオン会見で同じ質問をしたところ、「シーズン中、(今年の最初から)同じバイクをキープする」と語っていたことから、ガルソ選手も同様の状況だったようです。

 なお、2025年の「V21L」には、大きな改善が予定されています。特に変わるのはバッテリーで、充電時間がさらに短くなり(現在は45分で80パーセントの充電が可能)、車両重量が5~6kgほど軽くなるということです。

■ルーキー、オスカル・グティエレス選手の活躍

 2024年のMotoEで、ルーキーにして素晴らしいパフォーマンスを見せたのが、オスカル・グティエレス選手です。

オスカル・グティエレス選手は、最高の形でシーズンを締めくくったオスカル・グティエレス選手は、最高の形でシーズンを締めくくった

 2023年はスペイン・スーパーバイク選手権を走っていましたが、負傷したライダーの代役でMotoEに2戦、参戦しました。そして今季、フル参戦しました。2023年に2戦分の経験があるといっても、MotoEはルーキーには難しい選手権です。内燃機関のバイクから電動バイクという乗り換えがあり、そして、1戦あたりの走行時間がとても短いからです。

 MotoEの週末のスケジュールは、15分間のプラクティスが2回、予選はQ1、Q2各10分間、そして2レース制のレースのトータルタイムは15分以下なのです。

 そんなわけで、グティエレス選手の今季のパフォーマンスには驚かされました。最終戦サンマリノ大会レース2の優勝を含めて3勝を挙げ、2位を3回、3位を2回、獲得しています。最終的に、ランキング3位でシーズンを終えました。

 最終戦のレース後、グティエレス選手に話を聞きました。

「今年はチームが良いパフォーマンスを発揮できるように大いに助けてくれたと思う。最高のチームだよ。僕たちはピットでいつも楽しんでいるし、素晴らしい雰囲気があるんだ。それはすごく重要なことなんだよ」

「でも昨年から、僕は自分のメンタリティー、考え方を変えたんだ。それでもっと強くなるために前進できたように思える。だからチームには感謝ばかりだよ。良いシーズンを送れたと思う。今日みたいに、優勝という最高の形でシーズンを締めくくれた」

「メンタリティーの変化というのは?」と聞くと、グティエレス選手は「僕のメンタリティーというのは、いつも自分を信じることなんだ。それが一番大事なことだと思っている。そして、チームを信用することだね」と答えました。

レース2で今季3勝目を挙げた、オスカル・グティエレス選手(#99)レース2で今季3勝目を挙げた、オスカル・グティエレス選手(#99)

 さらに「電動バイクへの適応は難しいとは思わなかったですか?」と尋ねると、「例えばチャズ・デイビスは素晴らしいライダーだけど、彼は今年、苦戦していたよね。でも、僕はそこまで大変ではなかったよ」と語っています。

「すぐに自分のライディングスタイルをバイクに適応できた。このバイクを最大限に活用する方法をたくさん学んだし、最終的には良いシーズンになったよ」

 グティエレス選手は電動バイクへの適応に大いに苦戦したわけではないようで、にっこりと笑いながらそう答えていました。高い適応力を示したと言えます。まだ来季についての発表はされていませんが、来季もMotoEへの参戦を期待したいライダーです。

■FIM Enel MotoE World Championshipとは

 2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップ。2019年から2022年まではWorld Cup(ワールドカップ)として開催されていたが、2023年よりWorld Championship(世界選手権)となった。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催され、各土曜日に2レース開催で全8戦16レースが行なわれる。バイクはドゥカティ「V21L」のワンメイクで、タイヤはミシュラン。9チーム18名のライダーが参戦している。

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