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最初に「XL」を名乗ったオン/オフモデル ホンダ「XL250」に見るメカニズムの進歩

バイクのニュース / 2024年9月23日 19時40分

1975年に登場したホンダ「XL250」は、凸凹の荒れた道でもトレールライディングが楽しめるオン/オフモデルです。SOHC4バルブエンジンと現代的に進歩したセミダブルクレードルフレームを装備しています。

■オンでもオフでも、初心者からエキスパートまで楽しめる二刀流

 ホンダの最初のオフロードバイクは、1962年に発売された「ドリームCL72スクランブラー」です。エンジンは排気量247ccの4ストローク2気筒で、車体は専用設計ながら全体的にはロード車をベースに悪路走行に配慮したものでした。

1975年に発売されたホンダ「XL250」は、国内で「XL」を最初に名乗ったモデル。現在にも通じるオフロードバイクの車体へと進化した1975年に発売されたホンダ「XL250」は、国内で「XL」を最初に名乗ったモデル。現在にも通じるオフロードバイクの車体へと進化した

 先鋭化していた2ストローク車に比べると、舗装路も悪路も快適に走れるタフな旅バイクという雰囲気です(現在ではそこが魅力というファンも多い)。

 10年後の1972年にはホンダ初のオン/オフロード車として専用設計された「SL250S」がデビューします。「SL250S」はSOHC4バルブの新型単気筒エンジンを採用しましたが、車体の方はまだまだ進化の途中でした。

 当時はオフロード車の進化が著しい時代で、ホンダは2ストロークエンジンでモトクロスバイクの開発に着手し、1973年には「エルシノアMT250」を発売します。

 本格的なオフロード専用車の設計ノウハウを手にしたホンダは、1975年に一段とオフロード走行性能を向上させた「XL250」を発売します。

 少し紛らわしいのは、前型の「SL250S」が「XL250」という車名で輸出されており、現在のホンダ「XL750トランザルプ」へつながる「XL」シリーズの名称はそこから始まっています。

当時のオフロード車はスピードメーターとタコメーターの二眼式がポピュラーだった。ブルーの文字盤に8000rpmからのレッドゾーンが映える当時のオフロード車はスピードメーターとタコメーターの二眼式がポピュラーだった。ブルーの文字盤に8000rpmからのレッドゾーンが映える

 さて、国内版の「XL250」は、「SL250S」のSOHC4バルブエンジンをベースに、シリンダーヘッドなどを新設計しています。

 インレットポートをシリンダーヘッドの中央に設置し、2本の吸気バルブに対して混合気がスムーズに流れるようになりました。これより燃焼効率は向上し、低回転では扱いやすく、高回転では伸びのあるエンジンとなりました。

 またバイクでは初となるエアチャンバーをシート下に設けています。容量の大きな湿式ウレタン入りエアクリーナーとともに吸入効率を上げ、オフロード走行時に必要な、シャープなレスポンスと燃費向上を両立し、さらに発進加速時に発生しがちな息つき現象を防止しています。

 エキゾーストパイプは現代的なフレーム中通しタイプとなりました。「SL250S」ではライダーの膝部分にあったマフラーは、2本のリアサスペンションを挟むオムスビ形と筒形の2分割となり、パワーを損なうことなくスリムな車体を構成しています。

 一方、フレームのメインパイプは「SL250S」のバックボーン形状から、燃料タンク内側で左右へ別れてスイングアームピボットを外から挟む構造に変更されました。この「エルシノアMT250」と同タイプの新型のセミダブルクレードルは高剛性かつ軽量で、現代のオフロードバイクに近いフレーム形状です。

 フレーム形状の変更に伴い、エキゾーストパイプの中通しやキャブレターを車体中央部分に配置することができました。これらはスリムで乗りやすいライディングポジションにも寄与します。

「SL250S」(1972年)では向かって左側にキャブレター、右側にマフラーが張り出していたが、「XL250」ではどちらもフレーム内に収まっている「SL250S」(1972年)では向かって左側にキャブレター、右側にマフラーが張り出していたが、「XL250」ではどちらもフレーム内に収まっている

 サスペンションストロークはフロントが181mm、リアが105mmと長めです。これにより最低地上高は245mmが確保されています。

 バネ下重量軽減も考慮されており、現在のオフロード車同様にアルミリムを採用し、悪路での走破性が向上しています。

 フロントフェンダーはシリンダーヘッドへの冷却風が通りやすい、タイヤに沿ったダウンタイプとなっています。オプションでアップフェンダーも選べました。

 オフロード走行への機能的配慮は細部にも及び、エンジンが水面下に浸かってもエンジンブリーザー室に水が侵入しにくい、新しいブリーザー機構を採用しています。

 こうしてオフロード車としての性能を高めながら、舗装路での快適さも同時に向上させた「XL250」は、4ストロークのオン/オフ車ならではのユーザーフレンドリーなキャラクターとなりました。

リアショックの前方のオムスビ形と、後方の筒形の分離式マフラーを採用。消音とパワーの両立、良好なライディングポジションの確保に寄与しているリアショックの前方のオムスビ形と、後方の筒形の分離式マフラーを採用。消音とパワーの両立、良好なライディングポジションの確保に寄与している

「XL」シリーズは、その後「XL250S」や「XL250R」、「XLR250」と大ヒットを重ね、林道ツーリングブームの主役となっていきます。

 ホンダ「XL250」(1975年)の当時の販売価格は25万8000円です。

■ホンダ「XL250」(1975年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
総排気量:248cc
最高出力:20PS/8000rpm
最大トルク:19kg-m/6500rpm
全長×全幅×全高:2175×880×1130mm
始動方式:キック式
車両重量:148kg
燃料タンク容量:9.5L
フレーム形式:セミダブルクレードル式
タイヤサイズ(F):3.00 21-4PR
タイヤサイズ(R):4.00 18-4PR

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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