開発者にキャンプ好きがいたに違いない! マツダ「ボンゴフレンディ」とは
バイクのニュース / 2024年9月22日 18時10分
モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」連載第29回目は、マツダ「ボンゴフレンディ」を解説します。「ボンゴフレンディ」が今発売されていたらと考えると、人気車種になっていたでしょう。
■不器用だけど、遊び心に溢れたマツダが憎めない理由とは
マツダといえばロータリーエンジンがイメージされます。上下に動くピストンを動力源とするレシプロエンジンに対してロータリーエンジンはおむすび型のローターが繭型のハウジングの中を円運動することによって出力を発揮します。円運動をそのままタイヤの円運動に置き換えるわけですから、上下運動よりも効率が良さそうですが、現在ロータリーエンジンを手掛けるのはマツダのみです。
マツダといえばロータリーエンジンの印象が強い
マツダが誇るロードスターも、稀有な存在ですね。モデルチェンジごとに排気量を増やしていくのが一般的な手法なのに、ロードスターは排気量を下げてしまうなだから驚きです。
マツダという自動車メーカーはとても個性的なメーカーですよね。けして巨大な自動車メーカーではないのに、ロータリーエンジンの火を絶やさずに灯し続けてきているし、販売も経営も安定していないのにしぶとく生き残っている。それでいて、ときより忘れた頃に大ヒットをかっ飛ばす。そんなマツダが憎めないのですよね。
オートフリートップを採用したマツダ「ボンゴフレンディ」(写真提供:Mクラフト)
「ボンゴフレンディ」をデビューさせたときには腰を抜かしかけました。これまでマツダは数々の強烈個性モデルを生み出してきましたが、ここまでやるかと空いた口が塞がりませんでしたね。
だって、セミキャブオーバーのボンゴのルーフをバッサリと切り抜いて、キャンプのためのポップアップ式テントにしてしまったのですから…。その名は「オートフリートップ」電動で開閉するのです。
ヒンジは後端にあります。前部を高々と持ち上げると、大人2名が横になれるスペースが現れる。床は柔らかいクッションが敷いてあり、テントには虫除けの網も備わっています。キャンピオングカーというほど大袈裟ではないけれど、簡易テントでは落ち着かない・・という絶妙なゾーンに存在意義がありました。
テントには虫除けの網も備わっていた(写真提供:Mクラフト
全長は4585mm、全幅は1690mmですから、5ナンバー枠になりそうですが、オートフリートップ化したことで全高が2090mmになってしまった。2メートル超えたことで、サイズだけでも3ナンバー枠になってしまっていましたね。
初期モデルでは、3列目を改良して簡易的なギャレーを設置していたといいますから、メーカー純正キャンピングカーと言っていいでしょう。本来こういったキャンピングカーは専業の業者が改造するものですが、マツダが自ら手掛けたのですから驚きです。
今ボンゴフレンディを復活させたら、ふたたび大ブームになりそうです(写真提供:Mクラフト
仮にコロナ禍が残したいいことがあるとするならば、アウトドアをススメたことでしょうか。三密を避けるために、部屋に困らず自然の中で遊ぶことを推奨した。それがきっかけだったのか、キャンプブームでもあります。今ボンゴフレンディを復活させたら、ふたたび大ブームになりそうですよね。
僕はこのモデルを思い出すたびに、マツダ車内の開発会議の様子を想像してしまうのです。
「ブチョー、屋根にテントをつけようと思います」
「キミ、それはメーカーがやることなのかね」
「ブチョー、でもあったら楽しいかと・・・」
「それはキミの趣味じゃないのか?」
「ええ、あの、その・・・」
メンバーの中におそらく、キャンプ好きがいたに違いないと想像してしまうのです。
なんだか楽しいメーカーですよね。ちょっと不器用だけど、遊び心に溢れたマツダが憎めない。それをボンゴフレンディが象徴しています。
◾️マツダ「ボンゴフレンディ RF-V オートフリートップ」
<エンジン>
形式:WL-T
トランスミッション:4速AT
種類:水冷直列4気筒OHC12バルブICターボ
使用燃料:軽油
総排気量(cc):2499
圧縮比:–
最高出力(ps/rpm):125 (92kW)/4000
最大トルク(kg-m//rpm):30.0 (294.2N・m)/2000
燃料供給装置:分配式燃料噴射式(過給機付)
燃料タンク容量(リットル):65
<寸法・定員>
全長(mm):4585
全幅(mm):1690
全高(mm):2090
車両重量(kg):1840
乗車定員(名):8
※ ※ ※
マツダ「ボンゴフレンディ」が発売された1995年、ホンダから個性的な原付カスタムスポーツバイク「ホンダ マグナフィフティ」が発売されました。
ホンダ「ホンダ マグナフィフティ」
50ccとは思えない圧巻のスタイリングは、軽二輪の「Vツインマグナ」のスタイルを継承し、ロング&ローのライディング・ポジションや、各部の作り込みによる造形美とあいまって、存在感あふれる本格的なモデルでした。
「ホンダ マグナフィフティ」の販売価格(税抜)は、当時29万9000円でした。
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