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スクリーンの中でも躍動していた! トヨタ「セリカGT-FOUR」とは

バイクのニュース / 2024年9月29日 17時10分

モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」がスタート! 連載第30回目は、1986年からWRCに本格参戦を果たした「セリカGT-FOUR」は、淡い青春を思い出させる映画にも登場するなど発売当時の注目度を踏まえ解説します。

■トヨタ「セリカGT-FOUR」とは

「私をスキーに連れてって」

 いま50歳から70歳の御仁にとって、これほど淡い青春を思い出させる映画も少ないでしょう。

 この映画が封切りになった1987 年、飛ぶ鳥を落とす勢いだった映画製作会社ホイチョイプロダクションが放った空前のヒット作なのです。

 主演は人気絶頂の美人女優・原田知世。トレンディ俳優だった三上博史との青春ラブストーリーだ。ステージは志賀高原。これが一大スキーブームを巻き起こし、多くの若者をゲレンデに集めたのです。

トヨタ「セリカGT-FOUR」は、映画の中でも注目を浴びた(写真提供:ミハラ自動車)トヨタ「セリカGT-FOUR」は、映画の中でも注目を浴びた(写真提供:ミハラ自動車)

 そこに登場したのが「セリカGT-FOUR」でした。高橋ひとみと原田貴和子が、凍った路面を触ってニヤッとする。バックミラーに吊るしてあるストップウォッチを合図に雪道を激走するのだ。

 激しいドリフトを繰り広げます。ゲレンデを滑降するシーンもあります。渋滞で並ぶ車列を空中ジャンプして飛び越える場面もあります。少々コメディタッチではありましたが、セリカGT-FOURが躍動艦を伴ってスクリーンをキラキラさせていましたね。感情移入してセリカGT-FOURに憧れたクルマ好きも少なくないでしょう。

 セリカGT-FOURは、セリカ史上初のFFベースモデルです。これまでスペシャリティカーとして人気だったセリカですが、4代目のST164型になってエンジンをフロントに横置きに搭載、FF駆動を基本としたのです。それを無理矢理4WDにしたのがセリカGT-FOURST ST165型です。その基本設計に否定的な思いを抱いてもいました。走りの基本形はFRにあると信じていたからです。

セリカGT-FOURは、WRC世界ラリー選手権でも活躍したセリカGT-FOURは、WRC世界ラリー選手権でも活躍した

 もっともセリカGT-FOURは、WRC世界ラリー選手権で大活躍することになります。搭載するエンジンは直列4気筒2リッターターボで、最高出力は185psを絞り出しています。驚くほどのターボパワーなわけです。その速さが、FFであることのネガティブな意見を封印しました。しかも、映画が大ヒットします。瞬く間に、人気モデルへと成長したのです。

 実はデビュー当初は、その「流面型」と呼ばれるボディスタイルが奇異だと評価されていました。凹凸を限りなく抑えたフォルムは、近未来を想像させる宇宙船のような印象だったのです。それをにわかに受け入れるほど世間は美的センスが優れていなかったのです。

ピラーを隠すようなキャノピー風なスタイルは次第に新鮮に映った(写真提供:ミハラ自動車)ピラーを隠すようなキャノピー風なスタイルは次第に新鮮に映った(写真提供:ミハラ自動車)

 ただ、ピラーを隠すようなキャノピー風なスタイルは次第に新鮮に映っていきました。フロントグリルをブラックアウトするなど、斬新な処理が評価し始めたのです。そこに追い打ちをかけたのがWRCでの活躍であり、映画の大ヒットというわけです。

「私をスキーに連れてって」封切り当時、僕も青春真っ只中でしたから、志賀高原や万座高原など、映画の舞台となったスキーゲレンデに通った記憶があります。残念ながらセリカGT-FOURを手にできるほど裕福ではありませんでした。それだけにセリカGT-FOURに強く憧れたものです。

 いまでもセリカGT-FOURを目にすると、その流面型のボディパネルに、ゲレンデを滑降する原田知世と三上博史が映って見えるようです。

◾️トヨタ「セリカ2000GT-FOUR」
<エンジン>
形式:3S-GTE
種類:直列4気筒DOHC16バルブ・ターボ
使用燃料:無鉛ガソリン
総排気量(cc):1998
圧縮比:8.5
最高出力(ps/r.p.m):ネット185/6000
最大トルク(lg-m//r.p.m):24.5/5000
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量(リットル):60
<寸法・定員>
全長(mm):4365
全幅(mm):1690
全高(mm):1295
ホイールベース(mm):2525
最低地上高(mm):160
乗車定員(名):5

※ ※ ※

 1986年には、レーサーレプリカブームの中心的な車種となる250ccクラスの2サイクルスーパースポーツモデル「NSR250R」がホンダから発売されました。

ホンダの2サイクルスーパースポーツモデル「NSR250R」ホンダの2サイクルスーパースポーツモデル「NSR250R」

 NSR250Rは、1985、1986年度と2年連続で、ロードレース世界GP250のメーカーチャンピオンを獲得したレーサー「ホンダNSR250」で得た高度な最新技術の数々を投入したモデルです。車体は、スリムなエンジン幅を活かし、エンジン自体もフレームの一部とした設計したホンダ独自の「目の字」断面構造をもつアルミフレームを採用しています。

「NSR250R」の当時の販売価格は55万9000円でした。

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