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不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!いよいよ公道復帰に向けてナンバー登録を行います【vol.16】

バイクのニュース / 2024年10月24日 10時10分

老舗内燃機屋「井上ボーリング」で、年間700台ものヘッド再生を行うベテランヘッド技師が、不動車となったホンダ「ベンリイC92」の再生とモディファイを行う連載。第16回目は、フロントブレーキに装備されていないブレーキスイッチを追加した上で、軽2輪登録を行います。

■フロントブレーキスイッチが付いていないベンリイC92

 エンジン始動後の電装確認で気が付いた、ブレーキランプ問題。リアブレーキはペダルを踏めば点灯するのですが、フロントブレーキはレバーを握っても点灯しません。

 ブレーキスイッチの不良かな?ブレーキスイッチなんてあったかな?と思いながら配線図で確認すると、元々リアブレーキにしかブレーキスイッチが存在しない事が判明。

 元々ブレーキの利き自体良くないので、前後同時にブレーキを掛ける事にはなりますが、停止後にブレーキランプを点灯させ続けるには、右足をペダルから降ろす事ができない仕様です。そうなると不便な上に危険なので、ブレーキスイッチを追加することにします。

 ちなみにホンダ「DAX」や「シャリー」等、古いホンダの原付ではブレーキワイヤーの途中にスイッチを割り込ませる形で装備されていました。

 現代の市販車ではブレーキレバーの付け根にスイッチを装備するのが通常となっていますが、この方式に落ち着くまでには試行錯誤があったようです。

 ベンリイC92は配線がハンドルパイプの中を通るスイッチボックスとブレーキレバーは、ホルダーが別体でレバーも長く、クランプ式のウィンカーと共に造形にこだわりを感じるデザインとなっている為、このデザインはあまり変えたくありません。

ホンダ「ベンリイC92」のウィンカースイッチは上が右・下が左で、スライド式スロットルワイヤー引きも操作性が悪いホンダ「ベンリイC92」のウィンカースイッチは上が右・下が左で、スライド式スロットルワイヤー引きも操作性が悪い

 そうは言っても上下に操作するウィンカースイッチや、右グリップ内に仕込まれたスロットルワイヤー引き等、使いづらい部分は既に変更済みで、実用と見た目に関しては個人的なさじ加減で折り合いをつけています。

 ホンダ車でドラム式ブレーキ且つ、ホルダー部が独立していてブレーキスイッチ付きという、都合のいい車種があったかな?と思いつつネット検索してみると、キタコのモンキー用ブレーキレバーが見つかりました。

 ハイスロに変えた車両向けの改造部品でパワーレバー型の短いレバーですが、ホルダー部はベンリイC92純正とミラー取り付け穴の位置まで同じで、ブレーキスイッチが付いています。

 もしかしてベンリイC92のレバーがそのまま付くかも?と期待しつつ、価格も手頃だったので早速購入してみました。

購入したキタコ製ホルダーは幸運にもホンダ「ベンリイC92」純正と位置関係が全く同じ購入したキタコ製ホルダーは幸運にもホンダ「ベンリイC92」純正と位置関係が全く同じ

 これが何と大正解で、ブレーキスイッチ取り付け部以外はベンリイC92のレバーホルダーと同形状など、期待通りの製品でした。

 バックミラーの取り付けネジがM8のところM10になっていましたが、M8ヘリサートコイルを入れるだけでOKと言うミラクルぶりで違和感を感じない収まりは嬉しい限りです。

ブレーキスイッチの配線はハンドルパイプ内を通さずメインハーネスとは別の線を引き直しリアブレーキスイッチに共締めするだけという手抜き工事で無事に取り付け完了しました。

■公道復帰に向けてナンバー登録

 ベンリイC92は元々125㏄の原付2種ですが、150㏄にボアアップした為、軽2輪車としてナンバー登録を行います。

 この場合の登録手続きについてネットで検索すると、先人達の経験談が幾つも出ているのでそれらを読ませて頂くと、「車両種別変更申請書」、「改造概要説明書」、「仕様変更に係る誓約書」の3点の書類を作成し、車両全景とボアアップした事が分かる写真、車体番号とエンジン番号の石刷りを用意する必要があるとの事。

 これらを「廃車証明書」と「譲渡証」と共に陸運支局へ持って行き、自賠責に加入してから陸運支局の窓口で手続きをすれば、即日ナンバー交付となります。

軽2輪車としてナンバー登録する為に必要な書類3点を作成軽2輪車としてナンバー登録する為に必要な書類3点を作成

 書類の作り方も詳しく説明してくれているのでその通りに作成すればOKですが、車体番号の周辺は錆で凸凹な為、上手く石刷りがとれなかったので、エンジン番号と共に写真で代用しようと考えました。

 平日に会社を休んで手続きに行かなければならないので、これで問題があると休みが無駄になってしまいます。

 電話で陸運支局に問い合わせようとしましたがなかなか繋がらず、5回に一回くらいでようやく繋がっても、熊谷の窓口担当への取次で更に待っても繋がらず、暫く経ってからかけ直してくれとのやりとりを、2日にわたり3回くらい繰り返して、時間ばかりかかってまったく進展しない状況に、なんだかバカバカしくなって諦めました。

 ちょうど会社の創立記念日で平日休暇が近かったので、この日に向けて書類と写真を準備。車体番号については念の為、ほぼ読めない石刷りと写真の両方を持っていざ熊谷の陸運支局へ。

 まずは検査登録事務所の窓口担当者に持って来た書類一式を渡してチェックしてもらい、新たに配布された「新規届出書」、「軽自動車届出済証申請書」の2枚を記入した上で自賠責保険に加入して来るように指示され、次は自動車税事務所で重量税を支払って、納付書を受け取り、それらと共に再度書類を提出して「軽自動車届出済証」を受け取ります。ちなみに石刷りは不要でした。

 その後は自動車税事務所で「軽自動車税申告書」を提出後、ようやくナンバーが交付されました。

無事に軽2輪車としてナンバーを取得無事に軽2輪車としてナンバーを取得

 手続きは、あまり混んでいなかったので1時間程で終了しました。これでようやく、公道走行が可能になります。

 次回は試走チェックとキャブセッティングを行います。

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