かつてライダーハウスとして活用されていた客車の今。北海道の『振内鉄道記念館』を訪ねた
バイクのニュース / 2024年10月14日 15時10分
北海道の開拓の歴史と共に歩んだ蒸気機関車の姿や、大正から昭和にかけて開通し、通勤・通学や木材など貨物輸送で活躍していた国鉄の歴史を知ることができる『振内(ふれない)鉄道記念館』をバイクで訪れました。
■開拓の歴史と鉄道の発展に、かつてのライダーハウスまで
北海道の沙羅郡平取町振内町(さるぐんびらとりちょうふれないちょう)にある『振内鉄道記念館』をバイクで訪れました。ここはかつて、振内駅構内跡に保存されている客車がライダーハウスとして活用され、宿泊が可能だったところです。コロナの影響で記念館は閉鎖され、その後修繕作業などを経て再開されましたが、客車の扉は閉鎖されたままで、外から眺めるだけにとどまりました。
かつて「振内駅」だった場所は記念館に。広い駐車場があるのでクルマやバイクを停めて見学可能。「SLの王者」として全国的に活躍した蒸気機関車「D-51」が展示されている。公衆トイレも設置されていた
過去の写真と比較しても外装の塗装の剥がれや錆などが目立つ現在、なかなか修繕が難しいのかもしれませんが、風情はたっぷりです。客室内に入ってみたい気持ちもありましたが、宿泊目的ではなかったので、その姿を見られただけでも満足です。また、旧ソビエト連邦(樺太)向け輸出車の蒸気機関車「D51」の実車も見ることができました。
この鉄道記念館は、平日のみ9時~16時に開館しています。館内は無料で見学が可能で、古い鉄道用具などが展示され、旧国鉄富内線の歴史を知ることができます。
まずは解説板に書かれた北海道の鉄道の歴史を読みます。それによると、明治13年(1880年)にできた鉄道が原点で、北海道開拓使が開発した、幌内炭鉱の石炭輸送を主な目的として建設された幌内鉄道が起源だそうです。
かつてライダーハウスとして活用されていた客車「スハ45-37」「スハフ42-519」。ライダーハウスとしての復帰の目処は立っていないとのこと
米国人クロフォードの指導の元で開通した当時は米国製の車両が使用されていたそうです。明治39年(1906年)に鉄道国有法が制定され、民間鉄道は国有化。大正末期には北海道の幹線鉄道がほぼ完成されたそうです。北海道の開拓の歴史と、鉄道の発展が深い関係にあることを知りました。
振内駅は富内線(とみうちせん)の駅のひとつで、富内線は大正11年(1922年)に北海道鉱業鉄道の経営で鵜川~旭岡間で開通します。翌12年に富内まで延長され、昭和18年(1943年)に国鉄へ移管。鵜川~富内を結ぶ線となりました。
途中区間の難工事を経て、昭和33年(1958年)に振内まで開通し、平取で国鉄開業を祝う祝典が盛大に開催されたそうです。さらに翌年には日高まで開通し、全長82.5km、15の駅を結ぶ富内線が開通しました。
館内は小スペースながら歴史を感じさせる展示物を見学することができた。2階は立ち入り禁止
その後の国鉄の歴史は多くの人が知るところではありますが、全国的な赤字対策のため昭和55年(1980年)に国鉄再建法が公布され、昭和61年(1986年)10月31日に廃止されたのでした。
通勤・通学で地元の人に利用されたほか、開設当初は木材の貨物輸送にも貢献した富内線ですが、1970年代以降は貨物輸送が減り、その後衰退していったそうです。
1986年10月31日限りで廃線となった富内線の写真が展示されていた。赤字経営として全国ワースト5位だったとを当時のTV報道番組で伝えていたが、その歴史をパネルで振り返ることができる
奇しくも今回の旅では平取町から北部の日高町までの道路を何度も利用しましたが、かつてこのエリアに鉄道が敷かれていたことを記念館に訪れることで初めて知ることができました。
物資輸送を鉄道に頼らなくなって以降、とくに北海道は廃線、廃駅が多いことでも知られています。消えゆく鉄路の記憶を残しているこの記念館のような施設は、これからも存続して欲しいものだと思いました。
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