理不尽な世界で、彼は何を思い、何を願ったのか『若き見知らぬ者たち』

『佐々木、イン、マイマイン』（2020年）で、若者から圧倒的な支持を得て、各界の著名人からも大絶賛され、新人賞を総なめした内山拓也監督の商業長編デビュー作『若き見知らぬ者たち』が、2024年10月11日（金）より全国公開中です。

■名もなき者たちの魂の叫び

　2020年に『佐々木、イン、マイマイン』で、若者から圧倒的な支持を得て、各界の著名人からも大絶賛され、新人賞を総なめした内山拓也監督の商業長編デビュー作が、『若き見知らぬ者たち』です。

　風間彩人（磯村勇斗）は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母、麻美（霧島れいか）の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いています。彩人の弟・壮平（福山翔大）も同居し、同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れています。

　息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人の日向（岸井ゆきの）との小さな幸せを掴みたいと考えています。しかし、彩人の親友の大和（染谷将太）の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常はもろくも奪われてしまい……。

　2020年代の幕開けを予感させた『佐々木、イン、マイマイン』に刻み込まれた、将来に希望を持てない閉塞感の中で煮詰まった自意識が爆発するパッションやマインドは本作にも受け継がれ、一人の青年が、自分の中にある“最後の砦”と向き合う生き様がこれでもかと苛烈に描かれ、内山拓也監督が身近な見聞にインスパイアされた自身のオリジナル脚本による、今を生きるすべての人たちに送る物語です。

　また本作はフランス・韓国・香港・日本の共同制作作品でもあり、企画の段階で海外3つの国と地域での配給が決定。ポストプロダクションの最後の工程、音仕上げ（サウンド・ミックス）はフランスで行われ、内山監督も現地に出向き、文字通り日仏チームの共同作業となっています。

ホンダ「CRF250X（2011）」

　磯村勇斗といえば、『仮面ライダーゴースト』（2015年）への出演で注目を集めた若手実力派。残念ながら『ゴースト』で演じた仮面ライダーネクロムに専用バイクはなかったのですが、主人公のゴーストはホンダ「CRF250X」をベースにしたマシンゴーストライカーに乗っていました。

『若き見知らぬ者たち』は、2024年10月11日（金）より新宿ピカデリーほか全国公開中です。