カワサキ「Z2」の「旧車らしい雰囲気」を楽しみたいとは思いますが……作業はいよいよ本格的な化粧直し=フルレストアに突入! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.17
バイクのニュース / 2024年10月18日 7時10分
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキ「Z1/Z2」シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。仮に、長年に渡って保管状況が良く、だれが見ても「こりゃキレイですね!!」と声を掛けられるような車両なら、一品一品、部品を磨いて、当時の雰囲気、旧車らしい雰囲気を残した仕上がりにしてみたいとは思います。しかし、程度が良いとは言え、見た目の雰囲気が今ひとつの個体が我が750RS/Z2-A後期モデル。そのため、フルレストアにチャレンジしてみたいと当初から考えていました。いよいよ始めます!!
■いよいよフルレストアの領域へ作業は進行
「バイクは美しくありたいもの」そんな考えを持つ自分にとって、決して輝いていなかったこのZ2は、どうにも「サビシイ雰囲気に包まれているように見えて」仕方がありませんでした。先行で仕上げた外装パーツのペイントが美しいので、フレームや足周りを含めたその他の部分が、目立ってしまいます。
バイクの美しさは輝きのあるフレームペイントコンデイションに左右されるものだと常々思っていますが、そんな想いとこの750RS/Z2-A後期モデルの現状は、かなりかけ離れたものでした。そこで、「納得のいく化粧直し」をしてあげたいと考えました
かと言っても、購入当初のサビシイ外装パーツのままでは、明らかにみすぼらしく、恥ずかしい印象……。そんな想いを抱きながら「延命治療」を推し進めてきた自分ですが、750ccエンジンに関しては、現状最善と言えるコンディションになりました。車体に関しても、アンバランスな艶加減であること以外には、何ら不満は無い状況です。つまり、写真で見る以上にフレームやスイングアームにはツヤが無く、いたるところにサビが浮き始めているコンディションなのです。
外装ペイントは750RS/Z2-A後期モデルの青玉虫カラーに仕上げたことで、一見ではそれなりのコンディションに見えますが、フレーム骨格やエンジンが美しくないと、せっかく美しい外装の仕上がりが栄えないのも事実だと思います
そんなアンバランスさが、目下最大の不満点になります。それを解決するには「決断あるのみ!!」な状況となりました。そうです、いよいよ一般的な整備領域から、すべてを仕上げるフルレストアの領域へと作業を前進させます。その決断の時がやってきました。
「カワサキ師匠」の工房へ750RS/Z2-A後期モデルを持ち込み、事情を説明しました。おもに業者向けにカワサキ車のレストア仕上げを生業としている師匠から見ても「トラブル無くちゃんと走るようになっても、この仕上がりのままでは、満足できるはずが無いよね~」とご理解を頂きました。
長年お付き合いしてきて、これまでに500SSマッハIIIや750SS/H2のフルレストア作業時に、様々なメンテナンスノウハウやフルレストアノウハウを教えて下さったのが、カワサキ師匠でした。
初代空冷Zシリーズにまつわる様々なノウハウを伺いつつ、メインフレームや足周り部品+小物部品類の、いわゆる「黒もの部品」を、完全分解することから始めました。それらの黒もの部品を仕上げない限り、フルレストア車は美しく見えないのです。
■「900Z1」クランク仕様で986ccを目指します
エンジンに関しては、このタイミングでフルオーバーホールと、ちょっとしたエンジンチューニングを実践しようと思います。以前にもリポートしましたが、「ナナハンのZ2は明らかに力不足」でした。
エンジンハンガーをすべて取り外した後にエンジンを降ろしますが、この際に、グリップ付きの棒=+ドライバーを差し込むことで、重いエンジンでもスムーズに持ち上げ、降ろすことができるようになります
極端にパワーアップしたいなどとは思いませんが、ある意味、Z2本来の姿でもある900Z1程度のパワー感は欲しいと思います。
高校生の頃、750Z2/A4を走らせていましたが、当時、知り合いがモリワキチューンのZ1エンジンを搭載したZ2に乗っていて、そのパワー感の違いに驚いたことがありました。そこまでのパワーは不要ですが、せめてノーマル=900Z1の走りが得られたなら……などと考えています。
この連載企画のテーマでもある「延命治療」という言葉に照らし合わせたときに、今現在は、当時と違って様々なパーツが入手可能ですが、将来的には、果たしてどうなってしまうのか、かわからないといった懸念もあります。
1975年に誕生してから、40年近く走ってきたバイクなので(とはいっても20年近くはガレージで眠っていました)、ここでフルオーバーホールしておけば、今後20年くらいは一般メンテナンスのみで走り続けることができると考えています。
単純なボアアップではなく、クランクシャフトをZ1用=66mmストローク仕様に交換します。さらにピストンボアをφ69mmにして、総排気量は986ccにする予定です。過度なパワーアップは望まず、トルクアップをメインに考えています。撮影協力/iB井上ボーリング
さらに今回は、程度が良い900Z1純正クランクシャフトを組み込み、Z1エンジンのファインチューンで知られるφ69mmピストンを組み込み、少しだけボアアップしてみようと思います。
ブン回さなくても速い=トルクフルで力強いエンジンに仕上げてみたいと考えています。エンジン寿命を大きく左右するのが2ストでも4ストでも「回し過ぎ」だと思います。そういった意味でも、比較的エンジンには優しい仕様で、しかも力強くトルクフルに走る仕様を目指していきたいと思います。
早速、カワサキ師匠の作業場を借りて、車体の分解に取り掛かりました。開始からおおよそ2時間程度で、750RS/Z21-A後期モデルは、分解バラバラの状態になりました。いよいよ、本格的な化粧直し=フルレストアが始まります。
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