縁の下の力持ち! バイクレースで旗を振る人は何者?
バイクのニュース / 2024年10月22日 9時10分
バイクレースでは選手に目が行きがちですが、周囲をよく見てみると、旗を振っている人がいるのが確認できます。彼らはどのような役割を持っているのでしょうか。
■レースオフィシャルはレースの陰の立役者!
現地やテレビなどでレース観戦をしていると、オレンジ色のつなぎを着た人が、監視ポストから旗を振っている姿を目にします。さらに周囲を見渡すと、いたるところにこのオレンジ色のつなぎを着た人がいることが分かります。
レース観戦をしていると、オレンジ色のつなぎを着た人がいることがわかる
7月におこなわれた「鈴鹿8時間耐久ロードレース」や、先日おこなわれた「MotoGP 日本グランプリ」でも、ピットやパドックをはじめ、あらゆる場所で忙しく動き回る彼らの姿を目にした人も多いのではないでしょうか。
彼らをサーキットで働く職員だと思っている人もいるかもしれませんが、実は違います。ではバイクレースで旗を振っている人たちは、いったい何者なのでしょうか。
彼らは、「レースオフィシャル」と呼ばれる人であり、安全で公正なレース運営をするために欠かせないレーシングスタッフです。主にボランティアでおこなわれており、多くの人が本業を別に持ちます。ボランティアであるため給与は出ないものの、交通費が一部支給されたり、宿泊施設や食事が用意されたりする場合も多いようです。
レースオフィシャルは、レースが開かれる前に各サーキットが募集をかけます。年齢に制限がある場合もありますが、応募をするのに特別な資格やライセンスは必要ありません。「レースを支えたい」、「一緒に盛り上げたい」という熱意を持っている人であれば、誰でも応募することができます。
ただし、「レースを間近で見てみたい」「憧れのバイクやライダーに近付きたい」といったミーハーな気持ちで参加するのはおすすめできません。真夏の耐久レースともなると、炎天下の中、立っているだけでも体力は奪われていきます。途中で投げ出すこともできないので、生半可な気持ちで参加をすればのちのち後悔する可能性も。
レースオフィシャルは、転倒したバイクが突っ込んできたり、炎上するバイクに近付かなければならない状況だったりと、命の危険もゼロではない
さらに、転倒したバイクが突っ込んできたり、炎上するバイクに近付かなければならない状況だったりと、命の危険もゼロではありません。
しかし、レースオフィシャルとして活動する人の多くは1回限りではなく、何年、何十年とその活動を続けており、レースオフィシャルがどれほど魅力的な活動なのかが分かります。
もちろん、現場でしか感じることのできない空気感や臨場感は格別でしょう。加えて、レース運営にかかわり活動をやり遂げたあとの達成感、そしてその過程で生まれる仲間との一体感や絆もまた、他では味わえない特別な体験です。
またレースオフィシャルの仕事はいくつかのセクションがあり、能力や適性をみて振り分けられます。ただし、内容によっては「競技役員(オフィシャル)ライセンス」がなければ務めることができない責任のある役職もあります。経験を積みながら継続的に活動していきたいという人は、ライセンス(FIMライセンス、MFJライセンス)を取ることも考えておくとよいでしょう。
では、レースオフィシャルには具体的にどのようなセクションがあるのでしょうか。
コースマーシャルは、各コーナーに配置されている監視台にてコース状況や危険をライダーに旗で知らせる役職
まずひとつ目は、「コースオフィシャル」です。コースマーシャルとも呼ばれており、各コーナーに配置されている監視台にてコース状況や危険をライダーに旗で知らせる役職です。
またレース前やインターバルでのコースの清掃作業、レース中は違反行為のチェックや動けなくなったバイクの移動、撤去作業もおこないます。
ふたつ目は、「レスキューオフィシャル」。万が一の事故に備えコースサイドに待機し、転倒やクラッシュが起きた際に、ライダーを救出します。
状況次第では医師や看護師の待機するメディカルセンターまで搬送します。なお、搬送の際にクルマを運転する必要があるためか、普通自動車免許(AT限定不可)所持者に限定するサーキットも少なくありません。
レースの進行をする「進行オフィシャル」は、主にピットレーンで活動する
3つ目は、レースの進行をする「進行オフィシャル」です。主にピットレーンで活動し、担当するチームへの各種通達など、各チームとの距離が最も近いセクション。
またピットでの作業内容の確認やコースインの誘導、他にもピットレーンでの速度違反がないかの測定などもおこないます。
4つ目は、車検オフィシャルです。公平性を図るためレースの前後にバイクが競技規則に沿っているかのチェックをしたり、ライダーの装備品の安全性を確認したりします。
細部まで確認をするため、バイクの仕組みや構造に関して深い知識を必要としますが、現場で経験を積みながら学ぶこともできます。
5つ目は、計時オフィシャル。主にコントロールタワーにて、ラップタイムやレースタイムを1000分の1秒単位で細かに計測し、予選や決勝などの各セッションが終わるとレースリザルト(競技結果票)を作成して配布する役職です。
そして6つ目は、事務オフィシャルです。レース前の参加受付からライセンスチェック、ブリーフィング(事前説明)の準備などをおこなう他、問い合わせや時にはクレーム対応、各種申請書類の受付など、事務社業全般を担います。
※ ※ ※
サーキットで旗を振っているオレンジ色のつなぎを着た人は、レースオフィシャルと呼ばれるスタッフ。スムーズで安全なレース運営のために必要不可欠な存在です。有志で活動する彼らは、「一緒にレースを作り上げたい」という情熱と責任感を持ってレースを支えています。
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