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ホンダ「スーパーカブC100」マフラーから吹き出す白煙の原因も様々 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ VOL.19

バイクのニュース / 2024年10月30日 7時10分

自分自身にとって思い入れがあるバイクには、ある種の違った感情がありますよね!? 自分自身の生誕年は「記念すべき年」ですが、そんな生誕年に想いを馳せて、1962年型スーパーカブC100と暮らしています。マルエムブルーと呼ばれた青色ボディ、淡い赤色シート、水色レッグシールド、それが「二つ星」初期シリーズ(1958~61年前期)C100の特徴です。一方、このC100は、その次世代モデルとして登場しました。50cc原付一種のC100は、マルエムブルーとディープグリーンで、55cc原付二種のC105(CD105セルモーター付き)は、マルエムブルーとエレファントグレーが当時の車体色でした。やっばり淡い赤色シートは、マルエムブルーに似合いますね!? などと考えながら、白煙対策を進めてます。

■何とか実現したい「エンジンオイル焼け=白煙」対策

 個人的に一番興味があると言うか、一番好きなスーパーカブは、OHCエンジンを搭載したスーパーカブのデラックス。なかでも、1971年に登場した、メタリックカラーのC50/C70デラックス、通称「カモメカブ」の初期型が一番のお気に入りスーパーカブです。長年探し求めていた中で、数年前に、ボロボロで鉄クズのようなC50デラックス、とりわけ珍しいC50K1専用色「ポピーイエローメタリック」仕様を見つけました。欠品部品が多いのと、ボロであるが故の仕上げ作業は、想像しただけでも、大変だと思われます……。

一般的なオーバーホールによって走り始めた1962年型スーパーカブC100ですが、ブン回して走ったり、オーバーヒート気味になると(シリンダーだけではなくシリンダーヘッドも鋳鉄製です)オイル焼けの臭いやマフラーからの白煙が気になります一般的なオーバーホールによって走り始めた1962年型スーパーカブC100ですが、ブン回して走ったり、オーバーヒート気味になると(シリンダーだけではなくシリンダーヘッドも鋳鉄製です)オイル焼けの臭いやマフラーからの白煙が気になります

 何故、21世紀まで生産され続けてきた、OHCエンジンになってからのスーパーカブが好きなのかと言えば、ズバリ、OHCエンジンのタフネスさにあります。とにかく頑丈で元気!! エンジンチューニングに対する許容範囲の広さは、チューニングモンキーの世界でも立証されています。モンキーのZ50E-系エンジンとは、ベースエンジンが同系列のC50E/C65E/C70E型ですから、共通部品も数多くあります。

 そんなOHC型エンジンで快調なコンディションなら、C100のように油が焼けるような臭いはまずありません。もちろん整備が行き届いていなければのお話しは別ですが、普通に気持ち良く走らせていれば、マフラーから白煙を噴き出すことなどありません。

 C100やC105は、当時の公称最高速度が70km/h程度でしたが、そのスピードを維持した中で、走り続ける気分にはなれません。あの唸り続けるエンジン音を聞いてしまうと、怖いというか、可哀そうな気持ちになってしまいます。C100のOHV型エンジンは、巡航速度50km/h前後で走り続けるのが心地良く、気持ち良いのが、ぼくの個人的な印象です。

 一方、C50系エンジンの場合は、60km/hで走っていても「まだまだ大丈夫!!」といった声が、エンジンから聴こえてくるような気がします。それがC65やC70の原付二種エンジンとなると、一枚も二枚も上というか、パワフル感が増し、70km/h以上の巡行でも楽々です。道路には制限速度がありますので、そんなスピードで走り続けるわけにはいきませんが、排気量が大きな分だけ、余裕しゃくしゃくなエンジンフィーリングです。

「最高速うんぬんなど、そんなことはどうでも良いこと」と、お話しして下さるオーナーさんが多いのがC100ファンのみなさんです。心地良い速度で走らせていると、スピードなど、どうでもよく感じてしまいますし、ぼくも同感です。スーパーカブで速く走りたければ、OHCエンジンを搭載したモデルや、現代の110ccや125ccのFI=フューエル・インジェクション・モデルに乗るのが一番良いと思います。

■現代技術の転用=モダナイズで白煙対策

 そんな「のんびりフィーリング」が楽しいOHVエンジンのスーパーカブC100ですが、マフラーからの白煙問題やエンジンオイルが焼ける臭いは、まったく別問題です。

 スーパーカブが発売された当時から1960年代末までは、道路事情が決して良くなく、飛ばし続けることなどできなかった道路環境が多かったと思います。舗装国道から一本路地裏に入れば、未舗装道路が当たり前の時代でした。ぼくが子供の頃も、そんな感じでした。

 舗装道路が当たり前になると、スピードレンジが高まり、それと同時に、エンジンにも高性能化が求められます。そんな時代を先取りするかたちで、OHCエンジンのスーパーカブが誕生したとも聞いています。そんな高性能化のひとつに白煙対策がありました。

C50用として販売されているエキゾーストバルブ関連の部品。この部品を参考にC100ノーマルの鉄ヘッドからバルブガイドを削り落とし、新作バルブガイドを圧入することで、バルブステムシールを利用できる排気バルブにしますC50用として販売されているエキゾーストバルブ関連の部品。この部品を参考にC100ノーマルの鉄ヘッドからバルブガイドを削り落とし、新作バルブガイドを圧入することで、バルブステムシールを利用できる排気バルブにします

 白煙を吹き出す理由には、ピストンクリアランスやピストンリングの摩耗に起因した「オイル上がり」があります。また、吸排気バルブ周辺部品が摩耗限度を超えてしまうと「オイル下がり」も起こってしまいます。

 その他にも、様々な原因がありますが、いずれにせよ「白煙」と「メカニカルノイズ」はOHVエンジンのC100にとっては、ある意味、鬼門だと思います。以前から、お気に入りのC100を見つけ、自ら対峙するときには、何としてでも現代的な考え方で「白煙対策」してみたいと考えていました。

 そんな対策アイデアの具現化に対して、力強く、心強い味方となってくださったのが、内燃機加工のプロショップです。ぼくはiB井上ボーリングさんへ相談して「C100エンジンのモダナイズ」に挑戦しました。「白煙」対策といった課題を、ハイレベルに何とかクリアしたいと思ったからです。

 具体的な対策方法は、バルブステム径(旧排気バルブ軸の太さ)が同じOHCエンジン用「バルブステムシール」を組み込める=組み込むことができる、シリンダーヘッドへとモダナイズ=内燃機加工します。

C100本来のバルブガイドはヘッド一体式なので加工機で旧ガイドは削り落としていただきました。そのヘッドに対して、圧入固定するバルブガイドの削り出し製作が完了。このガイド形状にすることで、ステムシールと固定キャップをガイド先端に組み込むことができますC100本来のバルブガイドはヘッド一体式なので加工機で旧ガイドは削り落としていただきました。そのヘッドに対して、圧入固定するバルブガイドの削り出し製作が完了。このガイド形状にすることで、ステムシールと固定キャップをガイド先端に組み込むことができます

 バルブステムシールの有無は、オイル下がりをシャットアウトできる決定打であって、現代のエンジンには、必ず組み込まれています。スーパーカブがOHCエンジンへと進化した段階では、排気バルブにのみバルブステムシールが採用されました。

 横型エンジンなので、エンジンオイルが流れ込みやすい下側=排気バルブ側にしかステムシールは装備されませんでした。その後、1979年モデルで、C90系エンジンがHA02E型エンジンへと進化したときに、吸入バルブにもステムシールが装備されました。当時としては、スーパーカブの最高峰モデルだったので、同モデルはコストダウンされなかったのだと思います。

 そんなOHCエンジンの純正バルブステムシールを、OHVエンジンのC100シリンダーヘッドへ組み込めるように内燃機加工を施し、白煙対策=モダナイズしようと考えています。作業の工程はギャラリーの写真とキャプションを参考にしてください。

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