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かつて村上氏が3代にわたって50年にわたって居住した山城 栃木県の「村上城跡」を訪れた

バイクのニュース / 2024年11月10日 11時10分

城跡巡りで目的地を探す際に、ネットで「村上城」と検索すると新潟県村上市の城が数多くヒットしますが、今回バイクで訪れたのは栃木県の「村上城」です。親子3代で50年にわたって居城した山城は、手入れが行き届いた梅園になっていました。

■山道自体が見事な谷間、美しい状態は保全活動のたまもの

 新潟県村上市にある「村上城」は、北越後の中心が拠点の城で、国指定史跡として登録された山城です。一方、今回バイクで訪れた栃木県の市貝町にある「村上城」は、市貝町観光協会のホームページによれば、永和4年(1378年)、益子正宗(ましこまさむね)の二男、村上良藤(むらかみよしふじ)が築城し、子の則光(のりみつ)、光義(みつよし)と、3代(約50年間)にわたり居城したと伝えられています。ここは通称「村上観音山」に築かれた山城で、山頂には土塁と空堀を三角状にめぐらせた本丸があるとのこと。

「寿命院永徳寺」の境内から「村上城」へアクセスする。撮影後はすぐにバイクを広い駐輪場へ移動し、お寺にお参りしてから山道を登ることにした「寿命院永徳寺」の境内から「村上城」へアクセスする。撮影後はすぐにバイクを広い駐輪場へ移動し、お寺にお参りしてから山道を登ることにした

 解説板にはさらに詳しく記されており、観音山の標高は172.2mで、規模は東西約200m、南北約250mとのこと。山頂の本丸は東西約40m、南北約85mで不整な三角形状をしているようです。

 築城は古文書により「1187年、平宗清(たいらのむねきよ)の守る村上城が落ちた」と記載されていることから、平安時代(794~1185年)末頃に築城されたと考えられているそうです。

 その後、1378年に益子氏の一族である村上良藤により、現在の遺構のような城が築かれたと言われています。

 もうひとつの解説板を見ると、山頂から山腹にまで同心円状に郭(くるわ:山城の平場)が配置されていることや、帯状腰部(おびじょうようぶ:細長い郭)、武者走(むしゃばしり:通路)、堀底道(ほりそこみち)などの各種施設が構築されていることが書かれていました。

大手虎口(こぐち:出入口)も平場になっており、そこに建つかなり古い祠にお参りしてから散策した大手虎口(こぐち:出入口)も平場になっており、そこに建つかなり古い祠にお参りしてから散策した

「村上城跡」の所有者は「永徳寺」で、目の前に広い駐車場があるのでそこにバイクを停めて散策することにしました。ちょうど付近の掃除をされていた地元民と思しき人に挨拶し、城跡の場所を聞いて確認してから歩き始めます。

 まずは「永徳寺」の境内を目指して長めの階段を上ります。ここには栃木県指定有形文化財の千手観音立像などがあり、仏像が好きな人ならここでも楽しむことができるのではないでしょうか。

 目的の山城は境内の脇に建つ木製の鳥居から。城跡の縄張予想図によると、ここが大手口に当たります。鳥居を潜って山道を登ります。鳥居があるということは神様が祀られているということ。小さな祠があったのでお参りしてから進みました。

道中は堀の様子が明確にわかる遺構だった。高い土塁と堀で防御していた様子が伝わる道中は堀の様子が明確にわかる遺構だった。高い土塁と堀で防御していた様子が伝わる

 この山道自体が見事な谷間となっていて、城が機能していた時代の堀の姿を容易に想像することができます。なかなか美しい状態で保たれていることに感動しました。

 登城前に挨拶した人が草刈りをしていたようで、この時も草刈機の音が山に鳴り響いていました。山の保全をされている人がいるからこそ、山城を安全に散策できることに感謝して登り続けます。

 やがて平場に辿り着き、さらに進むと本丸だった場所に出ました。ここは「観音山梅の里」という梅園で、梅の季節には美しい光景が広がることでしょう。

主郭・本丸に当たる場所は梅園(観音山梅の里)となっている。奥には小さな鳥居と祠があった主郭・本丸に当たる場所は梅園(観音山梅の里)となっている。奥には小さな鳥居と祠があった

 本丸の周囲は横堀となっていましたが、雑草が綺麗に刈られているので、ぐるっと歩いて回ることができました。低山ですが、防御施設はしっかりしていて、まさに山城そのもの。秋の静かな時間が流れる、美しい「村上城」を後にしました。

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