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プロスペックを掲げたホンダ「VFR400R」 V4サウンドはレーシングスピリットの咆哮!!

バイクのニュース / 2024年11月12日 19時40分

1980年代のレースブームの中、鈴鹿8時間耐久ロードレース優勝車を400ccクラスで再現した市販車が、1989年に発売されたホンダ「VFR400R」です。走りを極めるため、クラスを大幅に超えた装備と性能を誇っていました。

■ワークスマシンの技術とスタイルで大人気を獲得

 2024年のEICMA(ミラノショー)で、ホンダから新規開発中の電動ターボ付きV型3気筒エンジンが公開されて注目を集めています。ホンダは1980年代からV型エンジンの市販車を販売しており、その中には今回紹介するホンダ「VFR400R」(1989年発売)もありました。

鈴鹿8時間耐久ロードレースや、全日本F-3で活躍したホンダのワークスマシン「RVF」のテクノロジーをダイレクトに反映した「VFR400R(NC30)」(1989年型)鈴鹿8時間耐久ロードレースや、全日本F-3で活躍したホンダのワークスマシン「RVF」のテクノロジーをダイレクトに反映した「VFR400R(NC30)」(1989年型)

 ここでV型エンジンをおさらいします。V型エンジンのメリットのひとつとして、エンジンの幅を狭くすることができます。「VFR400R」を例にすると、同排気量のライバル勢のエンジンはピストンを横4列に並べた並列4気筒で、「VFR400R」は前方2列、後方2列のV型4気筒です。これによりエンジン幅はほぼ並列2気筒並に収まっています。クランクの長さも短く、軸受が少ないことで高回転でも有利と言われています。

 このエンジン幅の狭さを生かして、車体をコンパクトに設計できることも大きなメリットです。そうした理由から、現在のMotoGPなどレース専用マシンはV型4気筒エンジンが主流です。

 一方、部品点数が多くなり、構造も複雑化、キャブレターやエキゾーストパイプの配置にも工夫が必要となります。簡単に言うと、並列多気筒エンジンに比べてコストが高くなり、400ccクラスのマシンには贅沢な構造だったのです。

 400ccクラスのV型4気筒エンジンを初めて搭載したモデルは、1982年にホンダ「VF750セイバー」、「VF750マグナ」、「VF750F」などのV型4気筒車と共に登場した「VF400F」です。

 その後、普通自動二輪クラス(いわゆる中免)は一気にレーサーレプリカブームへ突入します。

 ホンダのワークスマシン「RVF750」の鈴鹿8時間耐久ロードレースでの優勝や、「RVF400」の全日本ロードレースTT-F3クラスのタイトル獲得などの活躍を追い風に、1986年に400ccクラスのV型4気筒エンジン搭載車は「VFR400R」へと進化します。

左のスピードメーターは奥に追いやられ、中央に14500rpmからレッドゾーンとなるタコメーター、右に水温計を配置左のスピードメーターは奥に追いやられ、中央に14500rpmからレッドゾーンとなるタコメーター、右に水温計を配置

 初代「VFR400R」(1986年発売)は、GPレーサーに使用されたカムギアトレーンを採用しています。車体はアルミフレームにフルカウリングでしたが、快適なダブルシートも装備しており、全体的には若者向けの軽快なスポーツ車といった雰囲気でした。

 翌1987年には早くもモデルチェンジとなり、レプリカ度合いが色濃くなります。エンジンは吸排気システムの見直しや点火時期のデジタル制御などにより、最大トルクは400ccクラスでは難しいとされていた4.0kg-m/10000rpmを発揮しています。

 しかし視覚的に最も注目を集めたのは、片持ちのスイングアーム「プロアーム」です。ワークスマシン「RVF750」や「RVF400」に採用され、ファン垂涎の最先端技術を市販車として初めて採用しました。

 プロアームは軽量・高剛性で、ホイール交換が簡単などのメリットがありますが、なによりも見た目のインパクトが強烈でした。現代でも「CB1000R」などの高級スポーツ車に採用されています。

片持ちスイングアームのプロアームはホイールの内側にブレーキを装備する。ホイールを外してもスプロケットとブレーキは残ったままとなる片持ちスイングアームのプロアームはホイールの内側にブレーキを装備する。ホイールを外してもスプロケットとブレーキは残ったままとなる

「VFR400R」の進化は止まらず、3年連続でモデルチェンジを迎え、ここに紹介する3代目が1989年にデビューします。サーキットでのポテンシャルをさらに高め、ワークスマシン「RVF」を凝縮したようなレーサーレプリカでした。

 従来の「VFR400R」同様のDOHC16バルブ(1気筒あたり4バルブ)は、カムギアトレーンで駆動され、量産車初の小径点火プラグの採用により吸排気バルブが大径化します。吸排気ポート変更と共に充填効率が向上し、よりV4エンジンらしいトルク感となりました。

 さらにトラクションに優れると言われる360度クランクシャフトを採用し、より走りに徹したエンジン特性を獲得しています。

 しかしこの3代目が最も魅力的だったのは、そのスタイル、デザインかもしれません。当時の鈴鹿8時間耐久ロードレースは世界GP(現在のMotoGP)と同等の人気でした。鈴鹿で活躍するワークスマシン「RVF750」や「VFR750R(RC30)」とそっくりなスタイルの3代目は、若者たちを中心に大人気となります。

 レーサースタイルのフルカウルにデュアルヘッドライト、5角形「目の字」断面のアルミツインチューブフレームや、17インチのフロントホイール、センターロック式のリアホイールとプロアーム(片持ちスイングアーム)など、もはや飾りっ気が無いほどレースマシンに近づけられ、それが何より魅力的でした。

「VFR750R(RC30)」(1987年発売)と近い意匠のセンターロック式のリアホイール。2灯式のテールランプは耐久レーサーの「RVF」を彷彿とさせる「VFR750R(RC30)」(1987年発売)と近い意匠のセンターロック式のリアホイール。2灯式のテールランプは耐久レーサーの「RVF」を彷彿とさせる

 400ccクラスのV4モデルの登録台数は、1982年の「VF400F」から3代目「VFR400R」までの11年間で9万台を数えるヒット作となりました。その後、1994年には「RVF」と名称を変更し、究極とも言える進化を遂げます。

 ホンダ「VFR400R」(1989年型)の当時の販売価格は74万9000円です。

■ホンダ「VFR400R(NC30)」(1989年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク90度V型4気筒DOHC4バルブ
総排気量:399cc
最高出力:59PS/12500rpm
最大トルク:4.0kg-m/10000rpm
全長×全幅×全高:1985×705×1075mm
シート高:755mm
始動方式:セルフ
車両重量:182kg
燃料タンク容量:15L
フレーム形式:バックボーン(ツインスパー)
タイヤサイズ(F):120/60-17 55H
タイヤサイズ(R):150/60-18 67H

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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