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カワサキ「KZ1000MK-II」エンジンベースの改良型は空を飛ぶ!? 木箱入り新品エンジンの正体とは?

バイクのニュース / 2024年11月19日 7時10分

ロータススーパーセブンのようなパイプフレームのレプリカ車両に、スズキハヤブサのエンジンを搭載したレーシングカー。そのようなスペシャルメイドをサーキットで走らせている場面に遭遇したことがありますが、その走りは強烈そのものでした。このように、バイク用エンジンを、他の目的に利用するといったお話しは、過去に何度か聴いたことがあります。ここに紹介する、どこから見てもカワサキ角Z系空冷4気筒エンジンは、地面を走るビークルではなく「エアークラフト用に開発されたエンジン」。そう聞けば、バイクファンやカワサキ空冷4気筒ファンには、驚きでしょう。ここでは、彼の地から里帰りしたカワサキ空冷4気筒「木箱入り」エンジンをリポートします。

■カワサキ空冷4気筒エンジンで空を飛べるの!?

 世界中のファンから今尚愛され続けている、カワサキ空冷4気筒エンジンを搭載したモーターサイクル。900/Z1から派生した空冷4気筒エンジンは、様々なモデルに搭載され、長寿命モデルとして、カワサキモーターサイクルの歴史に末永く君臨してきました。

 特に、その高性能さが認められた、1970年代後半以降のアメリカでは大人気のエンジンでした。

当時のKZ1000MK-II=角Z系エンジンのフォルムを持つエアークラフト向けエンジン。キャブの下にはバイクと同様セルモーターが装備されています。アメリカのハイウェイパトロールでは、カワサキ空冷Zエンジンの白バイが長年に渡り採用されてきました当時のKZ1000MK-II=角Z系エンジンのフォルムを持つエアークラフト向けエンジン。キャブの下にはバイクと同様セルモーターが装備されています。アメリカのハイウェイパトロールでは、カワサキ空冷Zエンジンの白バイが長年に渡り採用されてきました

 北米のエアークラフト機器メーカーからのオーダーで、東京の商社を通じて川崎重工にオーダーが入り、開発生産されたエンジンが、この見るからに当時のKZ1000MK-II=角Z系エンジンのフォルムを持つエアークラフト向けエンジンです。

木箱に入ったまま長年眠り続けてきた、カワサキ空冷4気筒のエアークラフトエンジンコンプリート。このエンジンは、後に角Z系モデルの修理に利用されましたが、そのように利用される例が多かったそうです木箱に入ったまま長年眠り続けてきた、カワサキ空冷4気筒のエアークラフトエンジンコンプリート。このエンジンは、後に角Z系モデルの修理に利用されましたが、そのように利用される例が多かったそうです

 カワサキ空冷Z系モデルの里帰り旧車は数多く存在しますが、さすがにこのエンジンコンプリートは珍しかったので、木箱入り新品エンジンの「箱開け」から撮影させていただきました。

 そもそも、カワサキ空冷4気筒モデルの中古車買い付けで北米へ出向いた輸入業者が、偶然、見つけて購入したのがこの木箱入り新品エンジンだったそうです。KZ1000MK-IIエンジンのオーバーホール時に「部品取りになるだろう!?」と購入したのがオーナーさんでした。事実、分解してみると、その中身はMK-II系エンジンそのものだったそうだす。

クランクシャフトエンドには、出力取り出し用のVプーリーとドライブシャフトフランジが取り付けられています。オルタネーターカバーには穴加工が施され、カバーエンドの境界線部分にはシールベアリングによる軸受けが追加されていますクランクシャフトエンドには、出力取り出し用のVプーリーとドライブシャフトフランジが取り付けられています。オルタネーターカバーには穴加工が施され、カバーエンドの境界線部分にはシールベアリングによる軸受けが追加されています

 ただし、エアークラフト専用に開発されていため、クランクシャフトは専用部品化されていて、プライマリーギヤとなる、特徴的なクランクウェブの歯切りは行われておらず、丸形状のウエイトのままだったそううです。

 また、左側のクランクエンドは、出力プーリーとフランジの取り付けに対応した構造となっていました。この撮影後、すべての部品を分解した結果、クランクシャフト本体、クランクケース、オルタネーターカバー以外の部品は、マーク2系エンジンと部品共用できたそうです。

 また、木箱の中には、エンジン始動や充電系に付帯する関連部品、イグニッションコイルやトランジスタイグナイター、レギュレーターレクチファイアにマグネットスイッチなどなども同梱されていました。

エンジン右側後方から見るとこのような造形になります。本来ならクラッチユニットやミッションユニットが収まるクランクケース室が無く、完全にスペシャルな上下クランクケースだと理解できますエンジン右側後方から見るとこのような造形になります。本来ならクラッチユニットやミッションユニットが収まるクランクケース室が無く、完全にスペシャルな上下クランクケースだと理解できます

 関係者のお話しによれば、エアークラフト用として開発されたエンジンでしたが、実際にはエアークラフト用としての実績は少なく、マリン用として転用されたものの、製造された多くが利用されずにお蔵入りとなったそうです。

 その後は、このエンジンと同様に、部品取りの運命を辿った例が多かったそうです。広大なアメリカやカナダでは、日本では考えられない乗り物に対する需要があります。特に、北米エリアで強いカワサキでは、各種機器需要に対する開発(例えば、草刈り機や芝刈り機だけでも大小数種類の形態がある)にも、力を入れています。

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