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「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?

バイクのニュース / 2024年11月22日 11時10分

キャリアの長いライダーなら日常的に操作していた「燃料コック」は、昔はあっても現代のバイクには無い装備の代表格かもしれません。が……燃料コックが無くても大丈夫な理由は? その操作にコツはあるのでしょうか?

■キャブレター車に必須の「燃料コック」

 旧車はもちろん、2000年代中頃くらいまでのバイクには、大抵が「燃料コック」を装備していました。燃料コックとは、文字通り燃料タンクからガソリンを流す/流さないを決める仕切弁のことです。

バイクの燃料タンクに備わる「燃料コック」。2000年代中頃までの多くのバイクが装備していたバイクの燃料タンクに備わる「燃料コック」。2000年代中頃までの多くのバイクが装備していた

 ところが2000年代半ば頃から燃料コックは姿を消し、現行バイクでは装備していません。その理由は、この頃からエンジンへの燃料供給の方式がキャブレターからFI(フューエルインジェクション:電子制御式燃料噴射装置)に切り替わったためです。

 物理現象によってガソリンと空気を混合ガスに変えるキャブレターには、車体の上部にある燃料タンクから重力によってガソリンが供給されます(落ちてくる)。そしてキャブレターの内部には、ガソリンの量を一定に保つ「フロートバルブ」と呼ぶ弁がありますが、このフロートバルブに微細なゴミが挟まったり、何らかの不調でキチンと閉じなくなると、エンジン停止中(駐車中など)にガソリンがどんどんエンジンの内部に流れ込んでしまいます。

 こうなるとエンジンがかからなくなり、エンジン内部に溜まったガソリンを抜くためにエンジンオイルを交換しなければなりません。そんな事態を防ぐために、かつてのキャブレター車は「エンジンを止めたら燃料コックをOFFにする」が必須の操作でした。

 しかしFIの場合は、燃料ポンプやガソリンを噴射するインジェクターを電気で駆動するため、メインキーをOFFにすれば燃料タンクからガソリンがエンジンに流れ落ちることがありません。そのため、FI車では燃料コックが不要になったのです。

■燃料コックも進化した!

 初期の燃料コックは「ON」と「OFF」、および「RES(リザーブ)」を切り替えるタイプが一般的でしたが、1970年代の後半頃に「負圧式燃料コック」が登場しました。

初期の燃料コックと負圧式燃料コック(レバーの向きや3つの切り替え位置は各種存在する)初期の燃料コックと負圧式燃料コック(レバーの向きや3つの切り替え位置は各種存在する)

 そもそもキャブレター車が燃料コックを装備するのは、エンジン停止中にガソリンが流れないようにするためだったハズ。それなのに負圧式コックは「OFF」が無くなって大丈夫なのでしょうか?

 じつは負圧式燃料コックは、エンジンがかかっている時に空気とガソリンが混ざった混合ガスを吸い込むときに発生する「負圧」によって、燃料コックを開けてガソリンが流れる構造になっています。

 反対にエンジンが止まって負圧が発生しない状態だと、燃料コックが閉じてガソリンが流れなくなります。燃料コックのレバーが「ON」または「RES」の位置のままでも、エンジンが止まれば自動的にOFFになる便利機構で、ライダーが燃料コックの操作を忘れても大丈夫になりました。

 そして切り替えには新たに「PRI」(=PRIMARYの略)が登場します。燃料コックを「PRI」の位置にすると、エンジンがかかっていてもいなくてもガソリンが流れます。それでは「PRI」をどんなシーンで使うかというと「ガス欠した後」です。

 負圧式燃料コックの場合、完全にガス欠した状態でエンジンが止まってしまうと、ガソリンを給油して燃料コックを「ON」の位置にしても、キャブレターの中が空になっているので、エンジンがかからない場合があります。すると負圧が発生しないためガソリンが流れない→当然エンジンがかからない、ということになります。

 そんな時に、「PRI」にすればガソリンがキャブレターに流れてエンジンをかけられます。他にも、燃料タンクを外したり、キャブレターからガソリンを抜いて整備した後なども、「PRI」を使ってエンジンをかけます。

 ただし、いったんエンジンがかかったら、「PRI」から「ON」に切り替えるのを忘れないことが重要です。

■「RES」は「予備タンク」ではない!?

 燃料コックの「RES(リザーブ)」は、なんとなく「予備タンク」に切り替えるイメージがあるかもしれませんが、一般的なバイクに予備タンクは存在しません。

燃料タンクの底に配置された燃料コックの概念図。青い四角がコックの切り替え弁で、燃料タンク底面からのガソリンの吸い込み口の高さを変えている。燃料タンクの底に配置された燃料コックの概念図。青い四角がコックの切り替え弁で、燃料タンク底面からのガソリンの吸い込み口の高さを変えている。

 燃料コックを「ON」にすると、燃料タンク内部の底から立ちあがった管からガソリンが流れ落ちますが、管の吸い口よりガソリンの残量が少なくなるとガス欠の状態になります。そこで燃料コックを「RES」に切り替えると、タンクの底の吸い口からガソリンが流れるため、ガソリンが無くなるまで使うことができます。

 というワケで、キャブレター車で燃料コックが「ON」の状態で走っていてガス欠の症状が出たら、言うなれば現代のFI車の燃料警告灯が点灯した時と同じ意味合いになります。そのため、FI車で燃料警告灯が点灯した時のガソリン残量(=走行可能距離)と同様に、燃料コックを「RES」に切り替えてからのガソリン残量を知っておく必要があります(取扱説明書に記載あり)。

現代のFI車のメーターに備わる「燃料警告灯」。ガソリンの残量が少なくなると点灯する現代のFI車のメーターに備わる「燃料警告灯」。ガソリンの残量が少なくなると点灯する

 ここから分かるように、燃料コックの最大の注意点は、もし「RES」の状態でガソリンを給油したら、必ず燃料コックを「ON」に戻すことです。この操作を忘れて走っているとガソリンを最後まで使い切ってしまうため、何の前触れもなく「本当のガス欠」に陥ります。

 とくに「OFF」の位置が無い負圧式燃料コックのバイクはけっこう忘れがちなので、旧車やキャブレター車に乗る機会があったら気を付けましましょう!

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